JSQC規格 「品質管理教育の指針」講習会ルポ
TQMの実践に必要な人材を育てる
2023年6月8日(木)午後に、JSQC規格「品質管理教育の指針」講習会が開催された。今回が5回目で前回に引き続きオンラインでの開催となった。参加者は27名、働き方の変化を反映して自宅・勤務先からの参加がそれぞれ約半数であった。
冒頭、JSQC事業・公報委員会の廣野元久委員長より開会挨拶と本規格制定のねらいが示された。講師は、大学での指導・企業での実務経験を経て、デミング賞の審査員も務めたTQMの第一人者である日本科学技術連盟の光藤義郎氏であった。講習会は、1)前半60分で品質管理教育の基本と計画、2)中盤60分で実施段階での運営と評価、3)後半30分でTQM及び部門別の品質管理教育のポイントについて解説された。
1)品質管理教育の基本と計画では、教育は会社のビジョンに対応して体系的・戦略的に取り組む必要があること、投資であって経費ではないこと。成果が定量的に見えないが10年やっている会社とやっていない会社では「組織の肌感」が全く違ってくることを豊富な体験をもとに解説された。2)実施段階での運用と評価では、段階別・プログラム別の考慮すべき事項について具体的に示された。3)TQM及び部門別の品質管理教育では、特に個別対応が求められる営業・サービス部門において標準化やプロセス管理の考え方が定着しておらず、問題の科学的解決、背景にある構造や共通点を見つける水平展開のセンスを養う教育が重要との解説が印象的であった。
質疑応答では、中小企業の経営者に教育の重要性を説くにはどうすればいいかとの問いに、役員コース教育の受講、業界他社の経営者の話が有効なことが示された。TQMの教育は、問題になっている部分に焦点を絞ることの重要性を強調された。さらに約40分を割いて人財育成に関するトピックをお話しいただき、昨今の品質不正の問題に対しては、先生独自の「性弱説」を示された。
全体を一貫したわかりやすい論理と深い経験を踏まえた腹落ちする解説であっという間の4時間であった。
駒坂 昇一(旭化成ホームズ(株))
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