1月開催のシンポジウムレポート

~講演とパネルディスカッションで品質管理を深堀するシンポジウム~

講演とパネルディスカッションで品質管理を深堀りする「シンポジウム」。
今回は、1月に開催した「TQMを経営にどのように活かしていくか-TQMの指針の活用- 」をご紹介します。

講演1 TQMの指針(日本品質管理学会規格)の概要 規格原案作成委員長/技術士 安藤之裕 氏

最初に品質管理学会が発行している「TQMの指針」の説明がありました。

「TQMを規定した瞬間に、そのTQMは古いものになってしまう」と言われるように、社会の変化にあわせてTQMも常に変化が必要になります。このようにTQMは「変化」を前提としているため「規格化」することに懐疑的な意見もあり、なかなか規格化されませんでした。

しかし、「規格化」されないことによる弊害(例:わかりにくいため、企業がTQMの導入に躊躇する。等)もあったため、「土台」づくりとしてTQMの規格の策定がなされました。

日本品質管理学会において「TQMの指針」はデミング賞などの実践を通じて培われその効果が実証されてきた考え方に基づいて作られています。

デミング賞で最も重要視していることは「経営目標・戦略を策定し実現するために活動し効果を上げること」と言えます。簡単なように思えるかもしれませんが、実際はとても難しいことです。

将来の発展に必要な組織能力が獲得できていることがポイントになります。

このほかにも、「TQMの指針」の第四章を中心に解説がありました。

事例紹介1 明電舎プラント建設本部におけるTQMの取り組み 明電舎 プラント建設本部本部長 土屋浩 氏

明電舎は日本の重電五社の一角を占める企業です。

プラント建設本部では、水処理設備・電鉄設備・社会システム(道路分野など)・自動車試験設備・受変電設備などの工事・施工をしています。

中期経営計画の達成にむけて、方針を展開したMAPを作成し、TQM活動に携わるメンバーに腹落ちするまでフォローアップすることが成功のカギになります。

またQCN活動プロジェクトにも取り組んでいます。「QCN」は明電舎の企業スローガンである「Quality connecting the next」の略称です。全国の各課から優秀な人材を多様に集め、プロジェクトチームを編成しています。各現場から課題を抽出して、課題として解決することで徹底的に生産性を高めています。優秀な人材をピックアップしているためプロジェクトの進行はとても速いそうです。「風力発電の保守点検」「安全体感教育の外販」などの新規業務も開拓できました。工事は地域や分野で受注状況にどうしてもバラツキが生じて現場の負荷が均一になりません。そこで地域や分野に関わらず人員を流動化させて異動や応援に駆け付けることで負荷状況にあった人員シフトを行い収益体制の強化につなげています。

人材育成では現場の30代前半の幹部候補の社員をメンターにして相談や助言できるようにした結果、新入社員がキャリアプランをイメージしやすくなりました。また、新入社員を一年間、教育してから現場に配属するようにしたため、即戦力として活躍しています。

ICTを活用して働き方改革を実現しています。現場一元化管理システムバイタルデータ管理を活用して災害の未然防止を図っています。

https://meidensha.co.jp/

事例紹介2 コロナ禍で失ったもの、得たもの、そしてこれからの目指すべきTQM 島田鉄工 専務取締役 島田将徳氏

島田鉄工は石川県小松市にあります。

職人技術と先端技術を融合させることにより高精度板金部品の製造を得意分野とし、それらを基軸としたサブアッセンブリ品を主要生産品としています。

TQMを中心とした改善活動や経営強化のおかげで業績は右肩上がりです。

そんな島田鉄工もTQM強化宣言の前は小集団改善活動がほとんどない状態で、個人プレーによる生産のバラツキや業務の中で仕事を覚える昔ながらの教育体制で課題も多かったそうです。

TQMのきっかけとなったのはISO14001の導入です。5S活動で工場がきれいになり環境意識も高まりました。また、エコステージという環境のマネジメントシステムを導入したことで、環境の監査をエコステージの組合企業が相互に行うようになりました。組合企業との交流が生まれ、社内では得られない多くの気づきや視点を得ることができました。
そうした中で、社内で改善活動が活発になり、TQMにも力を入れ始めました。改善・共育・品質を核にしています。教える側も学ぶつもりで活動する意思を込めて「共育」としました。TQM活動の推進にともない、ヒヤリハットも着実に対応できるようになりました。不具合件数も減ってきています。工程ごとに工数が設定されており実際に工数通りに作業できたかを「消化率」と言いますが、これも改善しました。TQMの結果、「地力」がついてきたと実感できたそうです。

