JSQC規格 講習会ルポ プロセス保証の指針「品質はプロセスで作りこむ」

 2021年2月25日(木)午後、JSQC規格「プロセス保証の指針」講習会がオンラインで開催された。参加者数は62名、このうち関東地区以外からの参加が半数程度を占めており、オンライン化により遠方からも講習を受けやすくなったことが伺えた。

 斉藤事業・広報委員会委員長からの開会挨拶に続いて、「プロセス保証の指針」原案作成委員会の山田秀委員長より講演が進んだ。規格制定のねらい、プロセス保証の役割と構成要素といった全体像が冒頭で説明された後、プロセス保証の5つの構成要素である「標準化」「工程異常への対応」「工程能力の調査・改善」「トラブル予測・未然防止」「検査・確認」それぞれについて解説された。プロセス保証の基本・進め方・ツールの下位に5要素が属する構成となっている規格とは異なる順序で、要素ごとに基本・進め方・ツールが説明され、各要素の理解を促すよう工夫されていた。また、規格自体は、あらゆる産業をカバーするよう一般的表現で記述されているが、解説では現場や身近なモノの具体例が交えられ、聞き手が規格を解釈しやすいものであった。

 最後の全体討論(質疑応答)では、斉藤事業・広報委員会委員長の司会により進められた。「問題発生時、防止策検討など社内外でどう対応すべきか」、「標準の見直しを行う仕組みはどのようなものが良いか」、「工程FMEAにおける対策後、標準とするタイミングはどのように判断したらよいか」「目視検査でのエラープルーフはどのように行うのか」「FMEAにおけるモードの抽出はどのように行うのか」「医療現場では、プロセス保証の構成要素のうちどれから、またどのように取り組むべきか」などの質問や意見が示され、司会・講師・受講者間での意見交換がなされた。

 終了時のオンラインアンケートでは、十分あるいはほとんど理解できたという回答が大半を占め、受講者にとってプロセス保証に関する体系的理解を深める機会であった。

下野 僚子(東京大学)

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