第125回クオリティトーク ルポ
品質管理のタブーについて
2021年9月22日(水)に第125回クオリティトークが開催され、オンラインで31名が参加した。「品質管理のタブーについて」をテーマに(株)遠藤メソッド代表取締役の遠藤 友貴哉氏に「行為保証2.0」という考え方に触れていただいた。
「行為保証2.0」とは、製造品質における再発不良や慢性不良と言った、製品・サービスを提供する現場で発生している不良・クレームに対して、問題発生メカニズムの把握と分析を行う新たなプロセス管理思考のツールである。従来の「出来栄え」基準は結果であり、行為保証2.0の基準はプロセス保証にある。端的に言えば“目的意識を持った動作の保証”である。
では“目的意識を持った動作の保証”とは何だろうか?遠藤氏はビス浮き防止やコーヒー缶を置く動作と言った、我々が分かりやすい事例で解説いただいた。目的意識=プロセスの注視と小生は理解した。工程・作業において、絶対してはいけない事・絶対しなくてはならない、また、こうすれば良くなることの表現に繋がるノウハウである。このノウハウの多くは暗黙知であり、これを形式知として変換させるには、教育だけでなく、習慣を変える訓練が必要である。これは組織にとって不可欠な技術の伝承のポイントであるが、作り手が満足する作業要領書と読み手がわかりやすい製造技術標準は異なることが意外に盲点である。手順とノウハウを分けて管理する有効性は即効性があり、実益性が高いアプローチではないだろうか。遠藤氏が挙げたキーワードの一つとして、ヒューマンエラー・ポカミスが発生する3つの原形がある。「(1)見えない(非注意における盲目状態)」、「(2)見てない(要素作業の行為保証が不徹底)」、「(3)見られない(単位作業の行為保証が不徹底)」の再発不具合原因のパターンである。小生も(3)に該当する、作業中に話し掛けられ、作業が中断し、繰り返し作業が行えず、それが起因してミスや抜け漏れが生じることを良く経験する。一見当たり前のことのように思えるが、意外な盲点に理論的に着目した「行為保証2.0」を学ばれることで、新たな気づきを得られるのではないだろうか。
西村 桂((一財)日本規格協会)
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