第52年度事業報告
自2022年10月 1日 至2023年 9月30日
1. 概況(会長:永田 靖)
本学会の第52年度の取組みは、前年度と同様、理事会をはじめ各種委員会や研究会などの会合はオンラインでの開催が中心となりました。一方で、研究発表会については、実行委員会を中心に運営する体制を開始し、第131回研究発表会および第53回年次大会ともに対面開催に戻すことができました。
理事会においては、支部単位での企画を共有する支部連絡会の設立など、オンラインでの開催方法を確立できました。年間を通じた開催計画を事前にお知らせするなど、今後も円滑な運営ができるように、こうしたノウハウを整理いたしました。
重点実施事項3ヶ年中期計画については、その達成度を評価するとともに今後の計画を見直しました。
2. 総合企画委員会(委員長:永田 靖)
重点実施事項3ヶ年中期計画の進捗フォローおよび具体的な進め方検討の場として、総合企画委員会にて活動をしました。メンバーは会長、副会長を中心に少人数の構成としています。学会の会員数の減少が続く中、魅力ある学会の実現に向けて、議論を重ねてまいりましたが、未だ会員増にはつながりません。ただし、賛助会員会社数は微増となっています。今後も継続して議論してまいります。
【品質誌あり方検討WG】
TQS誌をインパクトファクターのつく学術誌へと育てていくために、オープン化、国際化に向けた対応を進めてまいりました。審査の対象となる基準を満たすための手順が想像以上に大きく、予算も必要となったため科研費への申請をしましたが、残念ながら不採択となりました。現状ではこのままでは進めていくことは困難であると判断し、いったん活動を停止することとなりました。
【研究発表会実行委員会(特別委員会)】
2022年11月開催の年次大会研究発表会のプログラム作成などを行いました。2023年5月開催の第131回研究発表会でのチュートリアルセッションの企画・実施しました。同時に、研究発表会のプログラム作成などをサポートしました。2023年11月開催予定の第53回年次大会の研究発表会の準備を行いました。
3. 庶務委員会(委員長:佐野 雅隆)
庶務委員会では、理事会での議題整理、イレギュラーな対応等、これまでの委員会活動を継続しました。また、学会運営のスリム化に向けての検討など、財務面での対応も進めました。8月26日にプログラムの脆弱性を狙われ、メールニュース配信サービスへの不正アクセスがあり、皆様にもご心配をおかけいたしました。今後のセキュリティ体制について検討を進め、次年度に具体化する計画を立案いたしました。
【会員サービス】(委員長:西 敏明)
会員数(2023年9月現在)(括弧内2022年9月比)は、現在、名誉会員25名(3名増)、正会員1667名(61名減)、準会員86名(11名増)、職域会員51名(2名増)、賛助会員156社230口(1社3口増)、賛助職域会員12名(2名減)、公共会員17口(増減無し)となっています。
前年度に引き続き、「JSQC認定品質技術者」((1)上級品質技術者、(2)品質技術者)に関して認定証を発行し、同制度の認知度を高める取り組みを行いました。また、QC検定1級および2級の合格者に対しても、前年度に引き続き、学会年会費が割引となるキャンペーンを行いました。
庶務委員会、理事会および学会行事等を通じて、会員増に向けて検討を進めました。
第51年度 | 第52年度 | ||
名誉会員: | 22名 | 名誉会員: | 25名 |
正会員: | 1728名 | 正会員: | 1667名 |
準会員: | 75名 | 準会員: | 86名 |
職域会員: | 49名 | 職域会員: | 51名 |
賛助会員: | 155社227口 | 賛助会員: | 156社230口 |
賛助職域会員: | 14名 | 賛助職域会員: | 12名 |
公共会員: | 17口 | 公共会員: | 17口 |
【規程の制定、改定】(委員長:奥 展威)
学会規則の見直しは、学会運営の透明性確保、および各委員会等と協力し活動実態との整合性の観点から規定・内規等の見直しを進めました。
4. 活動委員会(事業を含む)(委員長:永田 靖)
【研究開発】(委員長:山田 秀)
研究開発委員会では、以下の活動を行いました。
- 例年通り、各研究会の活動予算を審議し、各研究会に配分しました。
- 本年度も研究会を公募していましたが、設置要請はありませんでした。
- 本年度も、研究会の研究成果や活動内容を学会誌へ掲載する活動を実施しました。品質誌の「部会研究活動報告」、「研究活動報告」の欄において、継続的に発表しました。一部の部会は、連載の形で研究活動報告を行いました。
【学会誌編集】(委員長:安井 清一)
