第51年度事業計画
自2021 年10月 1日 至2022 年 9月30日
1.運営方針
第51年度は50周年記念事業の成果をもとにして、学会のさらなる価値向上に取り組みます。一例としては、各種活動のオンライン化の経験を生かし、会議や研究会のさらなる活性化を図ります。現地開催が可能になった際にも、全国の会員に向けたサービスの提供を充実させるべく準備を進めます。例えば、支部単位での企画を共有する支部連絡会の設立、品質不祥事に関する議論,SDGs、JSQC規格の講習会などの会員の関心の高い事柄についてのオンライン・オンデマンド講習会の検討を進めます。年間を通じた開催計画を早い段階でお知らせし、研鑽の機会を体系的に提供することで、会員サービスの向上を図ります。
全体としては、第50年度にとりまとめたミッション、ビジョン、重点実施事項に基づいて活動を進めて参ります。
A)会員・賛助会員にとって魅力ある学会づくり(新会員の入会促進)
- 「学理の追究と社会実装」を実践するための機会(場)の提供
- 学会誌の変革による学理の追究の促進
- 賛助会員の役に立つ情報提供の推進
- 品質プロフェッショナルの育成
B)品質管理の正しい理解と普及の促進による、安心で豊かな社会の実現への貢献
5. 全国の商工会、銀行などとの連携による、品質管理啓発活動の推進
6. 支部活動の強化
7. 問題解決(PDCA、SDCA)の初等中等高等教育への導入促進
8. JAQ(Japan Association for Quality)設立に向けた活動の推進
9. 国際化の推進
C)新ホームページの充実・運用改善
10. 新HP活用による情報発信の充実
11. 新HP活用による事務作業の効率
JSQC会員の皆様方におかれましては、JSQCのさらなるチャレンジに向けて、格段のご支援、ご協力を衷心よりお願い申し上げる次第です。
2.総合企画委員会
重点実施事項3ヶ年中期計画の進捗管理の場と位置づけて、概ね3ヶ月に1回の頻度で開催を計画します。
3.庶務委員会
庶務委員会では、本会の運営に関する庶務的事項を全て担当します。主な計画は次の通りです。
(1)庶務全般
学会運営が円滑に進むよう、諸般の活動を進めていきます。
(2)選挙管理
本年度も第45年度から導入したウェブによる選挙を継続して実施いたします。郵送方式の中止について検討いたします。
(3)会員サービス
- 会員資格審査、入退会審査について、各種規定に基づき実施します。
- 学会員になることのメリットを学会誌、学会行事の連絡等を通じて、広く発信し、これまで以上に会員数増加にむけて活動を促進していきます。
- 第47年度から導入された会員区分である正会員(シニア)、正会員(永世シニア)に関する普及に努めます。
- 第47年度に定めたJSQCフェローの認定基準に基づき、認定者数の更なる拡大に向 けて庶務委員会が中心となって候補者のリストアップを進めます。
(4)品質管理推進功労賞選考
日本品質管理学会品質管理推進功労賞の選考に関する運営を、各種規定に基づき実施します。
(5)会計
会計に関連する業務を、各種規定に基づき実施します。
(6)規程の制定、改定
第50年度に引き続き、学会活動の発展に貢献すべく各委員会等と協力し、学会活動を効果的に効率良く進められるよう、活動の実態に即した適切な規程、内規等を迅速に作成、改定するように取り組みます。加えて、学会運営の透明性確保の観点から、引き続き規定、内規等の改訂を進めます。
(7)学会HP
本学会HPのリニューアル後のアクセス解析などを通じて、学会員にとって使いやすいHPの確立を目指します。
4.活動委員会(事業を含む)
【研究開発】
中長期計画、および、本年度の運営方針に基づき、以下の活動を行います。
- 例年通り、既存の研究会における研究活動予算を検討し、配分します。
