JSQC規格 「日常管理の指針」講習会ルポ
-日常管理の本質を学ぶ-
JSQC規格「日常管理の指針」講習会が3月15日(火)にオンラインにて開催された。本規格原案作成委員会委員の安藤之裕氏を講師に迎え、参加者は23名であった。今回の講義のサブテーマは、「なぜ日常管理か、どんなご利益があるのか」と日常管理を学ぶ初学者としては大変興味深いテーマであった。医療機関においては、第三者評価にISOを取り入れる施設も多く、品質管理の考え方は徐々に導入されているが、管理的視点や尺度が全体に浸透しているとはいえない状況にある。今回医療現場における日常管理について、改めて学びたいと思い講習会に参加した。
前半の講義では、具体事例を通して学びを深めた。日常管理の進め方として、SDCAサイクルを回す際、業務をプロセスフローで明確にし、分析していくとお聞きし、自部署での業務の特定と分析にも活用してみたいと思った。具体的な事例から方針管理との違いについても、わかりやすく説明された。管理項目と水準についての事例を、自部署の医療安全管理に置き換えて考えたり、医療の質管理における不適合に照らし合わせながらお聞きした。教育と訓練については、プロセスの標準化と、上流工程での異常の検出が大切であること、異常を効果的に検出できる項目、役に立つ管理項目を作ることが必要だということが理解できた。
そして、品質意識を高めるためには、「異常を見つけることは良いことである」という文化を作ることと知り、報告しやすい雰囲気を醸成することは、医療安全におけるインシデントレポート提出や、職場で心理的安全性を保つことにもつながると感じた。最後に異常の根本原因の追究として原因追及フローをご紹介いただいた。
後半の質疑応答では、「異常と不適合の違い」「医療現場で日常管理をどう浸透させるか」等の質問があった。講師からは、医療分野においても、個別性を超えた俯瞰的な視点で捉え、その抽象的な中に管理項目を設定してみてはどうか。また品質管理は、身近なところから取り組むとよいというアドバイスをいただいた。学びを臨床現場に活かしていきたい。
深川良美(京都大学医学部附属病院)
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