第52年度も例年どおり、年4冊の学会誌『品質』を発刊し、JSQCニューズを年8回発行しました。
事業委員会、研究開発委員会、支部と密接に連携し、本部の研究会だけでなく、支部の研究会も含めて、研究会報告や部会報告を中心に掲載してきました。また、クオリティトークの講演内容の収録や、注目の研究者のまとまった研究を紹介する招待論説にも注力しました。新たに研究紹介・研究室紹介を設け、 学と産の橋渡しを狙いとしました。また、特集はしばらく企画していませんでしたが、Vol.53・No.3にて再開しました。
【事業・広報】(委員長:廣野 元久)
第52年度もコロナ感染防止の観点から、対面での行事開催が困難なため、オンラインで開催しました。
魅力ある学会づくりに向けて、クオリティトークの強化を図り、計画5件に対して7件を開催できました。
オンラインという条件下で、午後開催、夕方開催を実施しました。
第52年度では、キャラバン活動はコロナ感染防止の観点から中止いたしました。また、議論を重ねてキャラバンという項目は廃止いたしました。また、賛助会員向特別企画については、委員会内での議論を通じて、庶務委員会の主催で実行をしていただきました。
なお、残念ながら、コロナ感染が落ち着くと考えられた秋に予定した事業所見学会は募集定員を満たせず延期となりました。
52年度の反省点としては、行事のアナウンスを早めて、PRの期間を拡げる必要を感じており、53年度の施策に盛り込んでいきます。
▼(表) 第52年度事業計画・実績
年次大会 | 研究発表会 | 講演会 (座談会) |
シンポジウム | JSQC規格 講習会 |
事業所 見学会 |
クオリティ トーク |
(賛助会員向 特別企画) |
キャラバン | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第52年度計画 | 1 | 1 | 2 | 2 | 6 | 1 | 5 | 1 | 1 |
第52年度実績 | 1 | 1 | 0 | 0 | 6 | 0 | 7 | 1(※) | 0 |
注)賛助会員向け特別企画は庶務委員会の主催で
実施いたしました
【JSQC選書】(委員長:飯塚 悦功)
品質に関わる概念・方法論・手法を社会が理解し適切に適用できるように支援するための一方法として、品質マネジメントに関わる、基本的考え方、マネジメントシステム、手法・技法、推進・運用、さらには品質に関わる時事の背景・意味の解説をする一連の書籍の出版化検討(企画・編集)をJSQC選書刊行特別委員会で進めました。
同委員会を2回開催し、発行書籍候補の列挙、短期(1年程度)的な発行計画(主題、著者、発行時期など)を審議し決定しました。決定された主題にかかる構想の審議や原稿案の査読を行い、下記の書籍の発行、及び発行に向けた準備を進めました(出版社:日本規格協会)。
・『食の安全』(荒木惠美子)2022年10月
・『品質不正の未然防止』(永原賢造)2023年10月
4-1. 東日本支部(支部長:鈴木 知道)
東日本支部のコミュニティ強化を目指して、活動委員会(事業・広報)が中心となりクオリティトーク、事業所見学会を企画しました。ただ、今年度においてもコロナ禍の影響を受けました。しかし、積極的にオンラインで実施し、講演会などを中心に発信いたしました。また、昨年度に引き続き、JSQC規格講習会を企画・実施しました。
4-2. 中部支部(支部長:中村 元志 )
(1)研究会活動
1) 東海地区 若手研究会[主査:南山大学 松田教授 ](計画6回/実績6回、Zoomまたは名古屋工業大学で開催)6回/実績6回、Zoomで開催)
*産業界から実務上の問題点(困り事、関心事など)、SQCに関連した話題、大学院や学部の学生の研究などを持ち寄り議論した。
2) 北陸地区 若手研究会 [主査:金沢工業大学 中野准教授](計画2回/実績1回)
*グローバル競争を見据えた産学連携による「SHINKA」の発信を目差す。
*研究発表会:2023年3月4日(土)発表件数5件、参加者10名(Zoomで開催)
*講演会:2023年5月13日(土)講師 儀谷雅子氏 <延期>
3) 中部医療の質管理研究会[主査:代表世話役・事務局 木村 茲 氏](計画1回/実績1回)
*活動テーマ 「医療の質向上に関する活動の推進」
*シンポジウム:2023年3月4日(土)第16回シンポジウム(Webexで開催)
4) 中部支部産学連携研究会[主査:名古屋工業大学 川村准教授](計画6回/実績6回、Teamsまたは名古屋工業大学で開催)
*産学から持ち寄ったテーマを基に5つのテーマを登録し、主担当を決め、学と産が双方向に情報発信を行う。
(2)研究発表会(第132回:中部支部第40回)[参加者:70名]
*日 程 :8月30日(水)13:00~17:45(場所:名古屋工業大学)発表件数14件