しかし、そんな島田鉄工もコロナ渦に見舞われます。また同じ時期に残業規制や注文の増大、豪雪など多重苦を経験します。なかなかTQMができない状況になりました。

厳しい状況下でしたが、島田鉄工はコロナ渦でも業績を残すことができました。

コロナでTQMの活動が停滞して改めて気づいたことがあると言います。それは単にTQM活動を継続することが重要なわけではないということです。TQMさえ行えばよいわけではなく、継続すべきは「意思」「社訓」「ビジョン」であり、時々立ち止まって取捨選択して活動することの重要性に気づかされました。

現在はコロナ等の多重苦は解消されつつあり、TQMにも取り組めるようになりました。業者とのコミュニケーションやパートナーシップの強化・デジタル(DX)とアナログの融合・見積もり精度の向上に取り組んでいます。

事例紹介3 IHIエスキューブにおけるボトムアップ改善活動(QV活動)の推進事例紹介 IHIエスキューブ 品質保証部 部長 益田衡 氏

IHIエスキューブはIHIグループの情報技術を担っています。ICTの技術でグループを支援しており、派遣社員も含めるとおよそ1000名の組織です。

講演では、マネジメントシステムにおけるボトムアップ活動をテーマにお話を伺うことができました。

IHIエスキューブではQV(Quality Value)活動を2017年度から始まりした。QV活動は社内の小集団活動であり、QCサークルをイメージすると良いでしょう。

最初の3年間(phase1)は推進体制づくりや教育に力を入れました。

業務別に7名程度で編成したチームをサポートするために課長クラスをQVチームサポーター、部長クラスを進捗管理者にしてQVチーム・サポート体制の構築しました。また社内の統合マネジメントシステムにもQV活動を組み込み、各事業部の統合マネジメントシステムの推進役もQV活動をサポートしました。

教育についてはQCサークルの進め方だけでなく、経済産業省が定義している「社会人基礎力」に着眼した研修も行いました。

phase1では日科技連の講師の協力のもと改善手法を標準化しハンドブックを配布して普及を図ったほか、改善を7つのステップに定義しステップごとに進捗確認するなど事務局が手厚くサポートしていました。

次の3年間(phase2)はQV活動の本来の目標である「完全自走化」をするために、施策や管理を意図的に減らしています。小集団のチームが自主的な活動を進める環境を作りました。改善手法は課題達成型と施策実行型を追加し、改善対象の幅が広がりました。チームの裁量を増やして活動の自由度を高めた結果、改善活動が活発になり、注文書の電子化やBCP手順書の見直しによる災害時通信インフラの復旧時間の大幅短縮などレベルの高い活動成果が得られたそうです。

品質革新賞も受賞しましたが、「活動への従業員満足度の更なる向上」「活動テーマの質向上」など新たな課題に向けて取り組みを続けています。

講演2 TQMを活用して組織能力を向上し経営目標・戦略を達成する-品質賞の効用- 中央大学 中條武志 教授

事例紹介のあと、中條先生からTQMデミングと品質賞について講演がありました。

顧客のニーズや自社の技術・リソースは常に変化しており、自分たちの組織が変わらざるを得ません。そのため、組織は経営目標・戦略を立ててドライブをかけています。人や組織は簡単に変われません。

TQMは何かと問われたら、結局、なかなか変わることができない組織・人を変えていく方法論であると考えると良いのではないでしょうか。

では、「こういう風に行動してほしい」と話をすれば、みんなが行動してくれるのでしょうか?

そんなことはないですよね。

話だけでなく、みんなに実際に行動してもらうそこで自分たちがやっていることの意味が理解できるのです。だから実際に行動してもらうことは非常に大事です。

問題は「TQM」と「経営目標・戦略の達成」が乖離しがちで、リンクしなくなってしまうことです。この間をつなぐのが「組織能力」です。一人一人の能力を結びつけるような組織としての仕掛けが必要になります。教育だけでなく、実践の場を提供することもTQMに含まれます。

品質賞をうまく活用することでTQMのドライブすることができます。

デミング賞に挑戦している企業の組織運営の特徴は次のようなものがあります。

  • トップのリーダーシップの発揮と業種・規模・経営環境に応じつ明確な顧客志向の経営指標・戦略の策定
  • 経営目標・戦略の達成に向けたTQMの活用
  • 経営目標・戦略について顕著な効果と将来の発展に必要名能力の獲得