- 第50年度に引き続き、将来を見据えた研究分野の検討と新たな計画研究会の設置を検討します。
- 第50年度と同様に、研究会の研究成果や活動内容を学会誌へ掲載する活動を継続します。
- 事業・広報委員会と連携しながら、研究発表会や年次大会においても、研究会の研究成果や活動内容の発表を促進していきます。
- 第50年度に引き続き、研究活動とその成果を学会員へ広く伝え、学会員が学会の真価を享受できるようにするため、各支部とも連携を深め、学会活動委員会の実現を目指します。
【学会誌編集】
第51年度も、例年どおり、年4冊の学会誌『品質』を発刊します。
現在の編集方針、すなわち、学会での活動をタイムリーに会員の皆様にお届けすることを重視し、今年度も、その編集方針を継続して活動していきます。特に、研究会報告や部会報告を中心に編集していきます。また、支部活動に基づく招待論説、チュートリアルセミナー、クオリティトークの講演概要、学会主催の講演会での講演内容、若手研究者の研究紹介などを掲載していく予定です。さらに本年度より、特集を設け、品質管理/TQMに関連する最新情報をお届けする予定です。
編集方針をより明確にし、学会誌の意義と魅力を高め、学会活動を的確に伝えることができるような紙面づくりを目指していきます。
【事業・広報】
第51年度は、コロナの感染がまだ十分に終息していない想定ではあるものの、徐々にアフターコロナ、ウィズコロナとして、Web開催と会場開催については状況を見ながら、年次大会、研究発表会各1回の他に、講演会を2回、シンポジウムを2回、クオリティトークを4回実施するとともに、品質管理で再度周知徹底したい3現主義として、コロナの状況を鑑みながら事業見学会を2回計画します。また、当学会の特徴のひとつである学会規格の講習会は年間計画に組み込んで主要規格6規格を各1回、計6回開催し、規格の周知を図ります。また、50年度に開始した、コロキウム(会員の皆さまの旬な課題をフランクに話し合う場)を2回計画します。
50周年事業のキャラバン講演会は継続して開催していきます。
▼(表)第51年度事業計画
【JSQC選書】
「JSQC選書=品質管理に関する、非専門家向け高度教養講座」の地位を確立すべく、引き続き、品質立国日本再生に寄与するテーマで良質の書籍の発刊を目指します。
並行して、第51年度以降の選書テーマ候補を充実させ、時宜を得た発行計画の立案を行います。その際、JSQC選書既刊本に対する読者の声の収集・把握に努め、今後のテーマ選定等に活かします。必要があれば、テーマ選定から発刊までの一連のプロセスを改善します。書籍の内容と購入者の傾向や関係を探ることも考えます。
また、JSQC選書の知名度向上に向け、有効な広報策について検討・実践を試みます。
4-1.東日本支部
第50年度に引き続き、関東エリアのコミュニティ強化を目指して、活動委員会(事業・広報)が中心となり、クオリティトーク・事業所見学会などを企画・開催します。
また、東北以北のコミュニティ強化についても昨年度と同様に、活動委員会(事業・広報)が中心となり、東北エリアでの継続開催、および同地区以外の行事開催について検討をさらに進めます。
さらに、各支部とも連携をはかり、オンラインによる講演会などを積極的に企画していきます。
4-2. 中部支部
(1)中部支部の基本方針
1)本部の方針に基づいた活動を展開します。
2)研究会活動を軸として、産学連携による会員の相互研鑽の場を提供するとともに、品質管理に関する先進的な情報の発信に努めます。
3)品質管理の考え方・手法を、諸団体との連携により、様々な業種・職種に発信して、中部地区の成長に貢献します。特に、中小企業への発信に努めます。
4)研究発表会を核とした行事の充実に努めます。
【中部支部のスローガン】
品質管理の普及・浸透で、問題解決力を高めて、日本の生産性向上(成長)に貢献しよう!