*研究発表会後に、チュートリアルセッションを実施
(3)シンポジウム(第179回:中部支部第41回)[参加者:284名]
*日 程 :7月19日(水)13:00-17:00 (場所:Zoomウェビナー)
*テーマ:「組織・意識改革から価値創造を考える」
*講演内容:基調講演1件、特別講演1件、事例講演2件、パネル討論会
(昨年度に引き続き賛助会員を対象として大口参加(5万円で50名までの参加)を試行。12口の参加を得た)
(4)講演会
(第148回:中部支部第62回)[参加者:67名]
*日 程 :5月12日(金)13:00~14:50(場所:Zoom大規模ミーティング)
※第1回幹事研修会と合同開催
*講演者:小杉 敬彦 氏 [SQC テクノサポート 代表]
*講演内容:「再発防止の質向上のための視点と進め方」
(第150回:中部支部第63回)[参加者:36名]
*日 程 :9月4日(月)14:00~15:50(場所:Zoomウェビナー)
*講演者:安藤 廣美 氏 [飯塚病院 特任副院長]
*講演内容:「飯塚病院のデミング賞受賞に寄せてー飯塚病院で学んだ品質管理―」
(5)事業所見学会
(第434回:中部支部第107回)[参加者:16名]
*ダイキン工業株式会社(愛知県名古屋市)[日程:2月21日(火) 13:00~17:00]
*テーマ『ニューノーマル下でのIAQ(空気の品質)、AI・IoTを活用した品質改善の取り組み』
(第436回:中部支部第108回)[参加者:14名]
*DHLジャパン株式会社(愛知県常滑市)[日程:6月27日(火) 13:15~17:00]
*テーマ『DHLが考える品質とは(Service、 People、 Environmentなど)』
(6)幹事研修会
*第1回 5月12日(金)13:00~15:10:勉強会 (場所:日本規格協会名古屋支部/Zoom 大規模ミーティング)
・テーマ:再発防止の質向上のための視点と進め方
・講師: 小杉 敬彦 氏 [SQC テクノサポート 代表]
*第2回 8月25日(金)~26日(土) :北陸地区見学会
・見学先:小松マテーレ株式会社
(7)役員会
*第1回 令和4年12月 2日 (場所:日本規格協会名古屋支部/ Zoom)
*第2回 令和5年 9月15日 (場所:日本規格協会名古屋支部/ Zoom)
4-3. 関西支部(支部長:森本 国浩)
(1)講演会
第149回 6月30日(金):ハイブリッド形式
<テーマ:「品質不正の防止とTQMの活用」>
講演①:品質不正の防止とTQMによる変化に対応できる・変化を生み出せる組織能力の獲得
(中央大学 理工学部 教授 中條 武志 氏)
講演②:経営環境変化に適応するTQMの活用
(トヨタ自動車九州㈱ TQM推進室 室長 高倉 宏 氏)
を実施を計画し、103名の申込があった。近年、本テーマに対する関心度は高く、理論と具体的な実践事例の双方を視点で考察し、多くの方に自社の取組みについて、考えるきっかけを提供できた講演となった。
(2)シンポジウム
第180回 7月26日(水):オンライン[85名]
<テーマ:「品質の多様性における状況と組織マネジメント」>
講演①:観光と地域活性のおける企画とサービスの品質
講演②:小児感染症の医療現場の状況および対策の質
講演③:製品開発における知財戦略の質創造
パネル討議を計画したが、登壇者の日程があわず、年度内での実施を見送り、次年度開催に延期とした。
(3)研究発表会
第133回 9月8日(金):関西大学 千里山キャンパス
特別講演:荒木 孝治 氏(関西大学 商学部 教授)
本年度は研究セッション(8件)と事例セッション(5件)の合計13件で実施し、24名の方が参加した。
(4)事業所見学会
第429回 4月25日(火):航空自衛隊 饗庭野分屯基地
「航空自衛隊 饗庭野分屯基地の改善活動の取組み」
本見学会では、実際のペトリオットミサイルシステム(発射機またはレーダー)の見学、活発なQC活動について紹介があることから、29名の方が参加した。大変好評であった。
第437回 9月22日(金):パナソニック ライティングデバイス㈱
「ものづくり現場における品質の管理・改善活動と 新価値創造(コト価値創造)の取組み」
本見学会では、ショウルーム見学に加え工場見学も行われた。また、パナソニック全体で取り組んでいる新価値創造の取組み事例も紹介いただき、26名の方が参加した。
(5)QCサロン
第135回 2月6日(月)
「生産技術を現場に落とし込むための 3 つの独自ノウハウについて」
西本 文雄 氏(株式会社 事成す)
第136回 4月18日(火)
「QC サークル活動を活性化させるための管理者の役割と研修」
鬼頭 靖 氏 (㈱アイシン TQM推進部 主査 QCサークル東海支部顧問)
