第22回 安全・安心のための管理技術と社会環境ワークショップ
田中 也寸志 (倉敷紡績(株))
標記ワークショップが2022年5月14日(土)にオンラインで開催された。このワークショップは日本原子力学会ヒューマン・マシン・システム研究部会、日本品質管理学会、日本人間工学会安全人間工学委員会の共同開催であり第22回を迎えた。今回は「品質不正、規制と自主的マネジメント、科学的問題解決法の教育」をテーマとし3名の異なった領域の実務家・専門家から講演をいただいた上でパネルディスカッションが行われた。1つ目の講演は中央大学中條先生による「問題提起:人の不適切な行動を防ぎ望ましい行動を引き出すには」である。品質不正・事故の背後にある人の不適切な行動を防ぎ望ましい方向に導くためのマネジメントについて問題提起をされた。2つ目はプロセスマネジメントテクノの永原氏による「品質関連不正の未然防止に関する提言」である。品質不正6社の事例を基に未然防止に関する提言を発表された。3つ目は、日本適合性認定協会の飯塚先生による「パフォーマンス向上における規制と自主的マネジメントの役割」である。マネジメントシステム認証制度に長らく関わってこられた立場から規制と自主的マネジメントの関係について発表された。続くパネルディスカッションでは「安全・安心な社会の実現を目指して」をテーマに木村学習コンサルタンツの木村氏、電気通信大学の鈴木先生、東北大学の高橋先生を加え中央大学の中條先生がコーディネーターを務め議論が行われた。論点は社会が大きく変化する中、品質不正を防ぐ上で何が難しさになっているのか、規制と自主的なマネジメントを適切に組み合わせていく上で何が難しさになっているのか、それらの難しさを克服する上で各々組織においてまた社会としてどのような取り組みや教育が求められるのか、について討議された。経営層と現場の乖離、品質部門の地位の低さ、科学的な見方をもっと教育すべき、その投資が少ない、風土や文化は教育でなく醸成で、等の様々な意見を伺えた。当該ワークショップの内容は報告書として纏められており、実費で入手可能である。
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