2026年6月開催の事業所見学会レポート

~三現主義を体感する、学会唯一の現場開催行事、事業所見学会~

三現主義を実体験する「事業所見学会」。
今回は、6月に開催した「昭和産業株式会社 船橋工場-事業所見学会- 」をご紹介します。

当日はJR 船橋駅に集合しました。

バスで10分ほど移動すると昭和産業株式会社 船橋工場に到着します。

見学会のスケジュールはこんな感じです。

見学会の後半にホットケーキの試食があります!

昭和産業 船橋工場の紹介

1. 昭和産業株式会社の概要

1936年に創業した昭和産業は、小麦、大豆、菜種、とうもろこしといった多種多様な穀物を世界中から輸入・加工し、業務用から家庭用まで幅広く展開する食品メーカーです。これほど多くの穀物を取り扱う企業は国内でも類を見ず、その取扱量は食品メーカーとして国内ナンバーワンを誇っています。「穀物ソリューションカンパニー」として、多種多様な食品素材を組み合わせることで、日本の食卓を広く支え続けています。

2. 船橋工場の特徴と役割

同社が全国に展開する生産拠点のなかで、鹿島工場、神戸工場と並ぶ中核を担っているのが船橋工場です。敷地面積は25mプール約180個分に及び、首都圏における製粉・プレミックス・パスタ製品の重要な生産・物流基地としての役割を果たしています。主な特徴として、以下の4点が挙げられます。

  • 一貫生産体制: 原料小麦の受け入れから、小麦粉の製造、そして最終製品であるプレミックスやパスタに至るまでを敷地内で一貫して行うことで、安定供給を可能にしています。
  • 家庭用主力工場: 天ぷら粉、ホットケーキミックス、パスタなど、一般家庭に直接届く主力製品の製造量が多い点が特徴です。
  • 迅速な顧客対応力: 同一敷地内に研究開発拠点「RD&Eセンター」が併設されており、市場やお客様からの要望に迅速に対応できる体制が整っています。
  • 環境への配慮: 立体倉庫とプレミックス第二工場の屋根に合わせて1,068枚の太陽光パネルを設置しています。年間約56.4万kWh(一般家庭約142世帯分に相当)を発電するなど、環境負荷低減に注力しています。

3. 最新鋭「プレミックス第二工場」の取り組みと品質管理体制

2022年9月に竣工した「プレミックス第二工場」は、同社の中で最も新しい最新鋭の工場です。主に家庭用のホットケーキミックスやお好み焼き粉、業務用の天ぷら粉(小袋)などを製造しています。当工場では、独自の食品安全品質マネジメントシステム「安全・安心三原則」に基づき、食品安全の徹底と生産性の向上が高次元で両立されています。

  • 密閉輸送と自動計量: 主原料の小麦粉は、隣接する製粉工場から密閉された配管を通じて空気輸送され、自動で正確に計量されます。その他の原料も自動計量装置を活用し、異物混入防止と省人化を実現しています。
  • 均一な混合と異物除去: 製品の品質を左右する混合工程では、原料ごとにミキサーの種類や運転条件を最適化し、ムラのない攪拌を行っています。混合後の粉はすべて細かい網のふるい機にかけられます。
  • 高度な工程管理とIoTの活用: すべての製造工程はコンピューターで厳密に管理され、作業員はタブレット端末でリアルタイムに稼働状況を把握しています。これにより、不要な待ち時間を排除し、リードタイムの短縮につなげています。
  • 自動化・省人化による効率化: 今後の労働力不足を見据え、これまで手作業であったロボットによる段ボール梱包や、無人搬送車(AGV)による資材搬送などを積極的に導入し、高い生産性を実現しています。
  • 厳格な出荷検査: 最終パッキングされた製品は、各種検査機器によるチェックを受け、さらに品質管理担当者による厳格な検査をクリアしたものだけが出荷されます。

同工場は、食品安全を徹底的に追求した設計と、最新の自動化設備・IoTの融合により、消費者へ確かな「安全・安心」を届ける次世代型の食品製造現場です。

4. 昭和産業の品質保証

昭和産業では、サプライチェーン全体(設計開発、原材料調達、製造、品質管理、出荷、お客様対応)におよぶ独自の品質保証体制を構築しています。

① 独自システム「FSQMS」の運用

一般的な食品安全マネジメントシステム(FSMS)の枠組みに、同社独自の「クオリティ(品質)」の視点を組み込んだ「食品安全品質マネジメントシステム(通称:FSQMS)」を構築・運用しています。ベースとなるHACCPに加え、FSSC22000やISO9001、AIBフードセーフティシステムといった国際規格を統合し、継続的な改善活動を行っています。

② 安全安心三原則に基づく各工程の管理

  • 原材料調達(問題のある原料を受け入れない):事前のサンプル検査や受け入れ時の確認、定期的なモニタリングを実施しています。副原料については規格書での確認に加え、製造工場への現地調査(監査)を行い、管理状況を確認しています。同社独自のチェックリストを用い、重大なリスクがあると判断された原材料は採用しない厳格な運用を行っています。
  • 製造段階(問題のある製品を作らない):生物的・化学的・物理的な3つの観点からハザード分析を実施しています。化学的ハザードとしてはアレルゲンのコンタミネーション(意図しない混入)防止管理を徹底し、物理的ハザードとしては微細メッシュのふるいや金属検出機、X線検査機による異物対策を行っています。また、アクセス制限や監視カメラの設置によるフードディフェンス(食品防御)プログラムにも注力し、万が一の際のトレーサビリティ(追跡可能性)を確保しています。
  • 出荷段階(問題のある製品を持ち出さない):日常的な品質検査体制の構築や担当者教育に加え、出荷に使用する輸送車両の衛生管理、さらには出荷先となる物流倉庫の監査まで実施しています。

