第53年度事業計画

自2023 年10月 1日   至2024 年 9月30日

1. 運営方針

  第53年度は、新たな3ヶ年中期計画を実行し、ミッション、ビジョン、重点実施事項の達成により、学会のさらなる価値向上に取り組みます。とくに、AI品質に関するガバナンス強化の対応として、AIリスクアセスメントのガイドライン・事例集等の発行など、データ駆動型品質管理への対応として、工程内ビッグデータ解析ツールの無償提供など、新たな取り組みを推進し、会員へのサービス向上を図ります。また、事務局業務や理事会・各委員会についても見直し、省力化と効率化を推進します。JSQC会員の皆様方におかれましては、JSQCのさらなるチャレンジに向けて、格段のご支援、ご協力を衷心よりお願い申し上げる次第です。

第53年度重点実施事項概略 [ ]:目標

 A)会員・賛助会員にとって魅力ある学会づくり(新会員の入会促進)

 1.「学理の追求と社会実装」を実践するための機会(場)の提供
  ・AI品質に関するガバナンス強化(ガイドライン作成、事例紹介・共有)[ガイドラインの明確化]
  ・工程内ビッグデータを用いた品質管理(解析ツール無償提供、事例紹介・共有)[展示会開催]

 2.  学会誌、研究会の改革による学理の追求の促進
  ・Total Quality Science誌 国際化に向けた取り組み[国際ジャーナル化]
  ・他学会との連携研究会の推進[連携強化]

 3. 会員に役立つ情報の提供、行事の企画など品質管理啓発活動の推進[役立ち度/満足度向上]
  ・研究発表会、事業所見学、講演会、シンポジウム、クオリティトーク 他[行事年間15回以上]
  ・JSQC規格の発行と講習会開催 
  ・JSQC選書の発行

 B)品質管理の正しい理解と普及の促進による、安心で豊かな社会の実現への貢献

 1.AI、ビッグデータ活用へ繋がる小・中・高への品質・統計教育支援
  ・問題解決の教育支援[高等学校での授業実現] 
  ・データ駆動型問題解決の教育支援と教員の入会促進[データセット10件以上]

 2.支部活動のさらなる強化
  ・本部/支部間連携(各種WEBイベント)[WEBイベント共有化80%以上] 
  ・地域の特徴を活かした運営[1件以上]

 3.JAQを通した価値創出の推進[価値創出の確立]
  ・品質不正防止に向けた適切な示唆の紹介
  ・クオリティ重視の機運を促す情報発信/紹介
  ・現状のクオリティと産業競争力の情報共有

 4.国際化の推進[ANQ発表50件]
  ・ANQ(Asian Network for Quality)総会への積極的参加
  ・2024年ANQ総会の日本開催
  ・2023-2024年ANQ議長組織

 C)更なる会員サービスの向上

 1.ICT活用による事務の効率化[10%効率化]
  ・事務作業の仕組化、簡素化・会員サービス向上のための余力創出 

 2.外部発信の強化※A)・B)と連動した取り組み[イベントの質向上、満足度向上]

2. 総合企画委員会 

 重点実施事項3ヶ年中期計画の進捗管理の場と位置づけて、概ね3ヶ月に1回の頻度で開催を計画します。とくに、概況に示した運営方針を議論する場として少人数での構成にて議論を継続します。重点実施事項3ヶ年中期計画の初年度となりますので、早い段階から振り返りをすることで、ミッション、ビジョン、重点実施事項を推進してまいります。

【研究発表会実行委員会(特別委員会)】
 2023年11月開催予定の年次大会研究発表会のプログラム作成などを行います。2024年5月開催予定の第134回研究発表会でのチュートリアルセッションの企画・実施、そして研究発表会のプログラム作成などをサポートします。2024年11月開催予定の第54回年次大会の研究発表会の準備を行います。
 また、委員会のあり方・進め方などについて内規を作成などを通して、整備を行っていきます。