(2)行事の具体的な内容
1)研究会
研究会活動を支部活動の中心と位置づけて、次世代を見据えた若手研究者の活性化と内容の更なる充実を図ります。
- 東海地区の若手研究会(主査:松田 眞一)[6回/年]
- 北陸地区の若手研究会(主査:中野 真)[発表会:1回/年]
- 中部医療の質管理研究会(主査:岩佐 智丈)[6回/年]
- 中部支部産学連携研究会(主査:川村 大伸)[6回/年]
2)研究発表会[1回/年]
会員の多岐にわたるニーズに応えた幅広い研究・開発テーマで、かつ多くの企業・組織に展開できる発表の場を提供します。
- 学会の新しい研究成果と一般も含めた産業界・医療界からの具体的実践事例を発表。
- 中部支部の4つの研究会から、活動成果を発表。
3)シンポジウム(基調講演とパネル討論会)[1回/年]
産学界の関心が高く、一般からも多くの参加者を得られる基本方針に沿ったテーマを選定し企画します。
4)講演会[1~2回/年]
会員の関心の高いテーマによる講演会を開催する(原則は会員限定(賛助会員を含む)での開催)
5)事業所見学会[1~2回/年]
先端的な企業や組織を訪問し、会員(幹事を含む)の研鑽の場の提供を企画します。
6)幹事研修会[2回/年]
幹事間の意思疎通を図り、中部支部の活動・運営に対する議論・相互研鑽ができる研修を行います。また内1回は北陸地区の幹事の協力を得て北陸の企業訪問を行います。
(3)中部支部の運営について
1)上記行事の企画は、幹事会で行います。幹事会は2ヶ月に1回程度を目処に開催します。開催日、場所の調整は、事務局(日本規格協会名古屋支部)にて行います。幹事会には中部支部在住の理事、代議員も参画し、支部運営にあたります。
2)行事の運営は、行事マニュアルに沿って進めるとともに、PDCAを回し、効果的かつ効率的な運営を行います。
3)代議員を中心として、各事業の企画を充実させることに今後重点をおいて進めます。
4-3. 関西支部
(1)運営方針
日本企業は、世界経済の中で勝ち残っていくために、さまざまな構造改革や将来の成長戦略構築に頭を悩ませています。また、低炭素社会の実現に向けて、太陽光発電や電気自動車など、革新的な技術開発が求められる時代となっています。今後、日本企業がさらに成長し、グローバル競争に勝ち残っていくためには、日本企業元来の強みである「技術開発力」「品質力」ならびに、それらの元となる「人間力」がますます重要となってきます。
このような状況の中、これまで日本の文化や産業を支えてきた“モノづくり”“コトづくり”とともに“人間力”の基盤を引き続き維持・発展させていくことが必要であり、このとき、品質管理の果たすべき役割はますます大きくなっています。
関西支部では、品質力、組織・マネジメント力、現場力、顧客対応力の向上策について具体的に提言することにより品質管理のレベル向上に貢献することを目的に、事業活動のさらなる活性化を図ります。また、昨今の感染症の拡大による社会情勢の変化や、ウイズコロナの環境下で会員の方々に有益な情報発信を行うためにIT化に対応し、リモートでの参加も可能になるような取り組みを積極的に行い、より多くの会員が満足できる活動を展開していきます。
(2)事業内容
1)研究会
①ダイナミックロバストマネジメント研究会
Society5。0に対応した新価値創出、これまで研究を行ってきた「科学的先手管理七つ道具(SE7)」とISO MS の品質、環境規格の特長、意図、SDGs、 イノベーション・マネジメントシステム(ISO 56002)等とを俯瞰的に融合して組織の文化へのマッチング、コミュニケーション、KPI(ISO 22400)等を明確にします。従来、企業経営に有効なマネジメントシステムとして実地で検証されてきた日本的なTQMと高度な先進技術(IoTなど)との相互関係、ヒューマンエラー、モノづくりのレベルアップ策等に関して、品質管理学会が培ってきた数々のQC技術をベースにし、グローバル化時代におけるダイナミックな問題解決アプローチの方法論を体系化します。
2)研究発表会【1回】
産業界や社会のニーズと学におけるシーズをマッチさせ、産学で相互に研鑽できる発表
を企画します。
3)シンポジウム【1回】
社会の要求・注目しているテーマを選定し、活発な議論のできるシンポジウムを企画します。
4)講演会【1回】
