第152回講演会ルポ
人材育成と品質不正の防止

 2024年6月25日、関西支部主催講演会がハイブリッド形式(対面・リモート)にて開催されました。
 関西支部・清水幹事長より開会のご挨拶の後、講演(1)では猪原正守氏(大阪電気通信大学 名誉教授)により「事実に基づいて考え,判断できる技術人材の育成」についてご講演いただきました。ご講演では、事実として得られたデータには技術者の経験や思い込みによるバイアスにより間違った結論を導きだしてしまうケースが紹介され、事実重視できる人材とは「誰が何といっても『クロ』は『クロ』と頑固にいえる人材」と定義し、事実に基づいて考えて広大な相関関係から疑似相関を排除して因果関係について判断・認定するような技術人財が求められる、とのご説明がありました。また稲盛和夫氏が語った言葉「人間とは弱いもの」の紹介があり、周りに気軽に相談できる人間関係構築がマネージャーの責務であることがご説明されました。その他、「『まずまず』という言葉による誤解」、「事実を隠す認知バイアスの問題」等、「バイアス」を切り口に間違った判断をしてしまうケースについてご紹介があり、大変興味深いご講演でした。
 続いて、講演(2)では輿石房樹氏(株式会社神戸製鋼所 フェロー)により「KOBELCOグループの品質への取り組み~KOBELCO TQM活動~」と題してご講演いただきました。こちらは、過去の不適切行為事案へ再発防止策を講じると共に、KOBELCO流TQM活動を推進することにより、実現したい未来に向けて事業活動を進めていく旨の内容が示されました。またご講演を通し、本社品質統括部門が各部門との関わり合いに苦労されながら活動を推進されている状況が詳しくご説明され、実際に企業でTQMを推進する担当者にとって非常に有益な講演でした。
 最後に閉会挨拶については荒木孝治氏(関西大学 商学部 教授)にお言葉をいただき、閉幕いたしました。
 参加者数は対面・リモート合わせて約100名で、質疑応答も活発に行われ、大変有意義な講演会でした。

鈴木 啓介(川崎重工業(株))

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jimukyoku01
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