私の提言 ソフトウェアシステムに対する品質ソリューションの推移と対応

(株)ベリサーブ 東 弘之

 当社は、日本のメーカーやソフトウェアベンダーが作るプロダクトやサービスを対象に、ソフトウェア品質の向上を支援する会社です。私は2001年の会社設立時から在籍しており、ソフトウェア検証をはじめとするソフトウェア品質支援活動を一筋に従事してきました。これまで、PCアプリ、家庭用ゲーム機ソフト、黒物家電、スマートデバイス、エンタープライズシステム、モビリティなど、さまざまなプロダクトやシステムに対するソフトウェア品質ソリューションに携わってきました。
 入社当時と比べ、現在のソフトウェアはより膨大に、複雑に、重要になってきており、ソフトウェアの価値は飛躍的に向上しています。併せて当社のソリューションも過去と比べて大きく変化しました。20年前は(1)製品そのものの品質を測る「開発プロダクト品質」ソリューションの提供が中心でしたが、近年では(2)ソリューション範囲が開発上流側にシフトして、要求文書や設計文書、それらのトレーサビリティに関するソリューションが増加しています。また、(3)開発プロセスの分析および可視化、改善、標準化を行う「開発プロセス品質」ソリューションや、(4)開発プロジェクトを円滑に進めるためのプロジェクトマネジメントを支援する「開発プロジェクト品質」ソリューションも増えてきています。これら(1)から(4)の品質ソリューションを組み合わせて提供するケースもあります。また、商品のニーズ志向化による開発・リリースサイクルの短縮化やシミュレーションを活用した開発上流での品質確認など、ソリューションに必要な技術も変化してきています。ソリューション品質を保つための手法開発や技術者育成など、さまざまな取組みが必要です。
 開発のプロセス品質、プロジェクト品質およびプロダクト品質の関係性を示し、最適なソリューションの組み合わせを行うことは目指すべきところではありますが、難しく苦戦しています。各種課題の解決に向け、引き続きさまざまな研究文献や報告を見聞きすること、有識者と良い議論を繰り返すことこそが、アドバンテージにつながるソリューションを生み出す原動力になると信じています。知識の吸収や気付きの誘発を行っていくためにも貴学会を最大限に活用し、当社のソリューションが良い製品やサービス作りに貢献できれば、これ以上のことはありません。

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jimukyoku01
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