第137回 6月6日(火)
「ミドルマネジメントからつくる心理的安全性」
住本 裕司 氏(ダイハツ工業株式会社)
第138回 8月22日(火)
「【質】を考える人の育成-統計的方法論を持ち出す前にすべき事-」
清水 貴宏 氏(パナソニックエナジー㈱)
(6)その他
・AI時代におけるコトづくり品質保証研究会を実施した。
・ダイナミックロバストマネジメント研究会を継続実施した。
4-4. 西日本支部(支部長:高橋 勝彦)
西日本エリアのコミュニティ強化を目指して、活動委員会(事業・広報)と連携して、下記の事業所見学会を実施いたしました。また、コミュニティ拡大のため、中国地区品質経営協会の「経営とTQM」講演会(2023年4月18日、ハイブリッド開催)に、元会長の中條武志氏を派遣し、「変化に対応できる・変化を生み出せる組織能力の獲得とTQMの推進」と題して講演を行いました。
第435回事業所見学会(西日本)13:30-16:30(参加者:50名)
日 時: 2023年8月4日(金)13:30-16:30
見学先: マツダ(株)本社工場(マツダミュージアム・エンジン組立工場・車両組立工場)
参加者: 23名
4-5-1. 信頼性・安全性計画研究会(主査:横川 慎二 15名)
52年度第5期に入り、2回の会合をオンラインにて実施いたしました。第4期の議論を引き継いて品質不正発生のシナリオと、品質不正未然防止のシナリオに関する議論を行いました。当学会では、テクニカルレポート品質不正防止JSQC-TR-12-001: 2023が発行され、現在JSQC選書としても本研究会委員の尽力で執筆が進められています。これらの結果をもとに、最終の議論を行いたいと考えています。
4-5-2. テクノメトリックス研究会(主査:清 智也 11名)
テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」のために、手法、考え方、事例などについて幅広い視点から研究してきました。研究会はおおむね3ヶ月に1度の開催で、メンバーが上記の手法、考え方、事例などについて紹介し、メンバー間での議論により研究成果を練り上げていきました。議論したテーマは、3相特異値分解モデル、決定的スクリーニング計画、最小情報従属モデル、累積法に関する注意事項、総合指標の推定法、マハラノビス平方距離の推定量の分布、野球の投球データ分析、グループ分けと最適輸送、ハンティング現象と割引係数法、計算代数的方法による実験計画、など多岐にわたっています。また、JSQC研究発表会や品質誌をはじめとするさまざまな学術雑誌をとおして、研究成果を報告しました。
4-5-3. 商品開発プロセス研究会(主査:椿 広計 31名)
(一社)品質工学会との共同研究活動を実施し、顧客価値創造の上流工程プロセスの開発、創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの研究、損失関数の新事業プロセス評価への提供研究の3つのWGあるいはその下に設けられたSub-WGによる研究会活動を毎月1回のペースで行いました。この研究会の活動報告を品質誌53巻2号に掲載しました。2023年8月からは対面の研究会も徐々にですが復活すると共に、2つのWGの合同研究会など研究会全体の横串を通す活動も再開されました。
4-5-4. 社会基盤型運輸システム品証研究会(主査:岡部 康平 11名)
交通・物流系における自動・自律化の先端技術が社会インフラの中核として社会に定着するために求められる品質管理、特に、品質保証の在り方について、学術的・実務的な観点で検討しました。検討テーマは今年度も主に下記の3分野を重点的に議論しました。
- (1) 自動車の自動安全運転技術
- (2) ドローンの自動航行技術
- (3) サービスロボットの自律搬送技術
今年度の前半は、外部の有識者に講演を依頼し、GAFA等のビックテックに代表される革新的なサービス創造の技術と現状について情報共有しました。後半は医療・介護や防災などの地域社会が主体となって進めている小規模な社会実装における個別化と汎用化の課題についても幅広く取り上げました。品質保証の具体的な検討して、下記の観点からの議論を展開しました。
- (1) 市民(顧客)主体の社会的サービスに求められる品質管理
- (2) アジャイル型開発のリスクマネージメント
- (3) デジタル・プラットフォームにおける品質管理
- (4) 社会基盤創造のためのソーシャル・キャピタルの醸成
- (5) 自動化。自律化技術を活用するサービスの資格制度
これらの議論を通して、新たな挑戦を促進する組織能力や管理方針の検討を深めました。
4-5-5. AI品質アジャイルガバナンス研究会(主査:平田 雄一 20名)
