私の提言 学校と協働して子供たちに問題解決力を!
東京学芸大学 山下 雅代
DXの波が押し寄せる中、学校教育においても、一人一台の端末が配布され、統計教育やデータサイエンス教育が充実化されています。その中で、単に知識を得るだけでなく、得た知識を活用して身近な問題を解決する探究的な学びが重視され、コマづくりや地域の活性化などのテーマを通して、データを活用しながら問題解決を図るといった素晴らしい実践も増えてきました。
一方で、日々、児童・生徒に向かい合う教員の中には、自身が統計を習ってきておらず、分析やデータを活用した問題解決の指導に苦手意識があるケースも依然として多い印象があります。この他にも、GIGAスクール構想への対応、教員不足、子供の貧困・発達障害などの福祉的な問題の増加など、子供や教員を取り巻く環境は厳しくなっており、教員だけの努力では、最早立ち行かなくなって来ています。
こうした諸課題に対応するために、2020年から順次施行されている新しい学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程の実現」が謳われ、地域と学校が連携・協働して子供たちが直面する諸課題に対応していくことが目指されています。各地域には、地域学校協働活動推進員(コーディネーター)が配置され、学校と地域との橋渡しを担ってくれています。他にも例えば、東京都にはTEPRO Supporter Bankという学校や教育委員会にサポーター(有償・無償)を紹介するマッチングサイトがあり、学校と地域との連携を支援する取組みが始まっています。
問題解決力育成のためには、QCストーリーのような問題解決プロセスに沿って、QC七つ道具のような手法を活用し、解決する経験が重要です。私は今まで、鈴木和幸先生(電気通信大学名誉教授、JSQC元会長、TQE特別委員会委員長)や椿広計先生(統計数理研究所所長、JSQC元会長)をはじめとしたTQE特別委員会の皆様のご指導の下、学校教育へQC的問題解決法の啓蒙・普及を図るべく、活動して参りました。 今後は、これらの活動をより促進して参る所存です。
未来を担う子供たちの問題解決力育成のために、JSQC会員の皆様にもお力添えをお願いできますと幸甚です。
学校と協働して、日本の全ての子供達がQC的問題解決法を習得できる未来の実現のために、皆様と一緒に歩めたらと思っております。
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