会長挨拶

早稲田大学
永田 靖

 日本品質管理学会の第51年度会長を拝命しました永田靖です。どうぞよろしくお願いします。

私は、早稲田大学創造理工学部経営システム工学科で統計科学を専門として研究・教育をしております 。 統計科学の応用分野は広く、応用分野によって用いる主要な手法はしばしば異なります。

 私は大学院生のときに日科技連のベーシックコースに書記として参加し、統計科学の品質管理分野への応用に興味をもちました。

 それから約40年間、日本品質管理学会・日本統計学会・応用統計学会を中心に活動してまいりました。この度、本学会の会長に就任させていただくことは、大変光栄なことであるとともに、大きな責任を感じています。そして、私を育てていただいたことに対して、少しでも恩返しができればと考えています。

 昨年、本学会は50周年を迎えました。本学会では、これまで様々な活動を行い、成果を残してきました。 日本の品質管理の業界が生み出し、本学会でも知見を深化させてきた数々の至宝ともいえる考え方や方法論があります。

 生みの親ではないけれども、本質的で重要な研究を深めてきた手法もあります。これらは学会内の部会や研究会で議論され、研究発表会やシンポジウムなどで発表されてきました。学会誌「品質」や2015年から刊行された英文誌Total Quality Scienceで研究論文を発信してきました。

 JSQC規格の作成が精力的に行われ、それをテキストとした講習会が開催され、日本の品質管理の規範の普及が図られてきました。さらに、JSQC選書(現在まで33巻)や研究会が編著となった書籍も発刊されてきました。受験者数が100万人を超えた品質管理検定のレベル表の認定も本学会が行っています。同規模の他学会と比較しても、これらの活動の多用性や豊富な成果は誇れるものです。

 本学会のビジョンは「Qの確保」「Qの展開」「Qの創造」です。Qはもちろん品質です。上述したように、本学会は、このビジョンにそった活動を積極的に実施してきました。しかし、本学会の存在を知らない人たちがたくさんいます。本学会の存在感が薄いといわれたりもします。そして、世の中では、品質不祥事と呼ばれるものが多発しており、「品質が良くない」とか「品質軽視」とか「過剰品質」といったネガティブな言葉の一部として「品質」が用いられている印象があります。「品質」は当たり前の要素だと考えられているのではないかと思います。

 狩野モデルにおいて、品質要素の一種として「当たり前品質」があります。これは、努力(狩野モデルでは「物理的充足度」)をしても顧客満足度はたいして向上しないという品質要素です。しかし、努力を怠ると顧客満足度が急速に劣化するという性質を「当たり前品質」は有しています。「当たり前」を継続・維持するのは努力が必要です。

 現在の風潮から脱却して、かつて「品質立国」と呼ばれたように、ポジティブな言葉の一部として「品質」が用いられるようにしたいです。そのためには、努力して「当たり前」を継続させる、すなわち、方針管理・日常管理・改善活動の徹底を図るとともに、それを広くアピールすることが必要です(Qの確保)。また、サービス産業などの他の分野に広めるだけでなく、子会社や関連会社に適切に展開することも考えなければなりません(Qの展開)。それとともに、品質管理の業界ではよく議論されている「顧客価値創造」活動を深化させていくことが目標になります(Qの創造)。

 コロナ禍で学んだ学会活動の新しい方法論を貴重な経験として、これまでの具体的な活動のレベルアップを図っていきたいと考えています。

一般社団法人 日本品質管理学会
会長 永田 靖

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