第55年度事業計画
自2025 年10月 1日 至2026 年 9月30日
1. 運営方針
第55年度は、前年度に設定した3ヵ年中期計画の最終年度です。中期計画の方向を維持しつつ、これまでの成果を踏まえてよりこれまでの成果を加速する方向で進めます。下記の3つの柱A、 B、 Cについて、それぞれの重点実施事項をいくつか定めています。
第54年度で一層加速したのがA)-1:データ活用、B)-1:教育支援、B)-2:支部活動、B)-3:JAQ活動であり、これらをさらに推し進めます。また、従来から堅実に積み重ねていて、今年度もそれを継続するのがA)-2:研究会活動、A)-3: 啓発活動です。B)-4:国際化、C):内部強化は、54年度から新たに始めたものが多く、今年度で一通りの目処が立つように進める所存です。
JSQC会員の皆様方におかれましては、JSQCのさらなるチャレンジに向けて、格段のご支援ご協力を衷心よりお願い申し上げる次第です。
A)会員・賛助会員にとって魅力ある学会作り
1.「学理の追求と社会実装」を実践するための機会(場)の提供
✔ AI品質ガバナンスに関するガイドライン作成、事例共有
✔ 工程横断データを用いた品質管理
2. 研究会活動の加速による学理の追求の促進
✔ 品質工学会をはじめとする他学会との連携
✔ 研究会活動の強化
3. 会員に役立つ情報の提供、行事の企画など品質管理啓発活動の推進
✔ 研究発表会、事業所見学会、講演会、シンポジウム、クオリティトークなど諸行事の実践
✔ JSQC規格の開発、発行と講習会による普及
✔ JSQC選書の発行
B)品質管理の正しい理解と普及の促進による安心で豊かな社会の実現への貢献
1. AI、ビッグデータ活用へ繋がる小・中・高への品質・統計教育支援
✔ 問題解決の教育支援
✔ データ駆動型問題解決の教育支援と教員の入会促進
2. 支部活動のさらなる強化(支部活性化プロジェクトの立ち上げと検討)
✔ 支部と本部の連携行事の実施
✔ 地域の特徴を活かした運営
3. JAQを通した価値創出の推進
✔ 品質不正防止活動の実践法
✔ クオリティ重視の機運を促す情報発信
✔ 現状のクオリティと産業競争力の情報共有
4. 国際化の推進
✔ ANQ congress 2025、 2026への参画
✔ 種々のANQ活動へのJSQCとしての関与
C)更なる会員サービスの向上に向けた内部強化
1. ICT活用による事務効率化
2. 活動成果の外部発信体制の強化
2. 総合企画委員会
【研究発表会実行委員会(特別委員会)】
2025年11月開催予定の年次大会研究発表会のプログラム作成などを行います。2026年5月開催予定の第140回研究発表会でのチュートリアルセッションの企画・実施、そして研究発表会のプログラム作成などをサポートします。2026年11月開催予定の第56回年次大会の研究発表会の準備を行います。
また、委員会のあり方・進め方などについて内規の作成などを通して、整備を行っていきます。
3. 庶務委員会
学会運営が円滑に進むよう、諸般の庶務活動を推進します。選挙管理は、オンライン選挙で実施します。品質管理推進功労賞、会計は、関係する規定に基づき進めます。会員サービスについては、会員資格審査、入退会審査を各種規定に基づき実施し、会員数増加にむけて活動を促進します。また、会員数を維持するために、特別講演会などの会員サービスの提供を進めます。特に、会員データベースの管理方法についてはICTの活用を推進します。規程の制定、改定は、学会活動を発展的・効果的に進めるため、各委員会等と協力し、規定・内規等を迅速に作成・改定するように取り組みます。特に、実態と規定類に齟齬がある箇所については前期に特定し改定素案を作成中ですので、今期に改定を進めます。
4. 活動委員会(事業を含む)
【研究開発】
中長期計画、および、本年度の運営方針に基づき、以下の活動を行います。
- (1) 例年通り、既存の研究会における研究活動予算を検討し、配分します。
- (2) 第54年度に引き続き、将来を見据えた研究分野の検討と新たな計画研究会の設置を検討します。
- (3) 第54年度と同様に、研究会の研究成果や活動内容を学会誌へ掲載する活動を継続します。