52年度は、2022年10月25日(火)、11月14日(月)、12月12日 (月)、2023年1月30日 (月)、2月27日(月)、3月27日(月)、4月25日(火)、5月30日 (火)、6月27日(火)、7月31日(月)、8月28日(月)、9月26日(火)の合計12回のWEB討議を実施しました。WEB討議では、まずAI原則を整理し、本研究会でとりあげる主要なAI原則を、「安全性」と「アカウンタビリティ(説明責任)」とし、主要ドメインを自動運転機器(クルマをはじめとした制御機器)として、AIリスクアセスメントフレームワークの研究を開始しました。その後、欧州のAILD(AI責任指令案)、PLD(製造物責任指令改正案)、経産省AIガバナンスガイドライン、NIST AI RMFに研究対象を広げて、AI倫理審査体制の検討事例、欧州AI法案への対応体制の検討事例の共有を行いました。2023年3月からは、より研究を深めていくために、研究会内に2つのWGを設置し、WG1でAIガバナンス規定の検討を行い、WG2でAIリスクアセスメントフレームワークの検討を行う体制を整えて、研究を進めました。このような研究活動で所望の研究成果を得たとして本研究会は2023年9月末で終了することになりました。研究成果を公表するために、品質誌に研究会活動報告を投稿し、成果発表のためのシンポジウムを2023年10月に開催すべくシンポジウム企画の検討を行いました。
4-6. サービスエクセレンス部会/生産革新部会(部会長:木内 正光 62名)
サービスエクセレンス/生産革新部会は、サービスと生産に携わる幅広い職域を網羅する側面に加えて、各職域が求める課題を部会名に示し、課題の達成に向けて定期的に知識共有会などを開催しています。そして、課題達成の原動力と位置付けるDX(Digital Transformation)は両部会の共通課題であり、コトづくりとして包括的にとらえて調査研究を行うために、合同で取り組みを進めています。
第52年度は、「顧客価値づくりにおけるPDCAサイクルの連続化・高速化」にフォーカスして、知識共有会(3回開催)、およびワークショップ(1回開催)から得た知見を取りまとめ、『品質』誌第53巻4号に掲載しました。また、本部会の活動概要について、横環連合会誌『横環』第17巻1号に寄稿したほか、日本経営工学会2023年秋季大会、クオリティフォーラム2022(日科技連主催)において発表するなど、学術界、産業界への普及活動を進めました。
今後の課題として、ワークショップの活性化、論文化に向けた研究活動などを進め、「未来志向の顧客価値づくり」の体系化を志向します。
4-6-1. サービスのQ計画研究会(主査:安井 清一 17名)
第52年度も第51年度に引き続き、サービスの質に関する新たな展開を模索するため、サービスエクセレンス部会が主催する知識共有会にて情報収集を主な活動としました。
本研究会の一部のメンバーは、ISO/TC312のメンバーでもあり、日本から積極的に意見を出しています。また、ISO/TS 19390のWorking Draft「Service excellence― Implementation approach for ISO 23592(Service Excellenceを組織に導入するためのアプローチ)」の作成に主体的に関わっています。
4-7. 医療の質・安全部会(部会長:棟近 雅彦 112名)
今年度の研究活動は、QMS-H研究会との共同研究、医療QMS監査研究会、医療経営の総合的「質」研究会の3研究会で、医療の質マネジメントの方法論に関する研究を進めました。
また、医療の質マネジメント基礎講座は、昨年度と同様にオンデマンドコンテンツの提供により開講しました。
(1)QMS-H研究会との共同研究
例年開催している最終成果報告シンポジウムは、2023年3月5日に、早稲田大学での現地開催とオンラインでの配信によるハイブリッドで開催しました。テーマは「医療のTQMモデル確立に向けた軌跡とこれから」とし、共同研究グループの成果発表、参加病院からの重点課題の成果報告とパネルディスカッション、学生による共同研究テーマの発表を行いました。また、2022年に研究会メンバーである(株)麻生飯塚病院が、医療界ではじめてデミング賞を受賞したことから、特別企画として受賞記念講演を行いました。
QMS-H研究会の活動は、すべての参加病院に重点活動を設定してもらい、2023年度の活動を進めています。2022年6月に第1回研究会を早稲田大学で開催し、9月には、4年ぶりに中間報告会を(株)麻生飯塚病院で開催しました。グループ研究活動、将来構想を検討する企画運営委員会も継続中です。
(2)医療QMS監査研究会
