トピックス 新規研究会「社会基盤型運輸システム品証研究会」設置のお知らせ
社会基盤型運輸システム品証研究会 主査 岡部 康平
交通・物流系における自動・自律化の先端技術が社会インフラの基盤として社会に定着するために求められる品質保証の在り方について、実務的並びに学術的な観点から包括的に議論する研究会を新たに設置します。
交通・物流系の社会基盤的な新規事業が成功するためには、複数企業の様々な製品が混在する自律・分散系の運用制度と、それら製品群を統括管理する統合・管制系の運用制度との両立が重要な課題となります。個別製品としての通常の品質管理だけでなく、公共サービスとしての品質管理も欠かせません。しかし、その様な包括的な運用体系、さらに、その管理体制については、議論や研究がまだ希少であり、それらの確立に向けて、より多くの科学的知見が求められています。
新規研究会では、交通・物流系の社会基盤的な新規事業の創出・参入を促進することを目標に掲げ、品質保証の観点からドローン等を用いた次世代型運輸システムの運用・管理体系を検討することにより、ドローン等の産業規格化や認証制度などの環境整備に貢献したいと考えています。検討テーマは社会実装が急速に進む(1)自動車の自動安全運転技術、(2)ドローンの自動航行技術、(3)サービスロボットの自律搬送技術の3分野に注目します。
自動車分野における自動・自律化技術の実証実験は今や世界中で実施されています。同様に、ドローンの社会導入も国際航空法の改正や国際製品規格の新規策定などが世界規模で進んでいます。また、サービスロボットにおいても、ラストワンマイル等の移動サービス(MaaS: Mobility as a Service)での活用が既に始まっています。このような世界的競争の中で、日本でも国家的プロジェクトで自動・自律化技術の産業応用が推進されていますが、ビジネスモデル等の策定支援や事前評価をも支援する枠組みのあるプロジェクトは多くありません。新技術の社会実装を推進する学会活動などの社会的な支援の拡充が望まれます。新規研究会では上記3分野における自動・自律化技術の魅力的品質の創生とその管理体制を具体的に議論し、検討結果を品質管理学会規格(新製品・新サービス開発管理の指針)への活用につなげることを目指します。
上記の3分野は高速通信や人工知能などの多様な新技術が結集されます。新規研究会では、各分野の専門家に協力を仰いで新技術とその産業化の動向について情報共有するとともに、公共サービスや社会福祉などの今後の社会ニーズについても調査し、最新技術が社会基盤として要求される当たり前品質や開発目標とすべき魅力的品質を検討します。そして、新規研究会での知見や成果が上記分野における新規事業のビジネスモデル等に反映されるように、下記の課題に重点的に取り組みます。
(1) PPP/PFI制度に代表される官民連携事業の成功事例の調査
(2) 官民連携事業のビジネスモデルに関するシステム論的な分析
(3) 自動・自律化技術が社会インフラとして定着するための技術的・制度的課題の検討
(4) 持続可能性(Corporate Sustainability)の観点からの品質管理技術の検討
(5) 品質管理学会規格(新製品・新サービス開発管理の指針)の活用
(6) 社会基盤型運輸システムにおける品質保証の体制・体系の提言
新規研究会は準備会の立ち上げ段階から信頼性・安全性計画研究会と連携して活動しております。活動の場をさらに広げるべく、新たな委員研究会メンバーを幅広く募集しております。品質保証、ロジスティックス、ソーシャル・マーケティング、さらには社会保障や環境保全などの最前線で活躍されている方々の参画をお待ちしております。詳細は募集案内(4ページ)をご覧ください。
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