- (4) 事業・広報委員会と連携しながら、研究発表会や年次大会においても、研究会の研究成果や活動内容の発表を促進していきます。
- (5) 第54年度に引き続き、研究活動とその成果を学会員へ広く伝え、学会員が学会の真価を享受できるようにするため、各支部とも連携を深め、学会活動の充実と活性化を目指します。
【学会誌編集】
第55年度も例年どおり、年4冊の学会誌『品質』、年8回のJSQCニューズを発行します。編集方針も第54年度に引き続き、研究会報告や部会報告を中心に編集していきます。また、支部活動に基づく招待論説、クオリティトーク、QCサロンの講演概要、学会主催の講演会での講演内容、若手研究者の研究・研究室紹介などを掲載していく予定です。さらに特集も、年2回の掲載を目標に企画する予定です。学会誌の意義と魅力を高め、学会活動を的確に伝えることができるような紙面づくりを目指していきます。
【事業・広報】
第55年度は引き続きクオリティトークはオンライン開催を主に、シンポジウムなどは対面やハイブリッドでの開催を取り入れていきます。
第54年度の反省点を踏まえて
- 感性品質のような尖った企画や他学会の専門家を招聘した多様性のある企画を実施していきます。
- 行事計画はPR期間を拡げ、適度の間隔でイベントを実施し、JSQCらしいテーマを検討していきます。
- 引き続き事業所見学会や若手層の活躍の場としてのヤングサマーセミナーを実施します。
また、昨年度同様、魅力ある学会づくりに向けて行事の企画について、以下を重点にして、検討し、クオリティトーク等を実施する計画です。
- ① AI品質に関するガバナンス強化
- ② 個人会員、賛助会員向の増加に繋がる行事の開発
- ③ 支部活動との連携強化
▼(表)第55年度事業計画
| 年次大会 | 研究発表会 | 講演会 (座談会含む) |
シンポジウム | JSQC規格 講習会 |
事業所 見学会 |
クオリティ トーク |
ヤングサマー セミナー |
|
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第55年度計画 | 1 | 1 | 1 | 1* | 3 | 2 | 4 | 1 |
*)JAQ主催シンポジウム1件を含みます
【JSQC選書】
「JSQC選書=品質管理に関する、非専門家向け高度教養講座」の地位を確立すべく、引き続き、品質立国日本再生に寄与するテーマで良質の書籍の発刊を目指します。
並行して、第55年度以降の選書テーマ候補を充実させ、時宜を得た発行計画の立案を行います。その際、JSQC選書既刊本に対する読者の声の収集・把握に努め、今後のテーマ選定等に活かします。必要があれば、テーマ選定から発刊までの一連のプロセスを改善します。書籍の内容と購入者の傾向や関係を探ることも考えます。
また、JSQC選書の知名度向上に向け、有効な広報策について検討・実践を試みます。
4-1. 東日本支部
第54年度に引き続き、関東エリアのコミュニティ強化を目指して、活動委員会(事業・広報)が中心となり、クオリティトーク・事業所見学会などを企画・開催します。
また、東日本内部でのコミュニティ強化についても昨年度と同様に、活動委員会(事業・広報)が中心となり行事開催などについて検討をさらに進めます。さらに、各支部とも連携をはかり、オンラインによる講演会などを積極的に企画していきます。
同時に、これらの支部活動を持続的かつ効果的に運営するための支部体制については、JSQC全体として支部活性化プロジェクトで検討していきます。
4-2. 中部支部
(1)中部支部の基本方針
1)本部の方針に基づいた活動を展開する。
2)研究会活動を軸として、産学連携による会員の相互研鑽の場を提供するとともに、品質管理に関する先進的な情報の発信に努めます。
3)品質管理の考え方・手法を、諸団体との連携により、様々な業種・職種に発信して、中部地区の成長に貢献します。 特に、中小企業への発信に努めます。
4)研究発表会を核とした行事の充実に努める。
【中部支部のスローガン】
品質管理の普及・浸透で、問題解決力を高めて、日本の生産性向上(成長)に貢献しよう!