2022年12月から、2ヶ月に1回の頻度で開催しています。2023年7月には、数年ぶりに対面で開催し、交流会も開催しました。今年度は、昨年度に引き続き、審査・監査における標準質問例の作成を進めています。2023年11月の年次大会研究発表会で、成果を発表予定です。
(3)医療経営の総合的「質」研究会
第52年度は、月1回の定期ミーティングをオンラインで実施しました。検討項目は、①COVID-19のパンデミックの社会品質に関する総括、②医療アラーム疲労(生体情報モニター、ナースコール、電子カルテ)、③医療機器、電子カルテ(EMR、HER)の定義と電子カルテの功罪、④医療機器、特にSaMD(Software as a Medical Device)の利活用と法的規制、⑤医療IT、モバイル機器の利活用など、17項目を取り上げました。その成果を講演会、本学会年次大会研究発表会、学術誌等で発表しました。
(4)医療の質マネジメント基礎講座
アウトリーチ活動の一環として開催している「医療の質マネジメント基礎講座」は、2022年4月~12月に、オンデマンド教材を提供する形で開講しました。今年度も個人で受講する個人プランと、同じ勤務先であれば開講期間内は人数無制限で視聴できる団体プランの2種類の受講形式で提供しました。また、一部の演習科目については、集合形式で開催しました。病院の中には、教育体系に組み込んでいただいた病院もあり、病院の質マネジメント教育として定着しつつあります。2023年も5月~12月で開講中です。
4-8. ソフトウェア部会(部会長:茨木 陽介 63名)
第52年度は新型コロナウィルス感染症の影響ならびに部会長の体調不良の関係で活動が限定的となりましたが次年度に向けた取り組みをしました。
・オンライン会議での時宜を得たテーマの議論
対面での会合が制限されている状況の中、オンライン会議でChatGPT等、最近注目されているテーマを取り上げ、その問題点や今後の活用の在り方などについて情報交換し議論を行いました。
・ソフトウェア開発関連の行事に積極的に協賛・後援
昨年度同様、他団体との連携を行い、各種行事の後援などを行いました。
・これまでの研究成果の集約化への着手
ソフトウェア部会のホームページの開設に着手しました。過去の研究成果や議論の内容をホームページに集約し、部会員が実務や研究に利活用できるように準備を進めています。
4-9. 管理技術部会(部会長:金子 雅明 103名)
前期では、名称改訂してからの管理技術部会としての4年間の研究成果をまとめました。今期では、前期に行った会員アンケート結果をもとに、次のフェーズとして何を取り組むかを検討し、新たな運営体制の基盤整備を行います。主な実施事項は以下の通りです。
(1) 既存WGの継続
既存の4つのWGについては、小集団での研究会合という性格を維持しながら、会員や社会のニーズが高い新たな研究テーマを定め、研究活動を推進しました。
WG1では、品質マネジメントの改善・発展・活用の道~中小企業のQMSモデルの研究~パートⅡとして、「パフォーマンス」について研究を深耕するための情報収集をしています。
WG2では、今期から「DX時代における品質保証の仕方の研究」のテーマを設定しました。目的はDX時代における品質保証の仕方を研究し、品質保証部の仕事を明確にし、従来の仕組みをアップデートし、実践し、品質コストの低減を目指します。研究計画は今期3月に策定し、WG2内で確認して実行を開始しました。
WG3では、4つのサブグループに分けて活動しました。研究テーマとしては「先進的企業に対する審査のありかた」「統合マネジメントシステム」「内部監査(事例研究)」「食品企業のSDGs(23企業の事例収集)」です。
WG4では、参加メンバー企業の本社TQM/品質管理部門が主導して行っている活動や取組の紹介、及び活動時の悩みや課題について議論しました。その結果、重要課題として3ラインモデル〔業務監査〕とMS監査の関係性を取り上げて、さらに詳細検討を行うこととしました。
(2) 勉強会/情報共有会の導入
今期は昨年12月から今年9月末の間に、5回の勉強会を企画し、4回開催しました(第4回目は講演者の都合で延期)。各講演テーマ、講演者と参加者数は以下の通りです。
第1回(2022年12月5日18時~19時半)「ISO/TQMの大誤解を斬る」、金子雅明氏、東海大学、65名
第2回(2023年2月3日17時半~19時)「品質不正の未然防止に関する提言」永原賢造氏 、プロセスマネジメントテクノ、119名
第3回(2023年3月1日17時半~19時)「SDGsとマネジメントシステム」、平林良人 氏、(株)テクノファ、88名
第5回(2023年6月15日17時~18時半)「トヨタ自動車九州におけるTQMの取り組み」、高倉宏氏、トヨタ自動車九州株式会社宮田工場TQM推進室室長、92名
