第149回講演会ルポ
品質不正の防止とTQMの活用
2023年6月30日、関西支部主催講演会がハイブリッド形式(対面・リモート)にて開催されました。
関西支部・猪原教授より開会のご挨拶の後、講演(1)では中條武志教授(中央大学)により「品質不正の防止とTQMによる変化に対応できる・変化を生み出せる組織能力の獲得」についてご講演いただきました。講演では、事故・トラブル・不祥事と人の行動の関係性や、顧客・社会のニーズの変化及び自組織のシーズの変化への対応を可能とする組織能力を獲得する手段としてのTQMについて、その全体像を判りやすくご解説いただきました。また、デミング賞受賞組織で実践されているTQM活動の7つの特徴についてご紹介いただき、TQMの実践が組織文化を変えるための方法の一つであることをご紹介いただきました。
次に、講演(2)では高倉宏氏(トヨタ自動車九州(株))により「トヨタ九州におけるTQMの取り組み」についてご講演いただきました。講演では、トヨタ自動車九州殿において、経営環境の変化によりTQM活動の強化に取り組むこととなった経緯や、デミング賞へのチャレンジを「錦の御旗」にしてTQM推進に取り組んだことが紹介されていました。また「方針管理への取組」では、会社方針のテーマに方針管理/日常管理が混在して議論の時間が膨大となっていたものが、これらを層別して「重点指向によるテーマ絞込み」を行い、マネジメント効率化が図られた実例が解説されました。「組織能力の取組」では、「現場力」を定義し、これを各職場で評価して向上につなげる活動や、長期ビジョンに対して組織能力と方策の紐付けを行い、既存の仕組をフル活用することにより経営戦略と人財戦略を連動させる方法論についてご紹介いただきました。
講演会参加者数は対面・リモート合わせて103名で、質疑応答や意見交換も活発に行われ、大変有意義な講演会でした。
鈴木 啓介(川崎重工業(株))
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