私の提言「マネジメントシステムと文化」
元・食品安全マネジメント協会 亀山 嘉和
近年、ISO 9001をはじめとするマネジメントシステム規格において、形式的な仕組みの整備のみでは品質確保が困難であることが認識されている。
特に、不適合や不祥事の多くが規程未整備ではなく、運用・行動・意識の問題に起因しているといわれ、すなわち「文化」がシステムの有効性を左右するとの認識が高まった。
多様な人材で構成される組織ほど、共通の価値観の形成がマネジメントシステムの有効性を左右する。
従来、日本企業は独自の文化を形成してきたが、暗黙知や属人的運営への依存という課題も抱えていた。優良といわれ、また「品質を第一とする文化」があったはずの日本企業でも品質不正が発生したことは残念なことであった。
文化は放置すれば維持されるものではなく、マネジメントシステムの中で継続的に確認・強化する必要があるのではないか。
それでは、今後、企業はどのように「文化」を醸成・維持していけばよいのであろうか。マネジメントシステムでいえば、「文化」は、組織の状況、リーダーシップ、認識・力量、パフォーマンス評価など、規格要求の根底に存在する概念である。したがって、文化は「規格要求の背後にある実効性の根拠」として考えるべきであろう。
具体的な対応策を次の4軸で考えてはどうだろうか。
(1)リーダーシップ文化
品質優先の意思決定をしている
トップが品質に関与している
(2)組織行動・現場文
不適合・問題が隠されていない
改善提案が活発である
(3)コミュニケーション文化
部門間で情報が共有されている
上下間に信頼感ができている
(4)学習・改善文化
継続的改善が実質的に機能している
失敗から学習している
マネジメントシステムの本質は、規格要求への適合そのものではなく、品質を重視する組織文化を維持・発展させることにより、組織の目的を達成することである。今後は「仕組みの運用」だけでなく、「文化の醸成」を評価・改善の対象として位置付けるべきではないだろうか。
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