3. 庶務委員会

 学会運営が円滑に進むよう、諸般の庶務活動を推進します。選挙管理は、オンライン選挙の定着を図ります。会員サービス、品質管理推進功労賞、会計は、関係する規定に基づき進めます。規程の制定、改定は、学会活動を発展的・効果的に進めるため、各委員会等と協力し、規定・内規等を迅速に作成・改定するように取り組みます。

4. 活動委員会(事業を含む)

【研究開発】

 中長期計画、および、本年度の運営方針に基づき、以下の活動を行います。

  1. (1) 例年通り、既存の研究会における研究活動予算を検討し、配分します。
  2. (2) 第52年度に引き続き、将来を見据えた研究分野の検討と新たな計画研究会の設置を検討します。
  3. (3) 第52年度と同様に、研究会の研究成果や活動内容を学会誌へ掲載する活動を継続します。
  4. (4) 事業・広事業・広報委員会と連携しながら、研究発表会や年次大会においても、研究会の研究成果や活動内容の発表を促進していきます。
  5. (5) 第52年度に引き続き、研究活動とその成果を学会員へ広く伝え、学会員が学会の真価を享受できるようにするため、各支部とも連携を深め、学会活動の充実と活性化を目指します。

【学会誌編集】

 第52年度も例年どおり、年4冊の学会誌『品質』、年8回のJSQCニューズを発行します。
 編集方針も第52年度に引き続き、特集、研究会活動・部会活動の報告、招待論説、研究紹介・研究室紹介、講演概要、ルポルタージュを掲載します。特に、第52年度に再開した特集は、第52年度は間欠的でしたが、第53年度は毎回企画する予定です。
 学会誌の意義と魅力を高め、学会活動を的確に伝えることができるような紙面づくりを目指していきます。

【事業・広報】

 第53年度は引き続きオンライン開催と共に、対面での対面での開催を取り入れていく。
 第52年度の反省点を踏まえて

  • 尖った企画は参加最低人員に関わらず、行事企画委員と委員長の判断で実施の可否を決める
  • 行事計画はPR期間を拡げる意味でも日程を早めに設定して募集を掛け、PRの仕掛けを改善する
  • コロナ禍の終息を鑑み、事業所見学会の再開をはかる

 また、魅力ある学会づくりに向けて、オンラインでも対面でも魅力ある行事の企画を、以下のポイントを重点にして、各行事の企画開催を行っていく。

  • ① AI品質に関するガバナンス強化、工程内ビッグデータを用いた品質管理の啓発
  • ② 個人会員、賛助会員の増加に繋がる行事の開発
  • ③ 各行事の、広報・募集・参加・開催運営方法の改善
  • ④ 支部活動との連携
  • ⑤ 新HP情報発信の重点的・計画的改善

▼(表)第53年度事業計画

  年次大会 研究発表会 講演会
(座談会)
シンポジウム JSQC規格
講習会
事業所
見学会
クオリティ
トーク
第53年度計画 1 1 2
(上記①のプチシリーズ含む?)
2 6 2 5

【JSQC選書】

 「JSQC選書=品質管理に関する、非専門家向け高度教養講座」の地位を確立すべく、引き続き、品質立国日本再生に寄与するテーマで良質の書籍の発刊を目指します。
 並行して、第53年度以降の選書テーマ候補を充実させ、時宜を得た発行計画の立案を行います。その際、JSQC選書既刊本に対する読者の声の収集・把握に努め、今後のテーマ選定等に活かします。必要があれば、テーマ選定から発刊までの一連のプロセスを改善します。書籍の内容と購入者の傾向や関係を探ることも考えます。
 また、JSQC選書の知名度向上に向け、有効な広報策について検討・実践を試みます。

4-1. 東日本支部

 第52年度に引き続き、関東エリアのコミュニティ強化を目指して、活動委員会(事業・広報)が中心となり、クオリティトーク・事業所見学会などを企画・開催します。特に、前年度は対面での開催が難しかったイベントの対面やハイブリッドでの実施を検討します。
 また、東北以北のコミュニティ強化についても昨年度と同様に、活動委員会(事業・広報)が中心となり、東北エリアでの継続開催、および同地区以外の行事開催について検討をさらに進めます。さらに、各支部とも連携をはかり、オンラインによる講演会などを積極的に企画していきます。