なお、組織はそれぞれ異なるため、TQMの内容は組織や経営環境に応じた独自のものになります。

講演では、品質賞の受賞企業の取り組みの例として「新製品・新サービスの開発と組織の部門間連携」「未然防止活動と日常管理」「改善活動」「人づくりと能力開発」の説明もありました。

パネルディスカッション TQMを経営にどのように活かしていくか

シンポジウムの締めくくりとして、参加者から募集した質問を中心に中條先生がコーディネーターとなり登壇者全員でディスカッションをしました。

質疑の内容をいくつかご紹介します。

Q1.弊社ではTQMに関心のある人が少ない。会社全体で取り組みたいが、一社員として何から取り組めばよいでしょうか

A1.社長など経営層との接点が少ない場合、経営層を説得することは難しい。まずは、自分自分で成果を出すことから始めると良い。成果を出せば着目してもらえる。自分ができる領域で成果を出してTQMを推進すればいい。

Q2.人づくりの継続は難しいと思うが、意識づけはどうしていますか?

A2.人材不足で戦力化が重要課題。やりがいや社会人としての成長も働くうえで大事である。教育を通じて夢を与えたい。教育時間の総数は減少しているかもしれないが、動画やリモートなどを活用し効率を高めている。現場が率先して多能工化しており、個人が仕事を考えて会社に提案をするようになった。人材マップを整備しスキル毎に必要な人材を算出して効果的に教育するとよい。

参加者の声(抜粋)

手探りでTQMをやっていたが、自分の考えが間違っていなかったと感じられた

各社の取り組みに特徴があり、非常に参考になった

TQM手法の詳細にふれることができた

今後の日々の活動に参考になった

品質管理学会では様々なテーマでイベント・行事を開催しております。

募集中のイベント・行事は下記からご確認ください。

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2月開催のクオリティートークレポート

~品質管理の旬な話題や情報をお届けするクオリティートーク~

品質管理に関わるすべての人を対象に開催している「クオリティートーク」。話題の書籍の著者や、旬なスピーカー、魅力的な学会メンバーなどが情報発信して、参加者と本音で語り合う「場」です。
今回は、2月に開催した遠藤幸一先生の「統計解析アプリを使って少し楽に行う信頼性データ解析」をご紹介します。

スピーカー 遠藤幸一先生

遠藤先生は2021年まで、大手電機メーカーで半導体の業務をされていました。現在は、大学や研究機関でご活躍されています。

「TQMを規定した瞬間に、そのTQMは古いものになってしまう」と言われるように、社会の変化にあわせてTQMも常に変化が必要になります。このようにTQMは「変化」を前提としているため「規格化」することに懐疑的な意見もあり、なかなか規格化されませんでした。

しかし、「規格化」されないことによる弊害(例:わかりにくいため、企業がTQMの導入に躊躇する。等)もあったため、「土台」づくりとしてTQMの規格の策定がなされました。

日本品質管理学会において「TQMの指針」はデミング賞などの実践を通じて培われその効果が実証されてきた考え方に基づいて作られています。

デミング賞で最も重要視していることは「経営目標・戦略を策定し実現するために活動し効果を上げること」と言えます。簡単なように思えるかもしれませんが、実際はとても難しいことです。

将来の発展に必要な組織能力が獲得できていることがポイントになります。

このほかにも、「TQMの指針」の第四章を中心に解説がありました。

事例紹介1 明電舎プラント建設本部におけるTQMの取り組み 明電舎 プラント建設本部本部長 土屋浩 氏

明電舎は日本の重電五社の一角を占める企業です。

プラント建設本部では、水処理設備・電鉄設備・社会システム(道路分野など)・自動車試験設備・受変電設備などの工事・施工をしています。

中期経営計画の達成にむけて、方針を展開したMAPを作成し、TQM活動に携わるメンバーに腹落ちするまでフォローアップすることが成功のカギになります。

またQCN活動プロジェクトにも取り組んでいます。「QCN」は明電舎の企業スローガンである「Quality connecting the next」の略称です。全国の各課から優秀な人材を多様に集め、プロジェクトチームを編成しています。各現場から課題を抽出して、課題として解決することで徹底的に生産性を高めています。優秀な人材をピックアップしているためプロジェクトの進行はとても速いそうです。「風力発電の保守点検」「安全体感教育の外販」などの新規業務も開拓できました。工事は地域や分野で受注状況にどうしてもバラツキが生じて現場の負荷が均一になりません。そこで地域や分野に関わらず人員を流動化させて異動や応援に駆け付けることで負荷状況にあった人員シフトを行い収益体制の強化につなげています。

