私の提言「先人の知恵を学ぶ仕組みの再構築」

元・マツダ(株)武重 伸秀

 日本の企業や学術団体、自治体といった組織は、第二次世界大戦後、進化を続けながら多大なる社会貢献を果たしてきました。しかし、1990年代のバブル崩壊を境にその進化のスピードは鈍り、現在の仕事の生産性は先進国の中でも下位に位置しています。この停滞の要因を探るには、かつての日本を支えた仕組みの本質を問い直す必要があります。
 日本の高度経済成長を支えたのは、戦後米国から流入した統計的品質管理に、“人が品質を作る”という日本独自の哲学を融合させた品質管理であり、疑う余地はありません。この根幹をなすのは、“良い仕組みを人の改善力で回す”という組織の本質を捉えた考え方であり、その具体的な実践方法がPDCAサイクルです。PDCAとは、物事を計画し、実行し、その結果を振り返って次に活かすという、人や組織の行動原理そのものを表現したものです。そして、計画の段階で過去の成功や失敗から導き出された先人の知恵を活かすことは、成長のために欠かせない前提条件です。ドイツの政治家ビスマルクが説いたように、“賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ”ものですが、バブル崩壊以降の日本においては、多くの経営者が先人の知恵を学ぶことを疎かにし、個人の経験だけに頼って仕事をしているように感じております 。
 歴史から学ぶ姿勢を欠いたままPDCAを回しても、真の成長は望めません。成長が止まれば組織は現状を維持することに忙殺され、他社の進化に追いつけず業績が悪化するという負のスパイラルに陥ってしまいます 。私は2000年頃からシックスシグマをはじめとする様々な管理技術を学んできましたが、世界最高峰は今も、そして今後も日本の品質管理であり続けると確信しています。それは、社会に属する人や組織の本質を捉えているためです。
 しかし、残念ながらバブル崩壊以降、品質管理の講座は劣化を続け、その結果、多くの組織がその価値を十分に引き出せていないのが実状です。
 現在はコンピュータやITの進化によるCAEやAIの進化により、仕事の環境は劇的に変化しています。こうした最新技術を有効活用するためにも、今こそ仕事の進め方に関する先人の知恵である品質管理を再整理し、学びの仕組みを再構築することが、日本社会の再生に向けた重要な鍵となると考えます。

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jimukyoku01
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