4-2. 中部支部

(1)中部支部の基本方針

 1)本部の方針に基づいた活動を展開します。
 2)研究会活動を軸として、産学連携による会員の相互研鑽の場を提供するとともに、品質管理に関する先進的な情報の発信に努めます。
 3)品質管理の考え方・手法を、諸団体との連携により、様々な業種・職種に発信して、中部地区の成長に貢献します。特に、中小企業への発信に努めます。
 4)研究発表会を核とした行事の充実に努めます。

【中部支部のスローガン】

 品質管理の普及・浸透で、問題解決力を高めて、日本の生産性向上(成長)に貢献しよう!

(2)行事の具体的な内容

 1)研究会

 研究会活動を支部活動の中心と位置づけて、次世代を見据えた若手研究者の活性化と内容の更なる充実を図ります。

  • 東海地区の若手研究会(主査:松田 眞一)[6回/年]
  • 北陸地区の若手研究会(主査:中野 真)[発表会:1回/年]
  • 中部医療の質管理研究会(主査:木村 茲)[シンポジウム:6回/年]
  • 中部支部産学連携研究会(主査:川村 大伸)[6回/年]

2)研究発表会[1回/年]

  会員の多岐にわたるニーズに応えた幅広い研究・開発テーマで、かつ多くの企業・組織 に展開できる発表の場を提供します。

  • 学会の学会の新しい研究成果と一般も含めた産業界・医療界からの具体的実践事例を発表。
  • 中部支部の4つの研究会から、活動成果を発表。

3)シンポジウム(基調講演とパネル討論会)[1回/年]

 産学界の関心が高く、一般からも多くの参加者を得られる基本方針に沿ったテーマを選定し企画します。

4)講演会[1~2回/年]

 会員の関心の高いテーマによる講演会を企画します。

5)事業所見学会[1~2回/年]

 先端的な企業や組織を訪問し、会員(幹事を含む)の研鑽の場の提供を企画します。

 6)幹事研修会[2回/年]

 幹事間の意思疎通を図り、中部支部の活動・運営に対する議論・相互研鑽ができる研修を行います。また内1回は北陸地区の幹事の協力を得て北陸の企業訪問を行います。

(3)中部支部の運営について

1)上記行事の企画は、幹事会で行います。幹事会は2ヶ月に1回程度を目処に開催します。
  開催日、場所の調整は、事務局(日本規格協会名古屋支部)にて行います。幹事会には中部支部在住の理事、代議員も参画し、支部運営にあたります。

2)行事の運営は、行事マニュアルに沿って進めるとともに、PDCAを回し、効果的かつ効率的な運営を行います。

3)代議員を中心として、各事業の企画を充実させることに重点をおいて進めます。

4-3. 関西支部 

【1】運営方針

 日本は、高度な製造業とサービス産業の国であり、品質管理は経済と社会において非常に重要な要素の一つとなっている中、日本を取り巻くビジネス環境は、複雑さを極め、様々な課題に直面しています。
 第一に、日本の人口減少、高齢化の進行により、労働力が減少し品質管理におけるスキルやノウハウの継承が課題となっています。また、技術の進歩は素早く、製品やサービスの品質基準も常に変化しており、迅速な適応が求められています。さらにグローバルでは、国際市場で競争力を高めるために、品質が競争力の一つとなっており、品質の維持をその向上が不可欠になってきています。その上、環境への配慮がますます重要になる中、製品のサステナビリティや環境への影響も、品質管理の一部として考慮されはじめています。
 このような常に変化する状況を直視しつつ、関西支部では、品質力、組織・マネジメント力、現場力、顧客対応力の向上策について、下記の事業内容を通じて、品質管理のレベル向上に貢献することを目的に、事業活動を積極的に進めてまいります。