人材育成では現場の30代前半の幹部候補の社員をメンターにして相談や助言できるようにした結果、新入社員がキャリアプランをイメージしやすくなりました。また、新入社員を一年間、教育してから現場に配属するようにしたため、即戦力として活躍しています。

ICTを活用して働き方改革を実現しています。現場一元化管理システムバイタルデータ管理を活用して災害の未然防止を図っています。

https://meidensha.co.jp/

事例紹介2 コロナ禍で失ったもの、得たもの、そしてこれからの目指すべきTQM 島田鉄工 専務取締役 島田将徳氏

島田鉄工は石川県小松市にあります。

職人技術と先端技術を融合させることにより高精度板金部品の製造を得意分野とし、それらを基軸としたサブアッセンブリ品を主要生産品としています。

TQMを中心とした改善活動や経営強化のおかげで業績は右肩上がりです。

そんな島田鉄工もTQM強化宣言の前は小集団改善活動がほとんどない状態で、個人プレーによる生産のバラツキや業務の中で仕事を覚える昔ながらの教育体制で課題も多かったそうです。

TQMのきっかけとなったのはISO14001の導入です。5S活動で工場がきれいになり環境意識も高まりました。また、エコステージという環境のマネジメントシステムを導入したことで、環境の監査をエコステージの組合企業が相互に行うようになりました。組合企業との交流が生まれ、社内では得られない多くの気づきや視点を得ることができました。
そうした中で、社内で改善活動が活発になり、TQMにも力を入れ始めました。改善・共育・品質を核にしています。教える側も学ぶつもりで活動する意思を込めて「共育」としました。TQM活動の推進にともない、ヒヤリハットも着実に対応できるようになりました。不具合件数も減ってきています。工程ごとに工数が設定されており実際に工数通りに作業できたかを「消化率」と言いますが、これも改善しました。TQMの結果、「地力」がついてきたと実感できたそうです。

しかし、そんな島田鉄工もコロナ渦に見舞われます。また同じ時期に残業規制や注文の増大、豪雪など多重苦を経験します。なかなかTQMができない状況になりました。

厳しい状況下でしたが、島田鉄工はコロナ渦でも業績を残すことができました。

コロナでTQMの活動が停滞して改めて気づいたことがあると言います。それは単にTQM活動を継続することが重要なわけではないということです。TQMさえ行えばよいわけではなく、継続すべきは「意思」「社訓」「ビジョン」であり、時々立ち止まって取捨選択して活動することの重要性に気づかされました。

現在はコロナ等の多重苦は解消されつつあり、TQMにも取り組めるようになりました。業者とのコミュニケーションやパートナーシップの強化・デジタル(DX)とアナログの融合・見積もり精度の向上に取り組んでいます。

事例紹介3 IHIエスキューブにおけるボトムアップ改善活動(QV活動)の推進事例紹介 IHIエスキューブ 品質保証部 部長 益田衡 氏

IHIエスキューブはIHIグループの情報技術を担っています。ICTの技術でグループを支援しており、派遣社員も含めるとおよそ1000名の組織です。

講演では、マネジメントシステムにおけるボトムアップ活動をテーマにお話を伺うことができました。

IHIエスキューブではQV(Quality Value)活動を2017年度から始まりした。QV活動は社内の小集団活動であり、QCサークルをイメージすると良いでしょう。

最初の3年間(phase1)は推進体制づくりや教育に力を入れました。

業務別に7名程度で編成したチームをサポートするために課長クラスをQVチームサポーター、部長クラスを進捗管理者にしてQVチーム・サポート体制の構築しました。また社内の統合マネジメントシステムにもQV活動を組み込み、各事業部の統合マネジメントシステムの推進役もQV活動をサポートしました。

教育についてはQCサークルの進め方だけでなく、経済産業省が定義している「社会人基礎力」に着眼した研修も行いました。

phase1では日科技連の講師の協力のもと改善手法を標準化しハンドブックを配布して普及を図ったほか、改善を7つのステップに定義しステップごとに進捗確認するなど事務局が手厚くサポートしていました。