“モノづくり” “コトづくり” の発展に寄与できる魅力ある講演会を企画します。
5)事業所見学会【2回】
特色のある事業所の見学を企画します。
6)QCサロン【5回】
会員サービスの充実を図るため、講話とざっくばらんな質疑応答ができるサロンを企画します。
(3)その他
1)関西支部企画運営委員会の実施
支部運営に関する各種の検討を行い、支部事業の活性化を図ります。関西地区以外の会員に対しても支部事業の案内を行い、支部事業への積極的なリモート参加を働きかけます。
2)データ管理の質的向上と定点観測
支部活動に関する各種データ収集・管理を継続的に行い、支部活動の現状把握や活性化に立てます。
4-4.西日本支部
西日本エリアのコミュニティ強化を目指し、活動委員会(事業・広報)と連携し、引き続き、事業所見学会及びJSQC規格講習会などを企画、実施します。
また、コミュニティ拡大のため、エリア内各地域での行事の企画、実施についても、 積極的に検討を進めます。
4-5.生産革新部会(サービスエクセレンス部会と合同開催)
部会としてはサービスエクセレンス部会と合同で開催していきます。
4-5-1. 信頼性・安全性計画研究会
本計画研究会は、最終期の活動として2050年における社会システムにおいて安全・安心を実現するための要素、方法論の提言を目指します。今年度は、おおむね3ヶ月に1度研究会を開催し、ポストコロナの世界における安全安心などの話題を持ち寄り、議論を行います。研究成果については、JSQC研究発表会、年次大会などで積極的に発表していきます。
4-5-2. テクノメトリックス研究会
テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」を主軸として、「数理科学志向型・計算機志向型の統計的品質管理手法」の開発を目指します。具体的には、メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行い、品質管理の手法として確立できるようにします。多変量解析法を中心に、実験計画法、統計的手法の理論的側面、解析事例、解析手順などさまざまな視点から研究をします。また、昨年度同様、おおむね3ヶ月に1度の開催を考えています。そして、研究成果については、JSQC研究発表会、年次大会や品質誌などで積極的に発表していく予定です。
4-5-3. 商品開発プロセス研究会
3つのWGによる研究会をそれぞれ毎月1回程度開催します。2022年5月の品質管理学会研究発表会、11月の年次大会、2022年6月の品質工学会年次大会での研究発表を行います。WG2を中心に適用例の構築などの活動を行うと共に、両学会共催のシンポジウムなどの企画を開始したいと考えています。
4-5-4. 社会基盤型運輸システム品証研究会
本計画研究会は、交通・物流系における自動・自律化の先端技術が社会インフラの基盤として社会に定着するために求められる品質管理、特に、品質保証の在り方について、学術的ならびに実務的な観点で検討します。検討テーマは主に下記の3分野です。
(1)自動車の自動安全運転技術
(2)ドローンの自動航行技術
(3)サービスロボットの自律搬送技術
自動車分野における自動・自律化技術の実証実験は世界中で実施されています。ドローンの社会導入においても、国際航空法の改正や国際製品規格の新規策定などが世界規模で進んでいます。このような世界的競争の中で、日本でも国家的プロジェクトで自動・自律化技術の産業応用が推進されていますが、ビジネスモデル等の策定支援や事前評価をも支援する枠組みのあるプロジェクトは多くありません。本研究会では、本研究会での知見や成果が上記分野における新規事業のビジネスモデル等に反映されるように、下記の課題に取り組みます。
(1)PPP/PFI制度に代表される官民連携事業の成功事例の調査
(2)官民連携事業のビジネスモデルのシステム論的な分析
(3)自動・自律化技術が社会インフラとして定着するための技術的・制度的課題の検討
(4)持続可能性(Corporate Sustainability)の観点からの品質管理技術の検討
(5)品質管理学会規格(新製品・新サービス開発管理の指針)の活用
(6)社会基盤型運輸システムにおける品質保証の体制・体系の提言
4-6.サービスエクセレンス部会(生産革新部会と合同開催)
