第435回事業所見学会ルポ
マツダ株式会社 本社工場

 2023年8月4日(金)広島県のマツダ株式会社本社工場へ総勢24名で訪問した。概要説明を受けた後、バスに乗り現場へ向かう。先ずはマツダ車の歴史が詰まったマツダミュージアムの見学である。初期の三輪トラックから世界初のロータリーエンジン車・コスモスポーツ等昔懐かしの車や最近の車まであった。また展示されていたSKYACTIVエンジンは内燃機関の常識から飛び抜けている。ガソリンではノッキングが起きる領域まで極めた高圧縮比のGタイプ、ディーゼルでは燃料が自然着火しないような領域にまで圧縮比を下げたDタイプ、ガソリンで火花と圧縮着火を併用したXタイプ等類稀な機構を開発し量産化している。
 次に向かったのは車両組立工場で、ここでは54秒に1台のペースで車が完成している。異なる車種に加え左、右ハンドル仕様車が混在して同一ラインを流れて行くがタクトタイムは守られている。組付ける部品もその都度変わるがサブアッシー等によるサイクルタイム短縮化やタイムリーに部品供給をする支援等で達成されていた。一方重量物や腕を上げた位置での組付作業にはアシストスーツで体の負担を軽減していた。また作業1回に必要なネジ等を1プッシュで取れる機構等も設置され、改善活動も盛んなようだ。保証面ではネジ締めトルクの自動記録や組付け作業をカメラ映像で記録しエビデンスが残されていた。
 最後に向かったエンジン工場ではガソリンとディーゼルエンジンが混流で流れているのには驚かされた。本来構造や重量が大きく異なるものだが低圧縮比の効果か見た目違いが分からずラインを流れ、検査機器も工夫し共通化されていた。現場内ではAGV(無人搬送車)で運搬する事で固定ラインより設計の自由度が増したり場内移動がし易い等工夫がされていた。技術力×独創性×現場の改善が工場を支えていた。
 最後にマツダ株式会社本社工場の皆様方にはご多用中にも関わらず、工場見学や説明などをご丁寧に対応いただきました事を御礼申し上げます。

田中 也寸志(倉敷紡績(株)) 

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