第6回(2023年8月25日17時半~19時)「サントリーのサステナビリティ経営について」、西脇義記氏、サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進本部部長、42名
来期も既に第7回目、第8回目は決定済みです。引き続き、この活動を継続していきます。
(3) 情報発信力の強化
メーリングリストを用い、部会での研究成果やその活動経過を積極的に部会員に発信しました。特に、WGの活動経過にて定期的にメーリングリストに流しました。また、学会の研究発表会・年次大会での発表を推進し、今期はWG3における研究の成果(品質マネジメントシステム―認証審査の視点)を年次大会(2022年11月12日)で発表しました。
5. 標準委員会(委員長:中條 武志)
(1)JSQC規格のJIS化、および既存JISの英訳に取り組みました。
- JIS Q 9030:202X マネジメントシステムのパフォーマンス改善―新製品及び新サービス開発管理の指針
- 2022年11月発行 JIS Q 9027:2017 (E) マネジメントシステムのパフォーマンス改善―プロセス保証の指針(英訳版)
- 2022年11月発行 JIS Q 9028:2021 (E) マネジメントシステムのパフォーマンス改善―小集団改善活動の指針(英訳版)
(2)新しいJSQC規格を発行しました。
- 2023年1月26日制定 JSQC-TR 12-001:2023 テクニカルレポート品質不正防止
- 2023年9月20日改正 JSQC-Std 00-001:2023 品質管理用語
- 2023年6月発行 JSQC-Std 01-001:2023 (E) TQMの指針(英語版)
(3)新しいJSQC規格の説明会を開催しました。
- 2023年5月9日開催 JSQC- TR 12-001 テクニカルレポート品質不正防止
(4)広く活用いただくことを目的に、JSQC-Std 00-001:2023 品質管理用語をJSQCホームページで公開しました。
(5)JSQC規格の原案作成、並びにJIS改正および新規作業項目の検討を開始しました。
- JSQC-Std 32-001 日常管理の指針(改正版)
- JSQC-Std 62-001 RCA(根本原因分析)の指針
- JIS Q 9024 マネジメントシステムのパフォーマンス改善―継続的改善の手順及び技法の指針(改正版)
- プロセス保証-リスクマネジメントとクライシスマネジメントの指針
(6)制定済みのJSQC規格およびJISの見直しを行いました。
- JIS Q 9025:2003 マネジメントシステムのパフォーマンス改善―品質機能展開の指針は、2023年9月に見直しを行い、[継続]を決定しました。
(7)事業委員会提案の学会規格講習会に講師を選定、派遣しました。
6. 学術委員会(委員長:山本 渉)
6-1. 論文誌編集、表彰(学術)小委員会
【論文誌編集】(委員長:山本 渉)
論文誌編集委員会では以下の活動を行いました。
(1) 8月を除き毎月1回の論文誌編集委員会を開催しました。論文誌編集委員会の責任に基づき、査読意見を参考にしながら、編集委員会が掲載の可否を判断してきました。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については掲載する方向で進めました。
(2) ベトナムで開催されるANQ Congress 2023にあたり、国際交流委員会の委託を受けて、以下の活動を行いました。
1)JSQCから提出されたすべてのアブストラクト(全48本)に対する審査する審査
2)フルペーパーに対するBest Paper Awardの審査
(3) 51年度に投稿論文審査のスピード化を目指して導入されたEditorial Managerによる投稿受付を継続しました。
(4) 国際交流委員会と連携して、ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行を行いました。第52年度はVol. 8、 No.1、 No.2を発行しました。論文数は12報でした。
(5) 第52年度も、昨年度に引き続き論文掲載料の検討をいたしました。論文掲載には相当なコストがかかるため、学会の財政状況を鑑みますと、論文掲載料の徴収は避けらない状況です。会員の理解を得つつ、引き続き検討を続けます。
(6) 英文電子ジャーナル(Total Quality Science)のあり方に関する検討に、一定の結論を出すことに協力しました。
(7) 学会誌編集委員会と連携して、品質誌の電子ジャーナル化(J-Stageでの発行)を検討しました。詳細につきましては、引き続き検討を続けます。