サービスエクセレンス部会/生産革新部会は、サービスと生産に携わる幅広い職域を 網羅する側面に加えて、各職域が求める課題を部会名に示し、課題の達成に向けて定期的に知識共有会を開催しています。そして、課題達成の原動力と位置付けるDX(Digital Transformation)は両部会の共通課題であり、コトづくりとして包括的にとらえて調査研究を行うために、前年度に続いて合同で取り組みを進めます。
第51年度は、「品質は顧客・社会のデマンドを満たすこと」であることを念頭に、「社会課題」を解決するために提供すべきサービス、及びオペレーション革新を重点として活動を進めます。
- 行政サービスとDX(国策としての取り組み) ※知識共有会は50年度に実施済
- 地域社会との共生(自治体の取り組み) ※知識共有会は50年度に実施済
- 社会課題解決のユースケース(民間企業の取り組み)
- 社会の安全・安心を創出するレジリエンス、信頼性・冗長性
- クライシスを乗り越えるデジタルツイン経営
- 官民連携のデジタル戦略のトレンド
活動を通して得た情報は、『品質』誌に特集として掲載するほか、クオリティフォーラム(日本科学技術連盟主催)における発表(2021年11月)、論文化などを通して学会内外への開示を予定しています。
4-6-1. サービスのQ計画研究会
Service Excellence として定義される組織能力の測定、及び Excellence Serviceの設計やオペレーションに必要な顧客体験等の測定、これらの分析方法についてサービス学、統計学、情報学の観点から、理論及び応用面から研究を行います。研究成果については、研究発表会、品質誌などで積極的に発表していく予定です。
第51年度も本研究会のメンバーは、ISO/TC312(Service Excellence)における規格開発に積極的にする方針とします。
4-7. 医療の質・安全部会
第51年度は、医療QMS監査研究会を再開し、3研究会を中心に医療QMSに関する研究を進めてまいります。医療の質マネジメント基礎講座は、既に2021年4月より12月末までの予定で開講しました。2022年4月からの開講形式についても検討中です。
(1)QMS-H研究会との共同研究
今年度は、文書管理、維持継承、日常管理をグループ研究の課題として取り上げ、進
めていきます。参加病院は、既に重点課題を定めており、その解決を進めていきます。
COVID-19に関する情報交換会も行い、今後への教訓をまとめる予定です。アウトリー
チの一環として、2021年11月開催予定の医療の質・安全学会で、企画演題での発表を
予定しています。例年行っている最終成果報告シンポジウムは、2022年3月6日を予定
していますが、開催形態とともに、内容は今後検討予定です。
(2)医療QMS監査研究会
2021年11月再開に向けて準備を進めて参ります。
(3)医療経営の総合的「質」研究会
本年度は、新型コロナウイルス感染症パンデミックの社会品質に関する提言を取りまとめるとともに、
- 医療アラーム(生体情報モニター、ナースコール)
- 医療IT(電子カルテ:EMR、EHR、PHR)
- 個人情報保護
- 医療事故調査制度の在り方
- 患者参加の定義とその在り方
- 医療安全の相互評価の在り方
- 各種質管理手法(厚労省が2020年から医療安全管理専従者に求めているツールであるRCA、FMEA、特性要因図、業務フロー図)などに関して、取り組みます。
(4)医療の質マネジメント基礎講座
「医療の質マネジメント基礎講座」は、既に2021年4月より12月までの予定で、オンデマンドコンテンツの提供により、開講しています。また、一部の講義や演習は、集合形式で行った方がよいとの声もあり、2022年度の開催形態について検討します。さらに、全日本病院協会との連携の話も進んでおり、講座の一部を開講する予定です。
4-8. ソフトウェア部会
第51年度は前年度に引き続き、以下のことを行います。新型コロナウイルスの感染防止策を徹底しながら、遠隔会議、各種オンライン・ツールの活用を含め、活動を進めます。
・ソフトウェアのカテゴリーごとの品質管理方法論の構築
前年度までに、品質管理の方法論や適用手法などの違いという観点からソフトウェアの分類を行いました。それを踏まえ、それぞれの分類ごとに、作業グループを構成して、より深い議論を進め、活発な活動を行います。
