JSQC規格「日常管理の指針」講習会ルポ
−日常管理の本質を学ぶ−
JSQC規格「日常管理の指針」講習会が4月17日(月)にオンラインで開催された。本規格原案作成委員会委員の古谷健夫氏を講師に迎え、参加者は20名であった。日常管理の悩み事を持つ企業人にとって、興味深い講習会であった。日常管理とは日常業務の目的を効率的に達成するために現場が行う行為であり、かつ日常的に実施されなければならない分掌業務であるということである。日常管理は定型業務の多い現場だけでなく、非定型業務と考えられるスタッフや営業、などすべての職種に必要な活動であるということである。
講義では古谷講師の実務家ならではの語りで言葉の裏にある意味、目的について学びを深めることができた。日常管理は維持と向上ではなく、維持向上は1つであるというお話は深みのあるものであった。日常管理の進め方として、SDCAサイクルを回す際、業務をプロセスフローで明確にし、分析していくとお聞きし、具体的な事例から方針管理との違いについても、わかりやすく説明された。教育と訓練については、プロセスの標準化と、上流工程での異常の検出が大切であること、異常を効果的に検出できる項目、役に立つ管理項目を作ることが必要だということが理解できた。また、品質意識を高めるためには、「異常を見つけることは良いことである」という文化を作ることと知り、報告しやすい雰囲気を醸成することは、職場で心理的安全性を保つことにもつながり、ひいては品質不正の防止に繋がると感じた。最後に異常の根本原因の追究として原因追及フローをご紹介いただいた。
質疑応答では、講師から、個別性を超えた俯瞰的な視点で捉え、その抽象的な中に管理項目を設定してみてはどうか。また品質管理は、身近なところから取り組むとよいというアドバイスをいただいた。また、ISOの受審が表層的な目的になっている危険性を示唆いただき、SDCAの視点での日常活動の状態を正しく測定することにより、絶えざる維持向上が品質管理の基盤であると強く感じられる有意義な講習会であった。
廣野 元久((株)リコー)
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