(2)行事の具体的な内容
1)研究会
研究会活動を支部活動の中心と位置づけて、次世代を見据えた若手研究者の活性化と内容の更なる充実を図ります。
- 東海地区の若手研究会(主査:松田 眞一)[6 回/年]
- 北陸地区の若手研究会(主査:中野 真)[交流会:1 回/年]
- 中部支部産学連携研究会(主査:川村 大伸)[6 回/年]
2)研究発表会[1回/年]
会員の多岐にわたるニーズに応えた幅広い研究・開発テーマで、かつ多くの企業・組織 に展開できる発表の場を提供します。
- 学会の新しい研究成果と一般も含めた産業界・医療界からの具体的実践事例を発表。
- 中部支部の 3 つの研究会から、活動成果を発表。
3)シンポジウム(基調講演とパネル討論会)[1 回/年]
産学界の関心が高く、一般からも多くの参加者を得られる基本方針に沿ったテーマを選定し企画します。
4)講演会[1~2回/年]
会員の関心の高いテーマによる講演会を企画します。
5)事業所見学会[1~2回/年]
先端的な企業や組織を訪問し、会員(幹事を含む)の研鑽の場の提供を企画します。
6)幹事研修会[2回/年]
幹事間の意思疎通を図り、中部支部の活動・運営に対する議論・相互研鑽ができる研修を行います。
また、内 1 回は北陸地区の幹事の協力を得て北陸の企業訪問を行います。
(3)中部支部の運営について
1)上記行事の企画は、幹事会で行います。幹事会は 2 ヶ月に 1 回程度を目処に開催します。
開催日、場所の調整は、事務局(日本規格協会名古屋支部)にて行います。幹事会には中部支部在住の理事、代議員も参画し、支部運営にあたります。
2)行事の運営は、行事マニュアルに沿って進めるとともに、PDCA を回し、効果的かつ効率的な運営を行います。
3)代議員を中心として、各事業の企画を充実させることに重点をおいて進めます。
4-3. 関西支部
【1】運営方針
日本は高度な製造業とサービス産業を有し、品質管理は経済と社会の基盤を支える極めて重要な要素となっています。一方、日本を取り巻くビジネス環境は複雑化し、人口減少と高齢化に伴う人材不足やノウハウ継承の停滞といった課題が深刻化しています。加えて、国際競争力の確保、サプライチェーンの強靭性確保、気候変動対応やカーボンニュートラルへの貢献など、品質管理の射程はかつてないほど広がりを見せています。
また、生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な発展は、従来の品質保証や品質マネジメントの枠組みに大きな変革を迫っています。
このような常に変化する状況を直視しつつ、関西支部では、品質力、組織・マネジメント力、現場力、顧客対応力の向上策について、下記の事業内容を通じて、品質管理のレベル向上に貢献することを目的に、事業活動を積極的に進めて参ります。
【2】事業内容
(1)講演会【1回】
“モノづくり”“コトづくり”の発展に寄与できる魅力ある講演会を企画します。
(2)シンポジウム【1回】
今、最も要求されているテーマを選定し、活発な議論のできるシンポジウムを企画します。
(3)研究発表会【1回】
企業のニーズと学のシーズをマッチさせ産学で相互に研鑽できる発表会を企画します。
(4)事業所見学会【2回】
特色のある事業所の見学を企画します。
(5)QCサロン【5回】
会員サービスの充実を図る講話とざっくばらんな質疑応答ができるサロンを企画します。
(6)研究会【適宜】
社会ニーズに即した研究会を発足させ、研究の内容を深めます。
- AI時代におけるコトづくりと品質保証研究会・・・継続
コト価値は従来のモノ価値保証時代とは異質の品質保証体制確立が求められます。
そこでは、顧客自身が気づいていないニーズを探索するための各種AI技術(生成AIやIoTなど)を活用した顧客ニーズ探索と、個々の顧客から寄せられる問い合わせや相談対応を起点としたAI技術(Chat GPTや機械学習法など)活用による迅速な顧客対応のあり方が求められます。本研究会では、そうした背景から各種AI技術の有効な利活用方法の研究と新技術の開発を目的とした研究活動を継続しています。 - ダイナミックロバストマネジメント研究会・・・継続
従来、企業経営に有効なマネジメントシステムとして実地で検証されてきた日本的なTQMと高度な先進技術(IoTなど)との相互関係、ヒューマンエラー、モノづくりのレベルアップ策等に関して、品質管理学会が培ってきた数々のQC技術をベースにし、グローバル化時代におけるダイナミックな問題解決アプローチの方法論を体系化することを目的に研究を行います。
4-4. 西日本支部
西日本エリアのコミュニティ強化を目指し、活動委員会(事業・広報)と連携し、引き続き、事業所見学会及びJSQC規格講習会などを企画、実施します。