また、コロナ禍で導入された様々なリモートワークの形式が、ソフトウェア開発にどのように影響を与えるのかなど、総括を進めていきます。
・メーリングリストやSNSを利用した情報交換及び情報発信
メーリングリストや各種オンライン・ツールを利用した部会メンバー間の情報交換をより積極的に行うとともに、ソフトウェア部会の活動を理解していただくために、SNSを利用した情報発信を行います。
・ソフトウェア開発関連の行事に積極的に協賛・後援
他団体の開催するソフトウェア開発関連の各種行事に協賛・後援することで、部会メンバーの便宜を図るとともに、ソフトウェア部会活動の活性化を図ります。
4-9.管理技術部会
51年度も引き続き50年度と同様な体制(4つのWGと全体会合の開催)で活動を進めます。前年度に初めて行った各WGリーダー会議も継続し、本部会研究活動をさらに活性化させていく予定です。各WGの活動計画は次の通りです。
・WG1:品質マネジメントの改善・発展・活用の道~中小企業の QMS モデルの研究~
50年度に引き続き「作業標準類の整備」について深耕を行います。COVID-19の影響で全ての会合がWEBとなりましたがそれから得られた知見を活用して、安価で中小企業で簡単にできるWEBなどIT技術活用の作業標準類の整備を探索していきたいと考えています。
・WG2:持続的成功のQMSの研究(ISO9004の研究)
50年度に引き続き研究活動を行います。本研究活動計画は、要件2の「組織の強みを磨くこと」と要件1~3の研究成果をまとめること、かつ要件1~3の研究結果を市場で検証することです。具体的には、関西地区等の一部の商工会議所会員へWG2の組織改善計画をPRし、会員企業の理解を得て、企業が目指す品質レベル実現を2022年から支援します。
・WG3:有効な審査のためのツール・技法の研究
前年度では、組織のマネジメントシステム全体を俯瞰して議論したが、本年度ではISO 9001:2015の要求事項の中でも特に「箇条5(リーダーシップ)」及び「箇条6。1(リスク及び機会への取り組み)」を取り上げ、組織がいかに取組むべきかを提示したいです。また、今後、企業が取り組まざるを得ないSDGsについて基礎的な勉強を各メンバーが個別に行い、次年度以降の研究テーマとなり得るかを探ります。
・WG4:経営に寄与するQMSの本質の研究
TQMに関わる6つの学会規格を対象として、企業がTQMに基づくマネジメントシステムの構築、推進にとって有効で、またその改善に十分活用できるための自己評価方法を確立することを目的とします。そのため、各業種・業界のTQM推進経験者を新たにメンバーに追加し、研究を進めます。51年度は参加メンバー組織でやってこられたTQM診断、自己評価のやり方や取り組み事例について情報共有し、自己評価方法の在り方や、評価結果の分析、活用方法の留意点を明らかにします。
5.標準委員会
(1)JSQC規格の新規作成を計画及び実施します。
<実施>
- JSQC- Std 01-001 TQMの指針
- JSQC- Tr 11-001 品質不正防止の技術報告書
- JSQC- Std 22-001:2019(E) 新製品・新サービス開発管理の指針(英語)
<計画>
- JSQC- Std 61-001根本原因分析の指針
(2)JSQC規格のJIS化を計画及び実施します。
<実施>
- JIS Q 9029:20XX マネジメントシステムのパフォーマンス改善 -品質マネジメント教育の指針
- JIS Q 9027:2018(E) マネジメントシステムのパフォーマンス改善 -プロセス保証の指針(英語)
- JIS Q 9028:2021(E) マネジメントシステムのパフォーマンス改善 -小集団改善活動の指針(英語)
<計画>
- JIS Q 90XX:20XX マネジメントシステムのパフォーマンス改善 -新製品・新サービス開発管理の指針
(3)JSQC規格の定期見直しをします。
- JSQC- Std 89-001:2016 ”公的統計調査プロセス-指針と要求事項”(原案作成は日本 マーケティングリサーチ協会)
- JSQC- Std33-001(E)方針管理の指針(英語)2022年9月
- JSQC- Std 41-001品質管理教育の指針 2022年11月