【2】事業内容

(1)講演会【1回】
  ”モノづくり” ”コトづくり” の発展に寄与できる魅力ある講演会を企画します。

(2)シンポジウム【1回】
  今、最も要求されているテーマを選定し、活発な議論のできるシンポジウムを企画します。

(3)研究発表会【1回】
  企業のニーズと学のシーズをマッチさせ産学で相互に研鑽できる発表会を企画します。

(4)事業所見学会【2回】
  特色のある事業所の見学を企画します。

(5)QCサロン【5回】
  会員サービスの充実を図る講話とざっくばらんな質疑応答ができるサロンを企画します。

(6)研究会【適宜】
  社会のニーズに即した研究会を発足させ、研究の内容を深めます。

  1. AI時代におけるコトづくりと品質保証研究会・・・継続
    「言語データの利活用に基づく顧客の気づいていないコトに対する仮説の生成、その仮説に基づく製品・サービスの企画、企画に基づくプロトタイプの制作と顧客提示によるギャップの発見と解消」というPDCAサイクルの新しいあり方を探ることを目的に研究を行います。
  2. ダイナミックロバストマネジメント研究会・・・継続
     従来、企業経営に有効なマネジメントシステムとして実地で検証されてき日本的なTQMと高度な先進技術(IoTなど)との相互関係、ヒューマンエラー、モノづくりのレベルアップ策等に関して、品質管理学会が培ってきた数々のQC技術をベースにし、グローバル化時代におけるダイナミックな問題解決アプローチの方法論を体系化することを目的に研究を行います。

【3】その他

 ・支部連携の促進

 各支部との情報共有、事業連携(事業の共同運営や支部事業の案内など)をより一層強めることで、支部事業への参加を働きかけて、会員増を促進します。

4-4. 西日本支部 

 西日本エリアのコミュニティ強化を目指し、活動委員会(事業・広報)と連携し、引き続き、事業所見学会及びJSQC規格講習会などを企画、実施します。
 また、コミュニティ拡大のため、エリア内各地域での行事の企画、実施についても、積極的に検討を進めます。

4-5-1. 信頼性・安全性計画研究会

 本計画研究会は、最終期の活動として社会システムにおいて安全・安心を実現するための要素、方法論の提言を目指します。52年度の活動を継続し、おおむね3ヶ月に1度程度、研究会を開催いたします。研究成果については、JSQC研究発表会、年次大会などで積極的に発表することを検討いたします。

4-5-2. テクノメトリックス研究会

 テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」を主軸として、「数理科学志向型・計算機志向型の統計的品質管理手法」の開発を目指します。具体的には、メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行い、品質管理の手法として確立できるようにします。多変量解析法を中心に、実験計画法、統計的手法の理論的側面、解析事例、解析手順などさまざまな視点から研究をします。また、昨年度同様、おおむね3ヶ月に1度の開催を考えています。そして、研究成果については、JSQC研究発表会、年次大会や品質誌などで積極的に発表していく予定です。

4-5-3. 商品開発プロセス研究会

 (一社)品質工学会との共同研究活動を継続し、顧客価値創造の上流工程プロセスの開発、創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの研究、損失関数の新事業プロセス評価への提供研究の3つのWGによる研究会を毎月1回のペースで行います。2023年11月に開催される第53回年次大会に全てのWGによる研究会活動報告を実施すると共に、2024年6月に開催予定の品質工学会研究発表大会への研究発表と研究会全員の対面研究会の復活を目指します。

4-5-4. 社会基盤型運輸システム品証研究会

 交通・物流系における自動・自律化の先端技術が社会インフラの中核として社会に定着するために求められる品質管理、特に、品質保証の在り方について、学術的・実務的な観点で検討します。主に下記の3分野で早期実用化が求められる社会的サービスを想定し、包括的な品質保証について提言を行います。

(1)自動車の自動安全運転技術
(2)ドローンの自動航行技術
(3)サービスロボットの自律搬送技術

 次年度は、航空管制の歴史や失敗学の知見に習い、AI技術等の新サービスの失敗が次の挑戦へと生かされる組織能力や組織風土について総合的に検討することにより、それらを「冒険安全文化」として形式化(形式知の導出)を図る。さらに、これまでも議論してきた下記項目への具体的な展開を図ることにより、実践知への転換についても品質保証の視座で議論する。

