トピックス 第115回品質管理シンポジウム 報告
~原点回帰し、「方針管理」を見直すための議論が展開される!~

一般財団法人 日本科学技術連盟 品質経営創造センター 部長 安隨 正巳

 半世紀を超える歴史を誇る、日科技連主催「品質管理シンポジウム」(以下 QCS)」の第115回は、集合(大礒プリンスホテル)とオンラインのハイブリッド形式で 2023年6月1日~3日の日程で200名を超える参加者のもと開催された。テーマは「顧客価値創造を実現できる組織能力の獲得に向けて「方針管理」を見直す」であった。TQMのコアツールである方針管理に関して白熱した討論が行われたが、その模様を報告する。

 QCSは、(1)講演(2)グループ討論・発表(3)総合討論の3本柱で構成されている。
今回の講演者は前記の通りであった。

 紙面の制約から講演内容の紹介は割愛するが、方針管理に関する企業事例を中心として興味深い講演が数多く行われた。
 また、今回のトピックとしてはCOVID‑19の影響により3年間中止していたQCSの醍醐味「談話室(通称:QCバー)」の復活が挙げられる。

 企業を取り巻く環境変化に伴い、TQMそのものも大きく変化している。当然、方針管理活動もその範囲は広がり、ビジョン・中期経営計画・経営戦略などの設定条件やそのしくみの高精度化も求められている。その意味で、今回のQCSはこれからの方針管理の在り方を考える上で新たな提案もあり、今後に向けて意義深い議論が展開されたといえよう。
 グループ討論は、方針管理に関する8つの切り口からテーマが設置され、最終日には、8グループからの討論結果の発表後、参加者全体による総合討論が永田靖氏の司会で行われた。
 方針管理を確実に精度高く実施するためには、日常管理の実力が前提となる。そのためには、問題解決・課題達成の理解と実践が大切である。また、プロセスを変える必要が発生するときは方針管理、変える必要がないときは日常管理と区分する。さらに、顧客価値創造はコトつくりであり、これからはコトつくりの方針管理のしくみと方法論を検討する必要がある、などの提言も含め、大変意義深い討論が行われた。

 まとめ内容は、QCS webサイト(https://www.juse.jp/qcs/)に掲載しているので、是非参照して欲しい。

 次回のQCSは、日本科学技術連盟 理事長 佐々木眞一氏が主担当を務め、テーマ「日本の産業競争力向上を実現するこれからの品質経営~品質経営のパラダイムシフト~」として2023年11月30日~12月2日に開催される予定である。2019年にQCSで発出した「令和大磯宣言」を受け、「これからの品質経営」の研究を日科技連で重ねてきたが、その集大成ともいえる場である。多くの会社役員、部門長ならびに学術関係者の参加を期待したい。

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