(4)事業委員会とのコラボレーションにより学会規格の講習会を開催します。
6.学術委員会
6-1.論文誌編集、表彰(学術)小委員会
【論文誌編集】
(1)従来からの方針を引き継ぎ、論文審査において、査読意見を参考にしつつも論文誌編集委員会の主体的な判断に基づき採択の可否を決定していきます。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載する方針についても、変更ありません。年間の掲載数10本を目指します。
(2)規定された方法に従って、投稿論文審査の質の向上と迅速化を図っていきます。
(3)国際交流委員会と協力して、ANQ Congress 2022への論文発表を促進します。特に、若手研究者への支援を積極的に行います。
(4)国際交流委員会と連携して、ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行に向けて活動します。第51年度はVol。 7のNo。1及びNo。2を発行する予定です。
(5)論文掲載には相当なコストがかかるため、学会の財政状況を鑑みますと、論文掲載料の徴収は避けらない状況です。会員の理解を得つつ、引き続き検討します。
(6)学会誌編集委員会と連携して、品質誌の電子ジャーナル化について、J-Stageでの発行形態等に関し、引き続き検討を続けます。
(7)英文電子ジャーナル(Total Quality Science)でのシステムを参考にしながら、品質誌においても、論文審査プロセスの効率化を目指し、電子投稿・審査システム導入に関して、引き続き検討します。
(8)英文電子ジャーナル(Total Quality Science)をインパクトファクター付きのジャーナルにするために、総合企画委員会と連携し、協力します。
(9)昨年度に引き続き、研究発表会の活性化を目的として創設された優秀発表賞制度を継続します。
(10)論文誌編集委員会での審議の実施方法について、効果的な方法を検討し、実施します。
【研究助成】
第51年度も引き続き若手研究者に対する研究助成を行います。募集要項の主な内容は下の通りです。助成金額は1件5万円で5件以内。対象者は、日本品質管理学会の正会員もしくは準会員、申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者、留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者(年齢制限はありません)とします。すでに2回採択された者は選考対象から外し、助成対象は品質管理に対する研究全般およびANQ以外の国際会議での研究発表への旅費支援も含めます。期間は1年間(2021年10月から2022年9月)です。研究成果を品質誌へ投稿、あるいは、研究発表会などで発表することを奨励します。研究期間終了後には研究成果報告書を提出してもらい、当学会誌への投稿、ANQ Congressおよび当学会での研究発表会で発表した場合には、大会名、発表タイトル、要旨集やプロシーディングスのページを記入してもらいます。
6-2.国際交流、学会間交流小委員会
【国際交流】
(1)ANQ 2022への協力
中国(開催都市・形態は未定)で、ANQ(Asian Network for Quality)総会の開催が予定されています。大会開催の支援やアドバイスを、JSQCとして継続的に行っていきます。
(2)ANQの安定的発展のための調整
2022年度のANQ理事会は2回の開催が予定されています。JSQCとしてANQの発展に積極的に関与し、ANQ-CEC(ANQの品質管理検定委員会)、Ishikawa Kano Award委員会には、委員を派遣する予定です。財務委員会では、JSQCが委員長をつとめます。
2024年に、ANQを日本で開催する予定で準備を進めます。
(3)英文電子ジャーナルの刊行
英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の刊行の7年目が開始されます。国際学会発表(ANQ)と、英文電子ジャーナル投稿(TQS)のよいコラボレーションを今後とも継続強化してまいります。投稿システムの英文化に向けて50周年記念事業にて活動いただいており、海外からの投稿についても積極的にすすめてまいります。
