私の提言 すべては2Sから
愛知工業大学 経営学部 仁科 健
名古屋工業大学では東海地区の中小企業を対象として工場長養成塾を開講しています。今年度で17回を数えることになりました。平成16年度、17年度の経済産業省による製造中核人材育成事業の一つとして採択されたのが、そもそもの始まりです。これまで、491名の塾生が学びました。参加費は55万円。9月末から3月はじめまでの35日(約200時間)の長丁場の教育プログラムです。
この事業に運営の立場と講師の立場で参画したことによって、多くの学びを得ました。その一つが2S(整理・整頓)です。今更ながらですが、整理とは、要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てること、整頓とは、要るものを使いやすいように決められたところに置くことです。英訳としてSorting(整理)とSetting in order(整頓)を充てています。
2Sの第一ステップは、工具の置き場所の徹底など、職場の2Sですが、2Sの対象を仕事のしくみにまで進化させます。仕事のしくみの整理・整頓とは、しくみにムリはないか?ムラはないか?ムダはないか?の視点から改善(整理)につなげ、そして標準化(整頓)することです。ここで注意すべきことは、ムダ・ムラ・ムリ(ダラリ)ではなく、ムリ→ムラ→ムダの順であることです。すなわち、まずは安全であり、まずは楽なしくみであるかどうかに視点をおきます。ここから、改善とは「改楽」であることを再認識しました。整頓(標準化)されたしくみは、現地・現物によるいつもの状態の見える化を可能にします。いつもの状態の見える化は維持管理へとつながり、そして、維持管理は問題の顕在化につながり、プロセスの整理(改善)へとつながるサイクルとなります。
マネジメントの基本であるPDCAのサイクルを効率的かつ効果的にまわす秘訣は?と問われたならば、迷わず「2Sです」と答えます。品質を工程でつくり込むためには、プロセスの見える化が欠かせないですし、そこには、やはりベースに2Sが必要です。整理・整頓によって、必要なものをすぐに取り出せます。これはまさに Just in Timeの思想につながります。考えてみれば、データ解析(データの要約、データによるモデル化)もデータの2Sです。
拙文の結論です。マネジメントはまず2Sから。
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