また、コミュニティ拡大のため、エリア内各地域での行事の企画、実施についても、積極的に検討を進めます。同時に、これらの支部活動を持続的かつ効果的に運営するための支部体制については、JSQC全体として支部活性化プロジェクトで検討していきます。
4-5-1. テクノメトリックス研究会
テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」を主軸として、「数理科学志向型・計算機志向型の統計的品質管理手法」の開発を目指します。具体的には、メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行い、品質管理の手法として確立できるようにします。多変量解析法を中心に、実験計画法、統計的手法の理論的側面、解析事例、解析手順などさまざまな視点から研究をします。また、昨年度同様、おおむね3ヶ月に1度の開催を考えています。そして、研究成果については、JSQC研究発表会、年次大会や品質誌などで積極的に発表していく予定です。
4-5-2. 商品開発プロセス研究会
(一社)品質工学会との共同研究活動を継続し、顧客価値創造の上流工程プロセスの開発(WG1)、創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの研究(WG2)、損失関数の新事業プロセス評価への提供研究(WG3)の3つのWGによる研究会を2月3回程度のペースで行います。
2025年11月に開催される品質工学会技術戦略研究発表大会は、この研究会のWG1、3成果を発表する場として企画され、両学会のパネル討論も実施します。この大会自体はJSQCへの協賛事業ともなっています。
4-6. サービスエクセレンス部会/生産革新部会
サービスエクセレンス/生産革新部会は、サービスと生産に携わる幅広い職域を網羅する側面に加えて、各職域が求める課題を部会名に示し、課題の達成に向けて定期的に知識共有会などを開催しています。そして、課題達成の原動力と位置付けるDXは両部会の共通課題であり、コトづくりとして包括的にとらえて調査研究を行うために、前年度に続いて合同で取り組みを進めます。
第55年度は、知識共有会を通して「AI時代の製品サービスシステムによる顧客価値づくり」の実装事例を収集すると共に、タイアップ企業との共同研究、論文化に向けた研究活動などを展開し、「未来志向の顧客価値づくり」の体系化を志向します。そして、活動を通して得た知見は、『品質』誌への掲載などを通して学会内外への普及活動を推進します。また、サービスエクセレンス/生産革新の実装を促進するためのコミュニティづくりに加えて、関係機関・組織との連携により国際標準などへのフィードバック活動を進めます。
4-6-1. サービスのQ計画研究会
第54年度までの研究活動により、サービスエクセレンスを実現するために必要な考え方、テクニック、道具がまとまりつつあります。第55年度はそれらを体系化し、サービスエクセレンス七つ道具的なものを整理する活動を主に行う予定です。
ISO/TC312への関与は、これまで通り、主体的に引き続き行います。
4-7. 医療の質・安全部会
第55年度も、QMS-H研究会、医療QMS監査研究会、医療経営の総合的「質」研究会の3研究会を中心に、医療QMSに関する研究を進めてまいります。医療の質マネジメント基礎講座は、既に2025年5月より12月末までの予定で開講しました。
(1)QMS-H研究会との共同研究
第55年度は、総合評価指標、QMS維持継承、教育をグループ研究の課題として取り上げ、進めていきます。参加病院は、既に重点課題を定めており、その解決を進めていきます。中間成果報告会は2025年9月に実施済です。例年行っている最終成果報告シンポジウムは、2026年3月14日(土)に早稲田大学で開催予定です。オンラインでも配信します。企画運営委員会では研究会の将来ビジョンを設定し、その達成に向けて4つのタスクフォースチームを編成して、議論を重ねています。最終シンポジウムでは、その検討結果も発表する予定です。
(2)医療QMS監査研究会
引き続き、2ヶ月に一度の頻度で開催予定です。審査・監査における標準例の研究は、2025年度で一区切りをつけます。今後は、これを活用した審査員教育のコンテンツを検討する予定です。
(3)医療経営の総合的「質」研究会
第55年度は参加病院・参加企業増を念頭に、月1回の定期ミーティングをハイブリッドで開催します。検討項目は、第54年度に検討した各項目をさらに深堀するとともに、①医療における業務フロー図の意義、特にBusiness Process Model and Notation (BPMN)の作成方法と医療への適用の検討、②医療事故調査制度の在り方、③医療過誤の内外の定義付けの検討、④医療機器ソフトウエア(SaMD)の利活用と法的規制、⑤生成AIの医療適用と課題、⑥病院サイバーセキュリティとIT-BCPの現状と課題などを検討する予定です。
