トピックス「JSQC規格の英訳」

標準委員会委員 中條 武志

 TQMの活動要素を扱った6つのJSQC規格の英訳版が揃いました。

 JSQC規格英訳のねらい
 TQMは変化に対応する、変化を生み出せる組織能力を獲得するための方法論です。TQMを実践する場合、組織で働く一人ひとりが顧客重視、PDCAサイクル、全員参加などの原則を理解した上で、1)新製品・新サービス開発管理、2)プロセス保証、3)方針管理、4)日常管理、5)小集団改善活動、6)品質管理教育などの具体的な活動に取り組む必要があります。これらはTQMの核となる活動という意味で活動要素と呼ばれます(図・1参照)。

図・1 TQMの核となる活動要素

 各活動要素の役割・位置づけ、推進におけるポイントを理解しておくことは、活動要素を効果的に組み合わせてTQMを実践していく上で大切です。このため、日本品質管理学会では、2013~2019年にかけて6つのJSQC規格を発行してきました。
 しかし、事業がグローバル化し、コトづくりを目指して顧客やパートナーとのより密接な連携が求められている状況を考えると、日本人だけがこれらの規格の内容を理解していてもだめで、海外の人に広く知ってもらい、活用してもらうことが大切です。
 このような思いから、標準委員会が中心になって進めてきたのがJSQC規格の英訳です。最初の英訳版の発行が2014年で、6番目の「新製品・新サービス開発管理の指針」の英訳版が発行されたのは2022年1月です。

 JSQC規格翻訳の仕組み
 JSQC規格の翻訳版の発行の仕組みについては、「日本品質管理学会規格翻訳内規」に定められています。

 (1)JSQC規格の翻訳を希望する委員会、部会、研究会、会員は、翻訳目的、スケジュール等を文書で提案する。
 (2)標準委員会は、提案文書に基づいて、JSQC規格の目的・範囲に合っているかどうかを審議し、妥当と判断した場合には、翻訳委員会を設置する。
 (3)翻訳委員会は翻訳案を作成する。
 (4)標準委員会は、翻訳案を確認し、理事会の承認を受けて発行する。

 翻訳委員会のメンバーは、標準委員会の委員4~5名が務めています。また、下訳の作成や翻訳案の英文チェックについては、インド、米国、英国などの品質管理専門家の協力を得ています。さらに、下訳の作成費用は、企業からの寄付金など、外部資金を活用しています。
 翻訳版の規格番号は、(E)などを付けて区別することになっています。また、日本語版のJSQC規格は、現在のところ紙媒体で頒布していますが、翻訳版については、海外の人が購入・利用する場合が多いことを考慮し、PDFファイルによる頒布を行っています。価格は1部25$(会員20$)に設定していますが、なるべく多くの人に活用してもらうために、購入部数による大幅な割引を設けています(例えば、100部で7割引など)。

 JIS規格やISO規格との連携
 「新製品・新サービス開発管理の指針」を除く5規格については、JIS化が図られています(JIS Q 9023、9026~9029、9029は準備中)。また、これらのJIS規格の英訳版の作成も、JSQC規格の英訳版を活用して順次進められています。
 ISO 9001などの品質マネジメント関係の国際規格を開発しているISO/TC176との連携も、標準化委員会のメンバーがTC176の主要メンバーに、JSQC規格やJIS規格の英訳版を紹介する形で行われています。
 英訳版の作成は、関係者の献身的な努力で支えられていますが、TQMの活動要素を扱った6つのJSQC規格の英訳版が、より多くの人に活用され、TQMを正しく理解し、効果的に実践する手助けとなることを願っています。


 

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標準委員会委員 中條 武志

 TQMの活動要素を扱った6つのJSQC規格の英訳版が揃いました。

 JSQC規格英訳のねらい
 TQMは変化に対応する、変化を生み出せる組織能力を獲得するための方法論です。TQMを実践する場合、組織で働く一人ひとりが顧客重視、PDCAサイクル、全員参加などの原則を理解した上で、1)新製品・新サービス開発管理、2)プロセス保証、3)方針管理、4)日常管理、5)小集団改善活動、6)品質管理教育などの具体的な活動に取り組む必要があります。これらはTQMの核となる活動という意味で活動要素と呼ばれます(図・1参照)。

図・1 TQMの核となる活動要素

 各活動要素の役割・位置づけ、推進におけるポイントを理解しておくことは、活動要素を効果的に組み合わせてTQMを実践していく上で大切です。このため、日本品質管理学会では、2013~2019年にかけて6つのJSQC規格を発行してきました。
 しかし、事業がグローバル化し、コトづくりを目指して顧客やパートナーとのより密接な連携が求められている状況を考えると、日本人だけがこれらの規格の内容を理解していてもだめで、海外の人に広く知ってもらい、活用してもらうことが大切です。
 このような思いから、標準委員会が中心になって進めてきたのがJSQC規格の英訳です。最初の英訳版の発行が2014年で、6番目の「新製品・新サービス開発管理の指針」の英訳版が発行されたのは2022年1月です。

 JSQC規格翻訳の仕組み
 JSQC規格の翻訳版の発行の仕組みについては、「日本品質管理学会規格翻訳内規」に定められています。

 (1)JSQC規格の翻訳を希望する委員会、部会、研究会、会員は、翻訳目的、スケジュール等を文書で提案する。
 (2)標準委員会は、提案文書に基づいて、JSQC規格の目的・範囲に合っているかどうかを審議し、妥当と判断した場合には、翻訳委員会を設置する。
 (3)翻訳委員会は翻訳案を作成する。
 (4)標準委員会は、翻訳案を確認し、理事会の承認を受けて発行する。

 翻訳委員会のメンバーは、標準委員会の委員4~5名が務めています。また、下訳の作成や翻訳案の英文チェックについては、インド、米国、英国などの品質管理専門家の協力を得ています。さらに、下訳の作成費用は、企業からの寄付金など、外部資金を活用しています。
 翻訳版の規格番号は、(E)などを付けて区別することになっています。また、日本語版のJSQC規格は、現在のところ紙媒体で頒布していますが、翻訳版については、海外の人が購入・利用する場合が多いことを考慮し、PDFファイルによる頒布を行っています。価格は1部25$(会員20$)に設定していますが、なるべく多くの人に活用してもらうために、購入部数による大幅な割引を設けています(例えば、100部で7割引など)。

 JIS規格やISO規格との連携
 「新製品・新サービス開発管理の指針」を除く5規格については、JIS化が図られています(JIS Q 9023、9026~9029、9029は準備中)。また、これらのJIS規格の英訳版の作成も、JSQC規格の英訳版を活用して順次進められています。
 ISO 9001などの品質マネジメント関係の国際規格を開発しているISO/TC176との連携も、標準化委員会のメンバーがTC176の主要メンバーに、JSQC規格やJIS規格の英訳版を紹介する形で行われています。
 英訳版の作成は、関係者の献身的な努力で支えられていますが、TQMの活動要素を扱った6つのJSQC規格の英訳版が、より多くの人に活用され、TQMを正しく理解し、効果的に実践する手助けとなることを願っています。


 

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