第142回関西講演会ルポ
多様性の受け入れを阻むものは何か? ~ 真なるD&Iを目指して ~
2021年6月18日、関西支部主催の第142回講演会が開催され、コロナ禍、オンラインで31名が出席した。
講演1では、元帝人株式会社日高乃里子様から「女性がより一層活躍できる環境づくりと企業の取り組み」と題し、元の職場、帝人で取り組まれたダイバーシティの推進について講演をいただいた。「女性が会社で意欲をもち能力を発揮できるような仕組みづくり」について具体的な体験を交え共有していただいた。帝人が2000年に、トップダウンの元、専任組織を作り、開始した女性が活躍する仕組みづくりの中で、人事制度改革、女性育成のための研修プログラムなどが紹介された。ニトリとの共同開発では、女性だけのチームをつくり、顧客に直接届く商品を開発する新しいコンセプトを提案し、社内外から評価された。ダイバーシティ&インクルージョンの意義を具体的な事例を自らの体験を交えてわかり易いお話をいただいた。
講演2では、EY Japanの梅田恵様から「企業におけるLGBT+支援の取り組み」と題し、現職場で取り組まれているLGBT∔について講演をいただいた。LGBT∔は性的マイノリティなどの総称であり、LGBT+の中にも多様性があることや日本でも11人に1人はLGBT∔であることを自認しているという現状報告があった。当事者の感じている課題や悩みを知り、LGBT+に対する偏見や差別しない言動を日頃から認識しきちんと対応することが必要。自治体でも同性パートナー制度が導入されるなど、LGBT+に対する取り組みが進み出している。企業や教育機関でも人事制度や教育システムなどの環境づくりが望まれるが、従業員のニーズも多様化しているため、制度設計の際に利用者をLGBT+に限定せず、多くの人が利用できるように人事規定もユニバーサルデザインにしておくとよいなどの経験談を頂戴した。LGBT+に関する対応について悩みを持つ人も多いと思うが、自分が知らなかったことも多く次につながったことを実感できた。講演後のパネルディスカッションでは多くの質問があり活発な議論がなされた。ダイバーシティやLGBT+に関する知識だけではなく、企業の取り組みに言及したご講演を元に活発な議論ができ有意義であった。
杉谷 浩成(住友電気工業(株))
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