(4)海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
ANQ関係団体と交流し良い関係を作り、特に若手会員が交流する際の支援ができるようなプログラムを検討します。
【学会間交流】
(1)FMES
第50年度も引き続き、FMES代表者会議、FMES/JABEE委員会、FMESシンポジウ
ムに参画し、経営工学関連学会との交流、JABEEの審査活動、FMESシンポジウム等
の活動に、中核団体として協力していきます。
(2)横幹連合関係
第50年度に引き続き、第12回横幹連合コンファレンスの企画に協力します。2021年12月に開催される第12回横幹連合コンファレンス(筑波大学)に、日本品質管理学会からコトつくりコレクションに田口メソッドの推薦を予定しています。
7.安全・安心社会技術連携特別委員会
日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム部会/社会・環境部会)等との共催の安全・安心のための管理技術と社会環境」シンポジウムを、引き続き推進します。また、自動車事故対策機構等の審議についても引き続き、参加・協力していきます。ISO 39001関連についても、認証制度の普及、支援規格の開発などについて引き続き協力していきます。
8.TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会
現在、我が国は、医療のみならず、データサイエンス(以下、DS)においても世界に遅れがあるかもしれません。これからの日本の多くの産業が再び世界に君臨し、国全体としてMade In Japanの復活を図るには、日本の強みであるモノづくり・コトづくりにおける現場力と小中高ならびに大学の教育との連携が鍵を握ります。これを為しうるのはTQMの伝統とQCCという全国組織をもつ日本のみです。上記の目的を達成するために、JSQCTQE特別委員会はこの11年間、微力を尽くして参りましたが、これを加速することを51年度の目標とします。
TQE特別委員会では、DSを 「“問題解決プロセス”を基本動作とし、そこに統計学・品質管理学・ビッグデータ・ AI・機械学習などを 目的に応じながら使い分け、固有技術(各分野の知識・理論・経験)を活用し、新しい知見・ノウハウ・価値を獲得する一連のプロセス(第111回 品質管理シンポジウム 2021年6月3日~5日)」 として捉え、委員一同一丸となって以下の活動を展開していきます。
また、予測困難な社会の変化に対し、どのように社会や人生をより良いものにしていくかという目的を自ら考え、これを解決しうる力(生きる力)を育成する為に、2017年3月31日に、小学校および中学校の学習指導要領、2018年3月30日に高等学校学習指導要領が公示され、小中学校では算数科・数学科のそれぞれ各学年に共通した4領域の内、1領域に“データの活用”が設けられ、そして高等学校では、数学科に“データ分析”と“統計的な推測”、情報科に“情報とデータサイエンス”が設けられ、51年度より中高にて新学習指導要領に基づく授業が実施され、これへの円滑な実施へ協力していきます。
(1)これまでの日本の品質管理界が培ってきた主体的・協働的な科学的問題解決の知を結集し、問題解決プロセスの確立とともに、新たな学習指導要領の鍵となる “次世代への数学教育” 、 “情報・ICT・AI世代への教育” 、 “産官学の連携” にむけて、議 論を継続し情報発信を行います。
(2)本年度は、日本のみが持つ強みであるTQMの伝統とQCCを活かすべく、QCC大会のGood Practicesを産学が共有しうる仕組み構築を目指します。
(3)上記に関連し、産よりの小中高の問題解決教育への支援の可能性、および小中高からの産学による問題解決教育への支援の必要性の現状把握のためのアンケート結果を踏まえて、必要な支援活動を継続します。
(4)40年度に設立された統計グラフ全国コンクールにおける 日本品質管理学会賞の周知・徹底を図り、その質の向上に努めます。
(5)前年度に引き続き、日本統計学会統計教育員会と連携し、Web活用の “TQE問題解決オンラインセミナー” を企画・開催し、新学習指導要領の円滑な実施に向け協力します。