次の3年間(phase2)はQV活動の本来の目標である「完全自走化」をするために、施策や管理を意図的に減らしています。小集団のチームが自主的な活動を進める環境を作りました。改善手法は課題達成型と施策実行型を追加し、改善対象の幅が広がりました。チームの裁量を増やして活動の自由度を高めた結果、改善活動が活発になり、注文書の電子化やBCP手順書の見直しによる災害時通信インフラの復旧時間の大幅短縮などレベルの高い活動成果が得られたそうです。

品質革新賞も受賞しましたが、「活動への従業員満足度の更なる向上」「活動テーマの質向上」など新たな課題に向けて取り組みを続けています。

講演2 TQMを活用して組織能力を向上し経営目標・戦略を達成する-品質賞の効用- 中央大学 中條武志 教授

事例紹介のあと、中條先生からTQMデミングと品質賞について講演がありました。

顧客のニーズや自社の技術・リソースは常に変化しており、自分たちの組織が変わらざるを得ません。そのため、組織は経営目標・戦略を立ててドライブをかけています。人や組織は簡単に変われません。

TQMは何かと問われたら、結局、なかなか変わることができない組織・人を変えていく方法論であると考えると良いのではないでしょうか。

では、「こういう風に行動してほしい」と話をすれば、みんなが行動してくれるのでしょうか?

そんなことはないですよね。

話だけでなく、みんなに実際に行動してもらうそこで自分たちがやっていることの意味が理解できるのです。だから実際に行動してもらうことは非常に大事です。

問題は「TQM」と「経営目標・戦略の達成」が乖離しがちで、リンクしなくなってしまうことです。この間をつなぐのが「組織能力」です。一人一人の能力を結びつけるような組織としての仕掛けが必要になります。教育だけでなく、実践の場を提供することもTQMに含まれます。

品質賞をうまく活用することでTQMのドライブすることができます。

デミング賞に挑戦している企業の組織運営の特徴は次のようなものがあります。

  • トップのリーダーシップの発揮と業種・規模・経営環境に応じつ明確な顧客志向の経営指標・戦略の策定
  • 経営目標・戦略の達成に向けたTQMの活用
  • 経営目標・戦略について顕著な効果と将来の発展に必要名能力の獲得

なお、組織はそれぞれ異なるため、TQMの内容は組織や経営環境に応じた独自のものになります。

講演では、品質賞の受賞企業の取り組みの例として「新製品・新サービスの開発と組織の部門間連携」「未然防止活動と日常管理」「改善活動」「人づくりと能力開発」の説明もありました。

パネルディスカッション TQMを経営にどのように活かしていくか

シンポジウムの締めくくりとして、参加者から募集した質問を中心に中條先生がコーディネーターとなり登壇者全員でディスカッションをしました。

質疑の内容をいくつかご紹介します。

Q1.弊社ではTQMに関心のある人が少ない。会社全体で取り組みたいが、一社員として何から取り組めばよいでしょうか

A1.社長など経営層との接点が少ない場合、経営層を説得することは難しい。まずは、自分自分で成果を出すことから始めると良い。成果を出せば着目してもらえる。自分ができる領域で成果を出してTQMを推進すればいい。

Q2.人づくりの継続は難しいと思うが、意識づけはどうしていますか?

A2.人材不足で戦力化が重要課題。やりがいや社会人としての成長も働くうえで大事である。教育を通じて夢を与えたい。教育時間の総数は減少しているかもしれないが、動画やリモートなどを活用し効率を高めている。現場が率先して多能工化しており、個人が仕事を考えて会社に提案をするようになった。人材マップを整備しスキル毎に必要な人材を算出して効果的に教育するとよい。

廣野元久氏のとの共著です。JMP(ジャンプ)という統計ソフトをつかった
信頼性高額の本です。

信頼性工学の解析を扱った貴重な書籍です。
アプリを使った現場に近い内容で、「どのように解析したらよいのか?」と悩んだときに
手に取って頂ければと思います。

信頼性解析の解説と使用例がかなり収録されています。

参加者の声(抜粋)

手探りでTQMをやっていたが、自分の考えが間違っていなかったと感じられた

各社の取り組みに特徴があり、非常に参考になった

TQM手法の詳細にふれることができた

今後の日々の活動に参考になった

品質管理学会では様々なテーマでイベント・行事を開催しております。

募集中のイベント・行事は下記からご確認ください。

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