(1)顧客主体の社会的サービスに求められる品質管理
(2)アジャイル型開発のリスクマネージメント
(3)デジタル・プラットフォームにおける品質管理
(4)社会基盤創造のためのソーシャル・キャピタルの醸成
(5)自動化・自律化技術を活用するサービスの資格制度

4-6. サービスエクセレンス部会(生産革新部会と合同開催)

 サービスエクセレンス/生産革新部会は、サービスと生産に携わる幅広い職域を網羅する側面に加えて、各職域が求める課題を部会名に示し、課題の達成に向けて定期的に知識共有会などを開催しています。そして、課題達成の原動力と位置付けるDX(Digital Transformation)は両部会の共通課題であり、コトづくりとして包括的にとらえて調査研究を行うために、前年度に続いて合同で取り組みを進めます。
 第53年度は、従来から実施している知識共有会/ワークショップ(隔月目安で開催)に加えて、タイアップ企業との共同研究、論文化に向けた研究活動などを順次進め、「未来志向の顧客価値づくり」の体系化を志向します。そして、活動を通して得た知見は、『品質』誌に掲載するほか、クオリティフォーラム(日科技連主催)における発表(2023年11月)などを通して学会内外への普及活動を推進します。また、サービスエクセレンス/生産革新の実装を促進するためのコミュニティづくりに加えて、関係機関・組織との連携により国際標準などへのフィードバック活動を進めます。

4-6-1. サービスのQ計画研究会

 従来のサービス及びものづくりのサービス化という意味で、統合されたサービス概念、すなわち、サービスドミナントロジックにおけるサービスから創出される品質について研究します。具体的には、サービスエクセレンス部会で開催されている知識共有会で得られた知見を分析し、エクセレントサービスを提供するための組織能力であるサービスエクセレンスを向上させるための手法、エクレントサービスを設計するための手法等について研究します。研究成果については、研究発表会・品質誌などで積極的に発表していく予定です。
 第53年度も第52年度に引き続き、本研究会のメンバーは、ISO/TC312(Service Excellence)における規格開発に積極的に関与します。

4-7. 医療の質・安全部会

 第53年度も、QMS-H研究会、医療QMS監査研究会、医療経営の総合的「質」研究会の3研究会を中心に、医療QMSに関する研究を進めてまいります。医療の質マネジメント基礎講座は、既に2023年5月より12月末までの予定で開講しました。2024年4月からの開講形式についても検討中です。

 (1)QMS-H研究会との共同研究

 今年度は、文書管理、QMS維持継承、日常管理、教育をグループ研究の課題として取り上げ、進めていきます。参加病院は、既に重点課題を定めており、その解決を進めていきます。中間成果報告会は2023年9月に実施済です。例年行っている最終成果報告シンポジウムは、2024年3月2日(土)または9日(土)を予定しています。今年度のハイブリッド開催の予定です。研究会の将来構想を検討する企画運営委員会も集中的に開催し、最終成果シンポジウムでは、今後の研究課題を発表する予定です。

 (2)医療QMS監査研究会

 引き続き、2ヶ月に一度の頻度で開催予定です。現在、審査・監査における標準例を、いくつかの対象業務で作成しています。これを用いた模擬審査を行うことも検討しています。
 これを活用して、審査員教育のコンテンツに発展させることも検討します。

 (3)医療経営の総合的「質」研究会

 第53年度はCOVID-19の2類相当から5類への移行に伴い、参加病院の増加を含めて、月1回の定期ミーティングを対面・オンラインのハイブリッドで開催します。検討項目は、①医療アラーム(生体情報モニター、ナースコール)不具合事例対策、②医療IT(電子カル テ:EMR、EHR、PHR)の定義と質保証、③デジタル医療情報のFAIR活用による相互運用性、④医療機器ソフトウエア(SaMD)の利活用と法的規制、⑤AIの医療適用、⑥個人情報保護、⑦医療事故調査制度の在り方、⑧患者参加の定義とその在り方、⑨医療安全相互評価の仕組み、⑩医療における危害源(ハザード)、危害(ハーム)、リスクの定義、⑪各種質管理手法(RCA、FMEA、特性要因図、業務フロー図)の検討・教育・周知、⑫ChatGPTなどのLLM(Large Language Model)の医療活用などの予定です。

