私の提言 「品質マネジメント規格要求の有効活用」
三菱重工環境・化学エンジニアリング(株) 澤村 祐一
私は約40年前の学生時代、経営工学科に所属し圓川隆夫先生(東京工業大学 名誉教授、JSQC元会長)の研究室で、卒論を「消費者選考評価における製品属性の階層化の方法」というテーマで取組み、消費者の視点で顧客固有の満足且つ品質の良い商品を供給する手法を提供するといった内容で学び品質管理の分野に入りました。
就職は三菱重工業で名古屋航空機製作所に配属され、主にボーイング社向けの旅客機(767、777)の胴体構造体組立の生産計画、生産技術業務に従事しました。
品質保証業務にどっぷりつかったのは2001年に相模原製作所に転勤になった時で、自動車部品のターボチャージャーの品質保証を担当するようになり、米国IATFの品質規格QS9000要求を満たすためにAPQP(先行製品品質計画)、PPAP(生産部品承認プロセス)、SPC(統計的工程管理)等の品質管理手法をクライスラー社、フォード社等客先要求で強いられやらされ感でスタートしましたが、QS9000(現IATF16949)の基盤になるISO9001の要求事項を時間をかけてしっかり構築するうちに、これは経営上利益を確実に出せる手法だと気づき始めました。企業とは継続的に発展するには先ず顧客満足(品質、価格等)を得る製品、サービスをお客さまに供給して、その売り上げの中で適正な利益を得てその資本を元に次に繋がる投資をしていくサイクルを廻すことが重要だと判りました。
ISOで要求されているマネジメントレビュも規格要求だから1年に一回やるのではなく、前述のサイクルを廻すための手法として事業所トップ以下全員参加で3ケ月毎に実施し、事業状況をタイムリーに全社員に開示し至らぬところを共有し改善していく方法として活用することで、PDCAを確実に回せるようになりました。年1回のISO外部審査でもオープニングで被監査側から審査員に積極的に事業状況等のプレゼンテーションを行い、審査機関には自ら気付かないところをどしどし指摘して欲しいとの前向きな要求を行い、審査機関も当方の意図を理解頂き、様々な提言を頂きQMS構築を成し遂げられました。
手前味噌ですが、是非企業の方々も折角のISO外部審査を「攻めの方法」で有効に活用することで経営状況の改善に活用することをお勧めいたします。
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