(4)医療の質マネジメント基礎講座
「医療の質マネジメント基礎講座」は、既に2025年5月より12月までの予定で、オンデマンドコンテンツの提供により、開講しております。また、一部の演習科目は、集合研修で演習を実施する予定です。現在、カリキュラムの見直しを図っており、その結果を2026年度開講の講座に反映する予定です。
4-8. ソフトウェア部会
・生成AIを中心とした多角的な議論
当部会は、IT企業のみならず教育・製造・医療・コンサルティングなど、多様な分野・キャリアを持つ会員が参画しています。現在、生成AIにおける品質保証は実務上の大きな課題であり、多角的な視点から議論を展開します。
・新たな情報技術と品質管理の関係性の探求
生成AIに限定せず、IoT・DXといった新しい情報技術と品質管理の関係も取り上げます。また、部会員のニーズを踏まえ、柔軟にテーマを探索しながら議論を進め新たな知見の獲得を目指します。
5. 標準委員会
(1)JSQC規格の制定・改正に取り組みます。
JSQC-Std 52-001 プロセス保証とリスクマネジメントを統合し、より効果的な取り組みにするための指針
(2)JSQC規格に対応するJIS規格の制定・改正に取り組みます。
JIS Q 9026 マネジメントシステムのパフォーマンス改善―日常管理の指針(改正版)
(3)JSQC規格の英訳版の制定・改正に取り組みます。
JSQC Std 32-001 (E) Guidelines for Daily Management (JSQC-Std 32-001 日常管理の指針の英訳版)(改正版)
(4)事業・広報委員会の学会規格講習会に、講師を選定、派遣します。
6. 学術委員会
6-1. 論文誌編集、表彰(学術)小委員会
【論文誌編集】
(1)従来からの方針を引き継ぎ、論文審査において、査読意見を参考にしつつも論文誌編集委員会の主体的な判断に基づき採択の可否を決定していきます。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載する方針についても、変更ありません。年間の掲載数10本を目指します。
(2)規定された方法に従って、投稿論文審査の質の向上と迅速化を図っていきます。
(3)国際交流委員会と協力して、ANQ Congress 2026への論文発表を促進します。特に、若手研究者への支援を積極的に行います。
(4)国際交流委員会と連携して、ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行に向けて活動します。第55年度はVol.11を発行する予定です。
(5)TQSの編集委員会と論文誌編集委員会との関係を明確にすることで、TQSのさらなる価値向上を目指します。
(6)論文掲載には相当なコストがかかるため、学会の財政状況を鑑みますと、論文掲載料の徴収は避けらない状況です。本課題は第53年度から検討しており、会員の理解を得つつ、引き続き検討します。
(7)昨年度に引き続き、研究発表会の活性化を目的として創設された研究発表会(本部)の優秀発表賞制度への協力を継続します。
【研究助成】
第55年度も引き続き若手研究者に対する研究助成を行います。認知度向上のため、各支部事務局にも周知依頼を出します。募集要項の主な内容は以下の通りです。助成金額は1件5万円で5件以内。対象者は、日本品質管理学会の正会員もしくは準会員、申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者、留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者(年齢制限はありません)とします。すでに2回採択された者は選考対象から外し、助成対象は品質管理に対する研究全般およびANQ以外の国際会議での研究発表への旅費支援も含めます。期間は1年間(2025年10月から2026年9月)です。研究成果を品質誌へ投稿、あるいは、研究発表会などで発表することを奨励します。研究期間終了後には研究成果報告書を提出してもらい、当学会誌への投稿、ANQ Congressおよび当学会での研究発表会で発表した場合には、大会名、発表タイトル、要旨集やプロシーディングスのページを記入してもらいます。
6-2. 国際交流、学会間交流小委員会
【国際交流】
(1)ANQ Congress 2025、ANQ Congress 2026への協力