 (4)医療の質マネジメント基礎講座

 「医療の質マネジメント基礎講座」は、既に2023年5月より12月までの予定で、オンデマンドコンテンツの提供により、開講しております。また、一部の演習科目は、集合研修で演習を実施する予定です。さらに、カリキュラム見直しのための講師会を開催し、2024年の開講計画を立案します。

4-8. ソフトウェア部会

 第53年度は、会合の頻度を増やし活発な議論を行います。

・ソフトウェア開発における課題や問題点の議論

 部会の原点に立ち返り、部会員間のコミュニケーションや議論に特に注力します。自由闊達な議論を通じてソフトウェア開発における課題や問題点を探索します。課題や問題点は新たな研究テーマの候補として議論を発展させます。新型コロナウィルス感染症の流行前のような懇親の場を再開させ、部会員の親睦を深めます。また、ワークショップ形式の部会も企画します。

・最近注目されているテーマの情報交換と議論

 生成AIやローコード開発など、最近トピックとなっているテーマについて情報交換や議論を行い、品質管理に与える影響などを考察します。

・ソフトウェア開発関連の行事への積極的な協賛・後援

 他団体の開催するソフトウェア開発関連の各種行事に協賛・後援することで、部会メンバーの便宜を図るとともに、ソフトウェア部会活動の活性化を図ります。

4-9. 管理技術部会

 前期から、会員アンケート結果を踏まえた新たな運営体制に変更して部会活動を行い始めたばかりであるため、53期も同様な活動を実施します。具体的な実施事項は以下のとおりです。

(1) WGにおける研究活動の推進

 既存の4つのWGについては、前期に各WGで取り組むべきテーマを具体化できつつあるため、53期は具体化したテーマに沿って実際の研究活動を推進していきます。

(2) 勉強会/情報共有会の継続

 前期に新たに導入した勉強会/状況共有会については部会員からも好評で、参加者も多かったため、52期も継続して実施します。品質不祥事、DX&AI、人財育成、SDGs/ESGs、ISO9001/TQMなどの主要領域テーマに沿った企画を行っていきます。

(3) 部会活動の情報発信

 前期と同様に、今期もメーリングリストによる部会での研究成果やその活動経過を積極的に部会員に発信します。また、学会の研究発表会・年次大会での発表を推進し、学会員に広く周知していきます。

5. 標準委員会

 (1)既存JISの英訳に取り組みます。

  • JIS Q 9029:2022 マネジメントシステムのパフォーマンス改善―品質マネジメントの指針(英訳版)
  • JIS Q 9030:202X マネジメントシステムのパフォーマンス改善―新製品及び新サービス開発管理の指針(英訳版)

(2)JSQC規格の原案作成、JIS改正および新規作業項目の検討を継続し、早期の発行を目指します。

  • JSQC-Std 32-001 日常管理の指針(改正版)
  • JSQC-Std 62-001 RCA(根本原因分析)の指針
  • JIS Q 9024 マネジメントシステムのパフォーマンス改善―継続的改善の手順及び技法の指針(改正版)
  • プロセス保証-リスクマネジメントとクライシスマネジメントの指針

(3)制定済みのJSQC規格およびJISの見直しを行います。 

  • JSQC-Std 22-001:2019 新製品・新サービス開発管理の指針の見直し(継続、改正等の決定)を、2024年4月を目途に行います。

(4)事業委員会提案の学会規格講習会およびシンポジウムに講師を選定、派遣します。

6. 学術委員会

6-1. 論文誌編集、表彰(学術)小委員会

【論文誌編集】

(1)従来からの方針を引き継ぎ、論文審査において、査読意見を参考にしつつも論文誌編集委員会の主体的な判断に基づき採択の可否を決定していきます。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載する方針についても、変更ありません。年間の掲載数10本を目指します。

