第144回(中部支部 第61回)講演会ルポ
顧客価値を創造し続けるスマートコンストラクション最新の挑戦
2022年5月13日に第144回(中部支部 第61回)講演会がオンラインで開催された。上記テーマで、講演者は四家千佳史氏(株式会社小松製作所 執行役員 スマートコンストラクション推進本部長)、参加者は計68名であった。
(株)小松製作所では、モノビジネスからコトビジネスへのチャレンジとして2015年2月から「スマートコンストラクション」をスタートさせている。従来の土木工事は、ヒトが中心となって(1)調査・測量→(2)施工計画→(3)施行および施工管理→(4)検査という工程で行ってきた。スマートコンストラクションではデジタル化を徹底し(1)調査・測量はドローンによる3D計測→(2)施工計画はITによる3D施行計画・シミュレーション→(3)施工・施工管理はICT建機とアプリで実施→(4)検査はドローンによる3D出来形検査を行う。全プロセスがデジタル化されつつあり,IT使用によって各工程の見える化を進め、工程間のつながりを徹底的に可視化し、全工程の最適化、効率化を図り、大きな価値が創造されつつある。具体的な例として、ドローンで測量した3D計測図から対象地域での削除すべき土量を計算し、それを運ぶ重機トラックの運行距離、台数から工程期間が迅速に割り出せるとの説明があった。建設業界では、2026年には126万人の労働力不足が予測されている。従来のように多くのマンパワーを使って現場監督の経験知に基づく判断、施行指示による工事遂行ではなく、ITを駆使して計画、設計、施行、検査、維持管理までの全工程を可能な限り可視化し、コンピューターが示す約3兆通りもあるプロセスの組み合わせの中から最適解を選んで実装するというスマートコンストラクションは、新たな顧客の価値創造を目指し益々発展していくものと思われた。
医療界でもスマートホスピタルの実践に取り組んでいる病院は増えているが、まだまだスケールは小さいと感じた次第である。
齊藤 雅也(総合犬山中央病院)
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