第440回事業所見学会ルポ
月桂冠株式会社
大手蔵
2024年5月30日(木)に29名参加のもと「月桂冠株式会社のマネジメントシステムについて」をテーマに京都伏見の大手蔵を訪問した。
大手蔵は日本酒メーカーでは初の酒造研究所「大倉酒造研究所」をルーツとする「月桂冠総合研究所」があり、四季醸造による安定した品質の日本酒を大量に供給している同社の主力工場である。
生産ライン見学においては、木桶ではなく発酵タンクが並ぶ近代的な工程で、自動化された微妙な品質管理や発酵制御による職人の経験や勘に頼らない酒造りを目の当たりにした。近代的とはいえ拘りの原材料や豊かな地下水「伏水」を使用し、脈々と受け継がれる酒造りの手法が踏襲されており、加えて要所に配された資格のある検査員による出来栄え確認により安定した品質が担保されていた。
充填ラインでは、酒の紙パック充填から出荷用のカートン詰めを一貫して行っており、紙パックの組み立てから充填不良の流出防止メカニズムに至るまでをご教授いただいた。現在の紙パック容器はリサイクルし易いだけでなく保存性が瓶よりも向上しているなど、普段は気付かない光による品質劣化対策が進んでいることに感銘を受けた。
マネジメントシステムについては、品質・食品安全及び環境マネジメントの紹介、業務の見える化やDXについての改善事例を発表いただいたが、特に地球環境保全の取り組みとした排水処理改善による汚泥発生量ゼロ化や廃棄物リサイクルの推進ついては、環境に対する同社の強い理念が感じられた。
意見交換・質疑応答では事前のきき酒体験の効用もあり、忌憚のない多様な意見が活発に飛び交う非常に有意義な討論となった。
最後に月桂冠株式会社様におかれましては大変貴重な機会を提供いただき感謝の念に堪えません。
結城 隆之(元・ローム(株))
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