(2)規定された方法に従って、投稿論文審査の質の向上と迅速化を図っていきます。

(3)国際国際交流委員会と協力して、ANQ Congress 2024への論文発表を促進します。特に、若手研究者への支援を積極的に行います。

(4)国際交流委員会と連携して、ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行に向けて活動します。第53年度はVol. 9を発行する予定です。

(5)論文掲載には相当なコストがかかるため、学会の財政状況を鑑みますと、論文掲載料の徴収は避けらない状況です。会員の理解を得つつ、引き続き検討します。

(6)昨年度に引き続き、研究発表会の活性化を目的として創設された優秀発表賞制度を継続します。

【研究助成】

 第53年度も引き続き若手研究者に対する研究助成を行います。認知度向上のため、各支部事務局にも周知依頼を出します。募集要項の主な内容は以下の通りです。助成金額は1件5万円で5件以内。対象者は、日本品質管理学会の正会員もしくは準会員、申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者、留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者(年齢制限はありません)とします。すでに2回採択された者は選考対象から外し、助成対象は品質管理に対する研究全般およびANQ以外の国際会議での研究発表への旅費支援も含めます。期間は1年間(2023年10月から2024年9月)です。研究成果を品質誌へ投稿、あるいは、研究発表会などで発表することを奨励します。研究期間終了後には研究成果報告書を提出してもらい、当学会誌への投稿、ANQ Congressおよび当学会での研究発表会で発表した場合には、大会名、発表タイトル、要旨集やプロシーディングスのページを記入してもらいます。

6-2. 国際交流、学会間交流小委員会

【国際交流】

1)ANQ Congress 2024の日本での開催

 2024年9月に日本(横浜市、慶應義塾大学)で、ANQ(Asian Network for Quality)Congress 2024の開催が予定されています。日本での開催は2009年(早稲田大学)以来、15年ぶりとなります。

(2)ANQの安定的発展のための調整

 JSQCは、2023-2024年度にANQ理事会の議長を務めています。年2回の理事会の開催および2024年9月にANQ Congress 2024開催のホストとなることを予定しています。ANQ理事会議長を務めるJSQCの山田秀副会長を中心に、大会開催の準備を行っていきます。

(3)英文電子ジャーナルの刊行

 英文電子ジャーナルTotal Quality Science(TQS)の刊行の9年目が開始されます。国際学会発表(ANQ Congress)と、英文電子ジャーナル投稿(TQS)の良いコラボレーションを今後とも継続強化してまいります。投稿システムの英文化により、海外からの投稿についても積極的にすすめてまいります。

(4)海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討

 ANQ関係団体と交流し良い関係を作り、特に若手会員が交流する際の支援ができるようなプログラムを検討します。

【学会間交流】

 (1)FMES

    前年度に引き続き、FMES代表者会議、FMES/JABEE委員会、FMESシンポジウムに参画し、経営工学関連学会との交流、JABEEの審査活動、FMESシンポジウム等の活動に、中核団体として協力していきます。

 (2)横幹連合関係

 第52年度に引き続き、横幹連合企画・事業委員会、会誌編集委員会等を支援し、横幹連合20周年事業や12月に、ハイブリッドで開催される第14回横幹連合コンファレンス(東京大学本郷キャンパス)「対立・矛盾を克服する横幹知イノベーション:領域融合のトランスフォーメーションを目指して」の企画にも協力するとともに、学会を超えた産官学3調査研究会(SDGs、 ELSI、 DX)活動を支援します。
 特に、「コトつくり至宝」の選出について全学会トップへの協力要請がなされることが決まり、これまでJSQCが横幹連合「コトつくりコレクション」に登録してきた、「QCサークル」、「QFD」、「タグチメソッド」といった日本の品質管理活動のコトつくりが至宝として選出される局面となっており、第14回横幹連合コンファレンスには、永田靖顧問が至宝登録の特別企画セッションに参加される予定です。

