トピックス 学会誌 新連載「私のTQM履歴書」のお知らせ
学会誌編集員会委員 茨木 陽介

学会誌で新しい連載がスタートします
学会誌「品質」でVol.55,No.2(2025年4月15日発行)から、新連載「私のTQM履歴書」がスタートします。本連載では、「産」の実務者、「学」の先生の経験をもとに、TQM(Total Quality Management)に取り組んできた軌跡を振り返りながら、実務・研究の中で培った知見や学びを共有していきます。
新連載にあたり狩野紀昭先生をはじめとする先生方や実務者の皆様にご相談し貴重なアドバイスをいただきました。
TQMと聞くと、統計的手法や品質管理手法を駆使した生産現場の改善活動を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、TQMは単なる技術論にとどまらず、企業文化の変革や組織の成長にも深く関わる概念です。日本企業は戦後、品質管理の導入を進めることで、世界に誇る「メイド・イン・ジャパン」の信頼を築きました。その礎には、多くの企業がQC(Quality Control)からTQC(Total Quality Control)、そしてTQMへと進化させてきた歴史があります。
実務者の皆様も同様に、この品質管理の道を歩まれた方が少なくありません。キャリアの初期には、QC手法を学びながら現場で試行錯誤を重ねる日々を送り、やがて、TQCの考え方を経営に取り入れ、組織全体の品質向上を図ることの重要性に気づかれた方もいらっしゃると思います。さらに、グローバル競争の激化や市場環境の変化を背景に、TQMという枠組みのもと、経営戦略の中核として品質を位置づける視点を持つようになった方も多いのではないでしょうか。
執筆者は「産」「学」のリレー形式
本連載では、一人の執筆者が前編・後編の2号にわたって掲載します。執筆者は「産」「学」が交互にリレーし、実際に直面した課題や、それを乗り越えるための試みを、具体的なエピソードを交えながら紹介していきます。例えば、
- 現場改善のためのQCサークル活動の推進
- 経営層を巻き込んだTQMの導入プロセス
- 海外拠点での品質管理の課題と対応策
- デミング賞への挑戦
- JSQC規格の制定
といったテーマを掘り下げ、実務に役立つ示唆を提供します。
TQMを成功に導く鍵は、「人」にあると確信しています。どれほど優れた手法を導入しても、それを活用するのは人です。経営層がTQMを理解し、現場の従業員が納得し、自らの仕事の価値を実感できるような環境を整えることが何よりも重要です。そのための組織文化の醸成や、人材育成の取り組みについても、本連載の中で触れていきたいと思います。
品質管理に関わる全ての方に
TQMに関心のある経営者の方、品質管理の最前線で奮闘されている方、そしてこれからTQMを学ぼうとしている方にとって、本連載が少しでもお役に立てば幸いです。執筆者の皆様に経験談を率直に綴っていただくことで、読者の皆さまと共に品質管理の本質を見つめ直す機会にできればと願っています。
それでは、4月から始まる「私のTQM履歴書」、どうぞよろしくお願いいたします。

投稿者プロフィール

最新の投稿
お知らせ2025年3月14日ニューズNo,419を読む
お知らせ2025年3月14日トピックス 学会誌 新連載「私のTQM履歴書」のお知らせ
お知らせ2025年3月14日私の提言 モノづくりの根底をなす品質管理教育のあり方
お知らせ2025年3月14日第441回事業所見学会ルポ
株式会社デンソー九州
北九州工場