私の提言 日本品質管理学会への期待

ダイハツ工業  森本 国浩

 品質保証に携わる立場から、JSQCへの期待を述べさせていただきます。
 企業における品質保証レベルは、確実に向上してきていると思いますが、それでも新たな問題は起こります。
 その度に、「この要因は、本来どのプロセスで保証されるべきだったか?」と振り返る毎日ですが、多くの事例を見てきて、やはりとても重要だなと思うことが二つあります。
 一つは、「品質マネジメントシステム(しくみ)の質」です。
 お客様にご提供する製品・サービスの質も、そのための個々の仕事の質も、しくみで担保されていることが大事だということです。当たり前のことと思われるかもしれませんが、問題の原因を紐解くと、個人スキルや経験に依存しており、しくみで保証できていないことがまだまだ多いと感じています。
 また、昨今は、コト事業、データ駆動経営、サプライチェーンの拡大 等、従来のしくみでは担保が難しい課題も増え、その重要性は更に増していると思います。
 二つめは、「現地現物の拘り」です。
 コロナの影響で、現地現物の機会が減り、リモートでの業務が増え、パソコンに映る画像やデータだけでなんとなく分かった気になってしまいがちですが、やはり多くの真実は、現地に行き、現物を見て触り、なぜ? と考えることで初めて解明されます。先日も、品質問題のあった海外の取引先様の現場でいろいろと確認させていただくと、技術的な発生原因の背景に、コロナの影響で日常管理を維持できない人員で稼働されており、真因は運営面にあるとわかりました。本質的な課題に言及するには、現地現物の拘りが絶対条件であると改めて痛感しました。
 品質立国を目指す上での課題は、この二点だけでなく多岐にわたると思いますが、諸課題への対応は常に後手に回っている印象です。
 JSQCは、品質に関する世の中の変化や現実的な課題にいち早く対応し、拠り所となる考え方や対応方法をタイムリーに示すことが期待されていると思います。
 また、そのために、学会員の皆様と現場のリアルな課題や対応論についてもっと議論しあい、活動を活性化してことが大切であると考えます。
 私も微力ではありますが、皆様と一緒に取り組んでまいります。

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