ANQ(Asian Network for Quality)Congress 2025が、2025年11月3-7日に、Bengaluru、 Indiaにて、また2026年にはANQ Congress 2026が現ANQ理事会議長組織であるCAQ(China Association for Quality)のホストで開催されます。大会開催の支援やアドバイスを、JSQCとして継続的に行っていきます。また、JSQCの会員に、ANQ Congress 2025、ANQ Congress 2026への積極的な参加と研究発表を促していきます。
(2)ANQの安定的発展のための調整
JSQCは、2023-2024年度にANQ理事会の議長組織(議長は山田秀JSQC会長)を務めており、2025年3月のANQ理事会にて2025-2026年度の議長組織であるCAQ(China Association for Quality)にバトンタッチいたしました。JSQCは2025年度以降も、ANQ理事会での貢献およびANQ Congressの開催への支援を継続的に行っていきます。
(3)英文電子ジャーナルの刊行
英文電子ジャーナルTotal Quality Science(TQS)の刊行の11年目が開始されます。国際学会発表(ANQ Congress)と、英文電子ジャーナル投稿(TQS)の良いコラボレーションを今後とも継続強化してまいります。投稿システムの英文化により、海外からの投稿についても積極的にすすめてまいります。
(4)海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
ANQ関係団体と交流し良い関係を作り、特に若手会員が交流する際の支援ができるようなプログラムを検討します。
【学会間交流】
(1)FMES
2025年度中のFMES解散に伴う各種手続の完了にむけ、関連マニュアルの廃止、ホームページの閉鎖などを進めます。
(2)横幹連合関係
第54年度に引き続き、椿 広計 会員、伊藤 誠 会員、下野 僚子 会員を横幹連合会長、監事、理事として横幹連合企画・事業委員会、学術・国際委員会、広報・出版委員会等を支援します。2025年12月13~14日に第16回横幹連合コンファレンス(金沢工業大学扇が丘キャンパス)「『ともにつくる』学際融合による復興と共創」が開催されます。また54年度に引き続いて、学会を超えた産官学3調査研究会(SDGs、ELSI、DX)活動を支援するとともに、国際標準化事業への協力に向けた調査研究会にJSQCから委員を選出しています。
「コトつくり至宝」事業の推進にあたり、コトつくり概念の明確化などを進め、コトつくり至宝の選定などが進められます。
7. ICT支援推進特別委員会
昨年に引き続き、日本品質管理学会のICT対応を推進し、以下の項目を検討、実施します。
- JSQCのICTを管理する体制を強化する。
- 2026年の6月までにアトラス社が提供する会員管理サービス「SMOOSY」を導入し、ICT化を推進する。会員管理サービスの運用により、以下のメリットが得られる。
- 学会活動のオンライン化が推進できる。
- 入会申請・会員情報変更が完全オンライン化される。
- 請求書や領収書のオンライン発行ができる。
- 会員全体もしくは一定条件に合致した会員への一括メール配信ができる。
- 現行のシステムより安価で業務ができる。
- 会費の入金確認・消込作業が軽減でき、事務局の作業負担の軽減が図れる。
8. 安全・安心社会技術連携特別委員会
日本原子力学会(ヒューマン・マシン・システム研究部会)等との共催の「安全・安心のための管理技術と社会環境」シンポジウムを、引き続き推進します。また、自動車事故対策機構等の審議についても引き続き、参加・協力していきます。ISO 39001関連についても、認証制度の普及、支援規格の開発などについて引き続き協力していきます。
9. TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会
本TQE特別委員会は2010年の発足以来、メンバー(https://suzukilab.wordpress.com/
