トピックス JSQC規格「TQMの指針」発行にあたって
「TQMの指針」原案作成委員会委員長 安藤 之裕
TQMの指針をまとめたJSQC規格が発行されました。
規格開発のねらい
これまで,当学会では方針管理、日常管理、小集団改善活動などのTQMの活動要素についての規格を整備してまいりましたが、その基となるTQM自体についての規格がありませんでした。それは、TQMとは、多くの組織の努力により常にその新しい形が提示され続けてきたものであり、画一的な型があるわけではなく、業種・業態さらには各組織のその時々の状況により柔軟に応用され、時代の変化とともに進化していくべきものであり、TQMを規格化しようという試み自体が間違っているという見解もあるため、その制定には躊躇せざるを得なかったためです。
一方で、TQMを導入していない組織や導入したものの未だ成熟度の低い組織にとっては、その多様性がTQMをわかりにくいものにしてしまい、導入に躊躇してしまったり、推進途中で方向性を失って迷走したりしてしまう例も散見されています。また、独自性を強調するあまり、基本と大きくかけ離れた自己流のTQMに陥り、成果をあげられないばかりか弊害を生んでしまっている例もあります。
そこで、本規格は、多方面からのいろいろなご批判をいただくことを覚悟のうえで、敢えて一つの考え方を示し、今後TQMを導入しようとする組織、導入し始めた組織、あるいは再構築したい組織などが、それぞれの実情に適したTQMを構築し始める前に、その土台作りに役立つように、TQMの基本の推奨事項を指針としてまとめたものです。
開発から発行までの経緯
本規格は、当学会規格管理規定に従って以下の経緯で開発されました。
・21年1月、標準委員会において開発提案書承認
・21年2月から計15回の原案作成委員会・準備委員会を経て原案完成
・22年1月、標準委員会での原案の確認と審議委員会の設置
・22年2月、審議委員会にて、審議委員会原案作成
・22年3月、パブリックコメント募集
・22年4月、審議委員会でパブリックコメント対応と規格最終案作成
・22年5月23日、理事会承認・発行
本規格は、当学会として初めてすべての会合をリモートで実施して開発しました。今後の規格開発に一石を投じたものだと考えています。
規格の内容
本規格は、規格の狙いなどを述べた序章に続き、規格として定型的な1章「適用範囲」、2章「引用規格」、3章「用語と定義」から始まります。次に4章では、5章以降の具体論を支えるTQMの基本について概説しています。5章では、TQMの前提となる、組織として目指すべき経営目標・戦略が満たすべき条件及びその策定において留意すべき点について述べたうえで、6章ではその経営目標・戦略を達成するために必要な組織能力を明確にし、それを獲得するためのTQMの推進について述べています。7章では、TQMの実践結果に基づいて経営目標・戦略に対する効果を診断・見直すとともに、経営目標・戦略そのものを見直す方法について述べTQM推進のCAPDを回す方法を述べています。さらに、8章では、7章までの指針に沿って実践してTQMの基礎が整った後、自組織に適したTQMを持続的に発展させていくための方向性について述べて締めくくっています。
参考:JSQC規格一覧URL
https://jsqc.org/jsqcstd/
なお、本規格に関する第一回講習会を、2022年8月25日にリモート形式で開催いたします。多くの皆様のご参加をお願い申し上げます。
最後に、本規格は開発から発行までの経緯で述べたように多くの皆様の参加を得てまとめられました。この間にご尽力いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。
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