③ 分析・検査の精度管理と外部認証

検査結果の信頼性を担保するため、グループ会社を含めた各品質保証室の間で分析値のクロスチェック(室間共同実験)を行っているほか、外部の公的認定機関のデータとも比較検証し、検査精度の維持・管理に努めています。また、各拠点でFSSC22000を取得しているほか、顧客ニーズに対応するため、一部の工場(鹿島、神戸など)でハラル認証を取得しています。近年はFSSC22000(バージョン6)の要求事項である「食品安全品質文化」の醸成に向け、従業員向けの分かりやすい4コマ漫画付き教育資料を作成するなど、啓発活動にも注力しています。

さらに、前提条件プログラム(PRP)に重点を置いた「AIBフードセーフティ監査」を取り入れ、「従業員の規範」「施設のメンテナンス」「清掃活動」「IPM(総合的有害生物管理)」の4つの観点から現場主導の衛生管理を徹底しています。また、油やパスタ、糖質製品などでJAS(日本農林規格)認証を保持しており、学校給食や自衛隊などの公共調達基準を満たすとともに、海外輸出への活用も進めています。

5.工場見学

製品の梱包をロボットで自動化している工程を見学しました。

解説している記事がありました。

自動化設備で生産能力倍増、昭和産業の“未来の基幹工場”が稼働:工場ニュース – MONOist

6. ホットケーキの試食

工場見学の後半では、同社の開発センターに所属する栄養士資格を持つ社員様より、昭和産業を代表する3種類のホットケーキミックスの特徴解説と、科学的なアプローチに基づく美味しい焼き方の実演、および試食会が行われました。

① 紹介された3種類の製品特徴

同社は多様なホットケーキミックスを展開しております。今回の実演では、その中から特徴的な3銘柄が紹介されました。

  • 「ホットケーキミックス」: 同社の最も王道となるロングセラー商品です。卵や卵黄を使用せず、シンプルな配合でお子様にも優しい設計となっており、飽きのこないおいしさが特徴です(高級タイプに比べ、市場では3~4倍の販売数量を誇ります)。
  • 「ケーキのようなホットケーキミックス」: 発酵バター粉末を使用した高級タイプの製品です。その名の通り、ケーキのようなサックリとした食感となめらかな口溶け、豊かな香りが楽しめます。
  • 「俺が好きなうすーくて、ちーちゃいやつ(90周年記念・堂本剛さんコラボ商品)」: 創業90周年を記念して発売された、アーティストの堂本剛さんとのコラボレーション製品です。従来のふんわりと厚みのあるホットケーキとは異なり、「薄く焼いてパクッと手軽に食べられる」という新しいコンセプトのもと、わずか3分で焼き上がるシャバシャバとした生地感が最大の特徴です。トッピングによる多様なアレンジ(ツナやクリームチーズ、ブルーベリーなど)にも対応しており、ファンの間でも非常に大きな反響を呼んでいます。

② 科学的根拠に基づく調理のポイント

実演では、粉体工学や食品化学の観点から、ホットケーキを最も美味しく仕上げるための技術的なコツが提示されました。

  • 原料(小麦粉・糖類・ベーキングパウダー)の役割 主原料の小麦粉は、加水して練ることで骨格となる「グルテン」を形成し、加熱時の膨らみを維持します。ここに砂糖やぶどう糖などの糖類が加わることで、心地よい甘み、香ばしい焼き色、そして良好な口溶けが生まれます。さらに膨張剤(ベーキングパウダー)に含まれる重曹と酸性剤が水・熱と反応して炭酸ガスを発生させることで、ふんわりとした食感に仕上がります。
  • ダマを防ぎ、食感を損なわない混ぜ方 混ぜる際は「必ず先に卵と牛乳をよく混ぜ合わせてから、最後に粉を入れる」ことが鉄則です。これによりダマの発生を防ぐことができます。また、混ぜ合わせる回数は「50~60回程度」に留め、多少粉玉が残るくらいで止めることが重要です。きれいに混ぜようと過剰に攪拌(かくはん)してしまうと、グルテンが必要以上に形成されて粘りが強くなり、焼き上がりが「固くてギュッとした重い食感」になってしまうためです。
  • 均一な焼き色と厚みを出す火加減・流し方 焼成時の最適温度は170℃~180℃です。フライパンを使用する場合は、一度熱したフライパンを濡れ布巾などで「じゅー」と少し冷ますことで温度が安定し、焦げ付きを防いで均一な焼き色になります。温度が低すぎる状態で生地を流すと、焼き色がつく前に炭酸ガスの泡が逃げてしまい膨らまなくなります。また、生地を流す際は「高めの位置から1点を目がけて落とす」ことで、生地が自然に丸く広がり、厚みが均一になります。表面にプツプツと穴が開き、生地の縁が乾いてきたときがひっくり返す最適なタイミングです。

今回の工場見学は、あまり受け入れ実績がない状況で本当に綿密に準備いただき

本社からも社員の皆様が説明しに駆けつけてくださいました。

本当にありがとうございました。

また、事業所見学会を企画・運営した五味事業・広報委員 ありがとうございました。

★追記★

わたしも、自宅で焼いてみました。もっと練習します!

事業・広報委員会 茨木陽介

投稿者プロフィール

ibaraki

Follow me!