私の提言 品質管理には産学連携が必要不可欠
広島大学 髙橋 勝彦
現在、QCサークル活動など品質管理は広く産業界に普及していますが、QCサークル活動や品質管理活動は推進していても学会には入会していない企業や企業人も多いと思われます。一方、品質管理を教育研究していても、産業界との連携には余り接点がない、あるいは興味がない学会員もいます。しかし、品質管理における学会活動、その中でも産学連携活動は品質管理の進化や発展に必要不可欠といえます。
いうまでもなく、品質管理は管理技術の一つであり、その管理対象は,製品やサービスを作り出す仕組みや活動になりますが、そのような仕組みや活動は、毎回完全には同じことの繰り返しとはならない、複雑で不確実なものであるといえます。特に、原材料や部品を世界各地から調達し、複数拠点で生産し、世界各地に供給するグローバルサプライチェインなど、典型的に大規模複雑で不確実な仕組みや活動といえます。
またその仕組みや活動に多数で多様な人間が介在し、作り出した製品やサービスを提供する顧客も人間であることも、不確実な要因といえます。さらには、昨今世界各所で起こる災害など不測事態や現象は、品質管理で対象とする仕組みや活動を益々難しいものとしています。
不確実で複雑な対象を、またその目的も変化する下で管理する際には、確立された理論や技術が継続して効果を発揮する保証はありません。そのため、品質管理の理論や技術も常に変化に対応し続けることが求められるといえます。実際の製品やサービスの仕組みや活動の現象や因果関係を把握し、分析し、管理の理論や技術の進化発展に繋げる活動継続が求められます。
そのような継続的な管理の理論や技術の進化発展には、実践の現場で改善を継続すると同時に、その改善を一般化する理論や技術、方法が必要となり、そのための産学連携が必要不可欠といえます。その際の産学連携は、産の活動水準をさらに引き上げる活動でもあり、管理の理論や技術、方法の発展につながる学のための活動でもあるといえます。
そのような意図から、産業界の方々の更なる品質管理学会への入会と、学会活動における産業界と学界の幅広い連携推進により、品質管理に関する産学双方の進化発展を期待しています。
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