第126回クオリティトーク ルポ
「製品安全と品質」

 2021年10月6日(水)に、二橋岩雄会長をお迎えして、オンライン形式で第126回クオリティトークを開催した。
 「製品安全と品質」をテーマに取り上げた背景は、絶たない品質不祥事、製品事故、天変地異に加えて、技術の高度化、DXの進展など様々なリスク・課題に直面する経営環境において、日本のモノ・コトづくりの強みをさらに高めるために、「安全と品質」を大切にする考え方と技術手法を再整理して世に広めるべきとの考えに至ったとしている。
 冒頭に、二橋氏がトヨタ自動車(株)の品質担当役員として、2009年3月の社内SQC大会において、若手の技術者に伝えた講演内容を紹介いただいた。品質はトヨタの大事な暖簾であり、皆がトヨタを代表する気持ちでお客様を守り、お客様の心を掴むために、失敗に目をそむけず、現場に立ち、現地・現物で考えることを訴求するとともに、技と心を学び続け、根をしっかり張ることを目指す姿としている。
 そして、上述の講演から10余年を経過したものの、自動車リコールは高止まり、安全・品質に関する社会の眼はより一層厳しさを増す中で学んだ教訓として、重大製品事故の防止は、製品が残存する期間の長短に関わらず求められることに加えて、品質の良し悪しはお客様が決めるため、誤使用も想定した設計的配慮が必要であり、失敗を虚心坦懐に振り返り、リスクの芽を摘む行動に活かすことが大切との示唆があった。
 最後に、思い出に残る品質向上活動として、市場品質問題の早期発見・早期解決組織の立ち上げ、QCサークル活動などを挙げ、全ての品質活動は未然防止に収斂されることに加えて、全員参加で進めるTQMの進化と普及を期待して講演を締め括られた。
 二橋氏が示された品質管理の要諦が、品質を志し集うJSQCのDNAとなり、将来に亘って品質危機を乗り越え、品質立国を確固たるものにする原動力になることを希求し、本稿の結びとしたい。

新倉 健一(前田建設工業(株))

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