7. 安全・安心社会技術連携特別委員会

 日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム部会/社会・環境部会)等との共催の「安全・安心のための管理技術と社会環境」シンポジウムを、引き続き推進します。また、自動車事故対策機構等の審議についても引き続き、参加・協力していきます。ISO 39001関連についても、認証制度の普及、支援規格の開発などについて引き続き協力していきます。

8. TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会

 本TQE特別委員会は2010年の発足以来、メンバ(https://suzukilab.wordpress.com/jsqc-tqe-committee/)が一丸となり、日本のTQMの伝統とQCCという全国組織をもつ日本の財産を活用し、初等中等統計教育における科学的問題解決教育の推進に努めてまいりました。文科省と種々の学協会の方々の御蔭で、新学習指導要領が2020年小学校、2021年中学校、2022年高等学校でスタートし、この中で、必要なデータを収集して分析し、その結果を踏まえて対策を実行し課題を解決し、意思決定をなし得る資質・能力を育成する目的が定められ、小中学校では算数科・数学科のそれぞれ各学年に共通した4領域の内の1領域に“データの活用”、高等学校では、数学科に“データ分析”と“統計的な推測”、 情報科の「情報Ⅰ」(必修)という科目に、“データの活用”、「情報Ⅱ」では“情報とデータサイエンス”が設けられました。特に小学校5年、6年の教科書には、QCストーリーの教育版であるPPDAC(Problem、 Plan、 Data、 Analysis、 Conclusion)が海外より逆輸入され掲載されるようになりました。
 本TQE特別委員会では、設立当初に初等中等問題解決教育向けに構築した 問題解決基本3フェーズ

テーマ:本質的目的(人・社会の満足)

PhaseⅠ:現象把握、PhaseⅡ:因果探究 PhaseⅢ:対策実行の普及、ならびに現状把握と因果探究での真の原因(科学的因果メカニズム)の特定の重要性の理解に努めてきました。特に高校以上ではこれが問題解決の最重要点で、企業では、これを極めなければモノづくりはできません。新学習指導要領の問題解決プロセスの具体的な例示が、[数学科] 、[情報科] 、[総合的な探究の時間]で異なっており、また、先のPPDACではこの認識と浸透が十分達成しうるとはいえません。また、これに加え、国全体としての科学的問題解決の重要性の認識が今一歩である問題解決のご経験がない先生方への科学的問題解決法のさらなる普及が必要であるデータサイエンス・AI・DXにおいては、問題解決プロセスなどのソフト面でなく、機械学習とその実装などICTに産・官・学の関心が向かいがちである等を初めとする種々の問題があります。本TQE特別委員会はこれらの問題を解決すべく、TQE特別委員会の発足からの活動経緯、成果を踏まえて、新学習指導要領のさらなる円滑な実施へ協力させて頂きます。新年度の主な活動項目は以下の通りです:

 (1)自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力、すなわち「生きる力」、そして「助け合い」と「生きる喜び」を次世代の全国民に与える方法・プロセスである科学的問題解決プロセスの確立とその普及に努めます。このとき、現状把握と因果探究での真の原因(科学的因果メカニズム)の特定の重要性の理解に注視します。

(2)上記の達成とともに科学的問題解決法の経験がない先生方へのさらなる普及活動として、定例の毎月の委員会に加え、52年度に委員会内に設けた 問題解決高校授業検討WG(古谷委員・ 熊井氏・菅生氏を中核とする)による活動を推し進め、問題解決プロセスと身の回りの問題解決事例を含む副教材を作成し、全国の高校への啓蒙普及を図ります。

(3)新たな学習指導要領の鍵となる“次世代への問題解決教育”、“情報・ICT・AI世代への教育”、“産官学の連携”にむけて、議論を継続し情報発信を行います。

(4)日本のみが持つ強みであるTQMの伝統とQCCを活かすべく、問題解決に関する講演、QCCのGood Practicesの産官学での共有とその仕組みの構築を目指します。

(5)40年度に設立された統計グラフ全国コンクールにおける 日本品質管理学会賞の周知・徹底を図り、その質の向上に努め第71回統計グラフ全国コンクールにおいて日本品質管理学会賞授賞を行います。

過去の事業計画