トピックス JSQC規格「品質管理用語」の改正

標準委員会委員長 中條 武志

品質管理用語を定義したJSQC規格が改正されました。

規格改正のねらい

 JSQC規格については5年ごとに見直しを行い、継続、改正または廃止を決めることになっています。
 JSQC-Std 00-001「品質管理用語」の初版は、2011年に当学会初の規格として発行されました。その後、2018年にISO 9000(JIS Q 9000)の2015年改訂を受けて改正しています。この度、発行後5年経過したこと、また、一連のJSQC規格が出そろったことを受けて、再度改正を行いました。
 今回の改正のねらいは、他のJSQC規格で定義された用語のうち重要なものを取り込み、品質管理分野でよく用いられる一連の用語についての整合性のある定義を示すことです。
 初版発行時の「発行にあたって」の中で述べられている認識「用語の定義は、その領域の研究・実践・応用の根幹を成すものであると同時に、文化風土に根ざした使用する人の感性に馴染んでいることが欠かせない」は、今回の改正にあたっても基本としています。このため、敢えてISO規格・JISと異なった定義を行っているものもあります。これらについては、その相違点および異なった定義をした理由を一覧表にまとめています(付録C)。

改正の経緯

 改正の経緯は以下の通りです。
 (1)2023年1月 標準委員会で改正提案書が承認。原案作成委員会は標準委員会が兼ねることになりました。
 (2)2023年5月 改正作業原案完成。
 (3)2023年7月 第1回審議委員会開催。改正委員会原案が完成。
 (4)2023年7~8月 パブリックコメント募集。29件のコメントが集まる。
 (5)2023年8月 第2回審議委員会開催。改正最終案が完成。
 (6)2023年9月 標準委員会で改正最終案について、パブリックコメントが適切に処理されたこと、JSQC規格の様式に適合していることを確認。
 (7)2023年9月26日 理事会承認。
 この場を借りて、改正原案作成委員会、改正審議委員会にご協力いただいた方々、パブリックコメントを出していただいた方々に対し、厚くお礼申し上げます。

主な改正内容

 今回の主な改正点は以下の通りです。
 (1)他のJSQC規格で定義されている「2.6 ニーズ」、「6.16 局所要因」「6.17 組織要因」、「8.8 顧客価値創造」、「11.8 品質不正」、「12.12 実施計画」、「12.13 部門横断チーム」、「14.7 階層別分野別教育体系」、「14.8 研修プログラム」、「16.10 組織文化」の10項目を追加しました。
 (2) 旧「16.9 組織能力像」については、見出し語を「組織能力」に置き換え、注記で組織能力像について説明するようにしました。
 (3) 既存の用語および追加した用語について、大幅ではありませんが、わかりやすいよう、他との統一がとれるよう表現を修正しました。
 (4) 「4.4 プロセス保証」、「7.9 三現主義」、「14.1 小集団改善活動」については、新たに注記を追加しました。また、「13.1 日常管理」については、注記の内容(特に維持向上の活動を指す)を定義に明示的に組み込みました。
 (5) そのほか、「2.1 製品・サービス/製品」については、見出し語の順番を入れ替え、「製品・サービス」を主に使用する用語にしました。また、同等の意味を持つ見出し語として、「13.6 工程異常」に「異常」を、「14.3 改善・革新チーム」に「改善チーム」を、「14.5 品質管理教育」に「品質マネジメント教育」を追加しました。
 (6)「付録A 対応する英語」についても、追加した用語に対応する英語を示すようにしたほか、いくつかのマイナーな修正を行いました。

広い活用を期待して

 本規格については、様々な分野で広く活用いただくため、冊子体による頒布を行わず、学会ホームページでPDF版を公開することにしました。いろいろな場面で積極的に引用・ご活用いただければと思います。
 本規格が品質管理を普及・深耕していく上で、多くの方々に役立てば幸いです。

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jimukyoku01
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