jsqc-tqe-committee/)が一丸となり、日本のTQMの伝統とQCCという全国組織をもつ日本の財産を活用し、初等中等統計教育における科学的問題解決教育の推進に努めてまいりました。文科省と種々の学協会の方々の御蔭で、新学習指導要領が2020年小学校、2021年中学校、2022年高等学校でスタートし、この中で、必要なデータを収集して分析し、その結果を踏まえて対策を実行し課題を解決し、意思決定をなし得る資質・能力を育成する目的が定められ、小中学校では算数科・数学科のそれぞれ各学年に共通した4領域の内の1領域に“データの活用”、高等学校では、数学科に“データ分析”と“統計的な推測”、 情報科の「情報Ⅰ」(必修)という科目に、“データの活用”、「情報Ⅱ」では“情報とデータサイエンス”が設けられ授業が進められています。特に小学校5年、6年の教科書には、QCストーリーの教育版であるPPDAC (Problem,Plan,Data,Analysis,Conclusion)が海外より逆輸入され掲載されるようになりました。
本TQE特別委員会では、設立当初に初等中等問題解決教育向けに構築した
”問題解決基本3フェーズ ”
テーマ:本質的目的(人・社会の満足)
PhaseⅠ:現象(現状)把握、PhaseⅡ:因果探究 PhaseⅢ:対策実行
の普及、ならびに現状把握と因果探究での真の原因(因果メカニズム)の特定の重要性の理解に努めてきました。特に高校以上ではこれが問題解決の最重要点で、企業では、これを極めなければモノづくりはできません。一方、初等中等教育においては、「探究」や「探究的な学び」が重視されておりますが、“活動的な学び” にとどめず、目的を明確にし、問いを立て、適切なデータに基づいて問題の原因を特定し、解決に向け行動し、次へつなげる『科学的な問題解決のプロセス』を導入することが大切です。また、AI・データサイエンスにおいて本質的に重要なのは、情報技術の活用そのものではなく、問題解決の目的の明確化、条件設定、評価基準の策定、ストーリーの構築といった「科学的問題解決力」です。この力は、単なるスキルを超えて、「自己肯定感」「生きる悦び」そして「生きる力」の涵養にもつながる、すべての人が身につけるべき人間的・倫理的基盤でもあります。次期新学習指導要領の策定に向け、本TQE特別委員会はこれらの普及・啓蒙を重点的に推し進めて参ります。
新年度の主な活動項目は以下の通りです:
(1)自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力、すなわち「生きる力」、そして「助け合い」と「生きる喜び」を次世代の全国民に与える方法・プロセスである科学的問題解決プロセスの確立とその普及に努めます。このとき、プロセスの重要性、現状把握と因果探究での真の原因(科学的因果メカニズム)の特定の重要性に注視します。
(2)上記の達成とともに科学的問題解決法の経験がない先生方へのさらなる普及活動として、定例の毎月の委員会に加え、52年度(2023年5月)に委員会内に設けた問題解決高校授業検討WG(古谷委員・ 熊井氏・菅生氏を中核とする)による活動をさらに推し進め、問題解決プロセスと身の回りの問題解決事例を含む補助教材の全国の高校への啓蒙普及を図ります。特に54年度の活動より「自ら考えて解を見つける体験型」の教育が、高校生に対しても有効であることが示され、55年度も愛知県にて「問題解決」の授業を計画、実施(試行)し、「問題解決」授業の内容と方法の一層の充実を図ります。
(3)学習指導要領の鍵となる“次世代への問題解決教育”、“情報・ICT・AI世代への教育”、“産官学の連携”にむけて、議論を継続し情報発信を行います。
(4)日本のみが持つ強みであるTQMの伝統とQCCを活かすべく、問題解決に関する講演、QCCのGood Practicesの産官学での共有とその仕組みの構築を目指します。
(5) 2025年10月5日:本委員会主催「第12回科学技術教育フォーラム」を統計数理研究所にてHybrid開催し、「一人ひとりの輝きを引き出す”探究”を目指して――質の高い探究する力を育てる科学的問題解決法――」なるテーマにて科学的問題解決教育に関連する講演とパネル討論、ならびに田村学先生 (文科省 主任視学官)よりの「デジタル学習基盤における学習指導要領の改訂――質の高い探究の実現に向けて――」の特別講演を行います。
(6) 2025年12月13日(土)・14日(日):第16回横幹連合コンファレンス(於 金沢工業大学)にて本委員会による企画セッションを設け「STEMセッション—初等・中等教育における「科学的問題解決法」と探究・探求の実践—」を主題とする4つの講演とパネル討論を行い、情報を発信します。
(7) 40年度に設立された統計グラフ全国コンクールにおける 日本品質管理学会賞の周知・徹底を図り、その質の向上に努め第73回統計グラフ全国コンクールにおいて日本品質管理学会賞授賞を行います。
(8) JSQC選書として、「AI時代への探究/探求する力を育てる科学的問題解決法――初等中等教育から始める未来づくり――(仮題)」なるタイトルにて書籍をTQE特別委員会より2026年6月に刊行を予定し、これに向け、委員会としての総意を結集いたします。
