第141回クオリティトークルポ
品質不正の未然防止
2024年5月17日、プロセスマネジメントテクノの永原賢造氏により「品質不正の未然防止」と題し講演いただきました。物づくりの世界で「品質不正」が一向に減らないことは、皆が憂うるところです。
本トークでは最初に小グループで関係事項について各自意見を述べあい、課題を明確にし本編に望みます。
講演ではまず「品質保証」「品質不正」の定義を確認。品質不正は違反・隠蔽・改ざん・捏造など意図的領域での、品質保証の観点から容認できない事項が対象(厳密な文言はJSQCの定義を参照下さい)。
次に事例から共通する特徴、発生要因について。要因は数々あるが、「日常管理の脆弱性」「監査の限界」「組織・風土(社内だけの価値観)」を指摘。発生時にはリーダーシップがKeyとなること、組織風土・組織文化は大切だが不正の温床ともなり得る、と。
対応を考える点では、不正発生企業でリスクマネジメントをやっていないところはなかった事実、また、対応策としてリスクマネジメントを挙げているという事実がある。これは、過去のリスクの洗い出しと対応プロセスの整備が貧弱だったことによる。リスクマネジメントをどうプロセスに落とし込むかがポイントで、リスク予防の日常管理が重要。監査の多重実施ではなく、日常管理の質の向上が重要で上司が大きな役割を担う。風土醸成、即ち、誠実な人づくりは時間をかけて進めるしかないが極めて重要なポイント、と力説。
私も改めてリスクマネジメントが有効に働くのではと認識しました。発生時の対処法を予め責任ある人なり、組織で決めておくことで、当事者等の異常な状況での迷い・忖度・恐れを軽減し、「品質を守る」方向につながっていくのではないか、と思いました。
尚、ここに報告したことは講演のほんの一部です。詳細を確認したい方は、今回お話いただいた永原氏の近著「JSQC選書35 品質不正の未然防止」を参照されてはいかがでしょうか。
蟹江 敏広(元・(株)MORESCO)
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