JSQC規格「方針管理の指針」講習会ルポ
-方針管理によって改善・革新を促進する-
表題のオンライン講習会が、2023年3月16日午後、約30名の参加者の中で開催された。講師の安藤之裕先生は、まず副題「変化への対応の切り札」に力を込めて本講習会の目的を語られ、参加者の心を引き込む講演スタートとなった。
TQMの中核となる活動は、プロセス及びシステムの維持向上、改善及び革新である。変化の中で事業目的を達成するためには、従来の延長に無い改善及び革新が必要であり、この取り組みを全員参加で行う活動が方針管理である。そして成果が得られれば標準化を行い日常管理(維持向上)に活かして行くというPDCAとSDCAの関係等を明快に解説いただいた。続いて、方針管理のプロセスの中核は、組織方針の策定、展開、実施と管理、期末レビューにあるが、展開では上位と下位や関連部門間のすり合わせが重要と強調された上で、部門における方針管理の進め方を中心に解説いただいた。
規格をまとめる上での意見調整の過程や、少々未完成で発行に至った部分などをお話しいただけたことにも本講習会の大きな価値を感じた。参加者は、規格の制約条件や応用可能範囲などを理解し、規格を正しく使える能力を与えていただいたのではないだろうか。
質疑応答では多くの質問が出たが、安藤先生は決して高い立場からではなく、常に質問者と回答を共創することに心を尽くされていたように感じた。質疑の中では経営者の立場からと思われるものが目立った。今回解説いただいた規格は、中長期経営計画・事業戦略に基づいた期ごとの事業計画をマネジメントすることに焦点を当てているが、経営者は組織のビジョンを明確に示せと言われても、どうやって整理し、決定すればよいのか迷うことも多いと思う。今後、ビジョンの明確化を含む、中長期経営計画・事業戦略の策定に焦点を当てた指針の制定も期待したいところである。
次々と質疑応答が続く、学会ならではの白熱した講習会を、多くの参加者が楽しめたのではと感じる短い4時間であった。
西川 史一(QMS審査員)
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