第149回クオリティトークルポ
品質マネジメントのAI活用に倫理のススメ
AIの活用が加速している。従来の品質管理では製品の適合性が中心であり、AI活用の倫理やリスクは対象範囲外という認識もあった。しかし、AIの普及に伴いISO 9001:2026でも「倫理的視座」の観点が含まれる可能性が高い。このクオリティトークは、品質管理とAIリスク管理との関連に重点を置き、現場や商品開発などでのAI活用、さらに利用者としてAIを使用した製品・サービスを運用する場面など、幅広い範囲で論点を整理できるものであった。
AIの活用は、開発や研究用途のみならず、例えば、従来は人間の目と頭で行っていた現場の品質監査なども、AIを使うと効率的なチェックができる利点もある。(もちろん最後は人間が判断しなければならない。)
これに伴い、AI活用によるインシデントを考慮する必要があり、TQMやQMSもAIの進化の影響を受ける。製品開発時の機能安全面でのリスク低減に加え、利活用時も含めた多様な場面で、人間の尊厳や精神の負担へのリスクを考えなければならなくなった。
AI倫理はこれからの品質の根幹に関わるようになる。社会的信頼性を満たすために品質の世界もAIリスク管理が重要になり、AI利活用に対するガバナンス監査も必要になってくる。政府によるAI事業者ガイドライン(2024)の活用や、ELSI (Ethical Legal & Social Issues)の概念の浸透も進めるべきである。
最後に、クオリティトークで初の試みとしてZoom上でのグループ演習を行い、議論と理解を深めた。まず、社員の健康データを24時間取得してAIで健康への注意や成長意欲促進の助言を行うという架空のサービスを想定した。次に、数人のグループに分かれ、このサービスのメリットと「モヤモヤ」を言語化してリスクを抽出し、リスク分類マップに配置しながら、運用者と利用者のリスクが一致しているか、対策が実施され、双方が納得できるものになっているかを検討した。
問題提起、グループ討論ともに、AIと品質管理に関する方向性が整理でき、非常に有意義な回であった。
小川 文子(オークマ(株))
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