トピックス デジタル世代のDX版QC7つ道具無償公開
中部支部/(株)デンソー 吉野 睦
このたび、(株)デンソーが工程データを可視化するソフトDN7(Digital Native Quality Control 7 Tools)を公開しました。
このツールは、2021年11月の第51回年次大会で私が発表した新々QC7つ道具の内容をソフトウェアとして実装したものです。
このツールの狙いは、生産技術者や現場作業者が工程のビッグデータを手軽に活用でき、それが工程改善につながるとともに、遅れがちな製造現場のDX化推進を意識面で支えることにあります。まさに従来のQC7つ道具が果たした役割と同じです。
一般公開した背景には、モノづくりに関わる皆様に広く使っていただき、事例を持ち寄って品質管理学会で議論すれば、品質管理学会が日本全体のモノづくり競争力の向上に貢献することができるのではないか、また、品質管理学会の新たな仲間作りもできるのではないか、という想いがあります。
たとえば、試用レポートをこのニューズでご報告していただければ、モノづくりに関わる会員の相互研鑽になりますし、ツールのレベルアップもできると思います。レポートを読みたいという新会員が現れるかもしれません。そんな想いを汲み取っていただき、品質管理学会の皆さんにご活用いただければ幸いです。
DN7は、GitHubからソースコードが保存されているzipファイルをダウンロードし解凍することでご利用いただけます。ダウンロード先はこちらです。Setup_manualに従ってインストールしてください。
https://github.com/apdn7/AnalysisPlatform
さて、このソフトはGoogle ChromeやMicrosoft Edge上で動作しますので、PCでもタブレットでも利用することができます。社内の通信環境(イントラネット)からデータを取り込むことができれば、インターネットに接続する必要はありませんのでデータを盗み見されることはありません。 またオープンソースソフトウエア(以下OSS)により開発し、OSSとして公開していますので、利益供与を心配することなく海外拠点でも使用いただけます。
なお、DN7の画面は次の7つのグラフから構成されています。
(1)全数プロット
管理図に相当します。時系列のほか、ロットなど、製品IDの属性毎に層別して可視化します。
(2)リッジラインプロット
ヒストグラムに相当します。密度曲線を時系列に何層も重ねたグラフにより、打点では見えなかった二山化などの分布の変化を可視化できます。
(3)カレンダーヒートマップ
チェックシートに相当します。チェックシートはQC7つ道具では計数値を集計するツールでしたが、計数的情報の時間変化を追いたいときに有効なツールです。
(4)散布図
ビッグデータに対応して、密度の高い部分は等高線図で、外れ値は実プロットを打点し、外れ値の出る傾向が分かり易いように工夫されています。
(5)パラレルコーディネートプロット
平行座標プロットとも呼ばれるグラフです。グラフの横軸縦軸を全て平行線にし、何枚ものグラフを一気に見ることが可能になります。
(6)サンキーダイアグラム
特性要因図に相当します。逆流パスとも呼ばれます。魚の骨の頭に該当する特性を指定すれば、その特性と各因子との関係性の強さを線の太さで表現します。
(7)共起グラフ
パレート図に相当します。共起グラフは、あるアラームが出たときに、こんなアラームも一緒に出ていたという共起性の強さを示します。これにより、問題解決の糸口をつかむことができます。
注意点:ソフトをOne-Driveの同期フォルダに置くことは避けてください。動作が極端に遅くなる、またはネットワークが過負荷状態になる恐れがあります。
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