(8) 研究発表会の活性化を目的として創設された優秀発表賞制度を継続しました。
(9) 表1に過去5年間(第48年度~第52年度)の月別投稿論文数を、表2に過去5年(第47年度~第51年度)の投稿区分別採択数を示します。第52年度は審査中のものがありますので、採択数は第47年度から第51年度を示しました。一度却下されたものが再投稿される場合もありますので、単純に採択率を計算することはできませんが、おおむね4割程度が採択されています。
▼表1 過去5年間の月別論文投稿数
10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第48年度 | 3 | 1 | 2 | 1 | 1 | 3 | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 20 |
第49年度 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 15 |
第50年度 | 0 | 1 | 1 | 2 | 3 | 3 | 1 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 | 15 |
第51年度 | 1 | 2 | 1 | 4 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 14 |
第52年度 | 2 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 11 |
▼表2 過去5年間の投稿区分別採択数
第47年度 | 第48年度 | 第49年度 | 第50年度 | 第51年度 | 採択率 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
計 | 16 | 7 | 20 | 9 | 15 | 8 | 15 | 4 | 14 | 4 | 40.00% |
報文 | 3 | 2 | 5 | 3 | 4 | 2 | 2 | 1 | 3 | 1 | 52.94% |
技術ノート | 3 | 1 | 2 | 0 | 3 | 0 | 2 | 1 | 1 | 0 | 18.18% |
調査研究論文 | 1 | 1 | 2 | 1 | 0 | 1 | 4 | 1 | 0 | 0 | 57.14% |
応用研究論文 | 5 | 1 | 4 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 | 0 | 7.14% |
投稿論説 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0.00% |
研究速報論文 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0.00% |
クオリティレポート | 2 | 2 | 5 | 5 | 8 | 5 | 2 | 1 | 4 | 2 | 71.43% |
QCサロン | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0.00% |
レター | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0.00% |
【研究助成】(委員長:川村 大伸)
本事業は学会創立30周年記念事業として第31年度より開始されたものです。助成金額は1件5万円で5件以内。対象者は、日本品質管理学会の正会員もしくは準会員、申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者、留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者です。本年度は11名の応募(1件は応募辞退)があり、研究助成選考内規に則り5名を選考しました。
6-2. 国際交流、学会間交流小委員会(委員長:鈴木 知道)
【国際交流】
第52年度の国際委員会では、以下の事業を実施しました。
(1)ANQ Congress 2023への参加
ベトナム・ホーチミンにて、2023年10月17-20日に、ANQ(Asian Network for Quality)Congress 2023が対面(一部オンライン)での開催となりました。JSQCからのAbstractの登録件数は、48件です。
(2)ANQの安定的発展のための調整
ANQ理事会がオンラインで4回(内2回はANQ Congress 2023の開催準備に伴う緊急開催)開催されました。JSQCは2023-2024年度の議長国となっており、山田秀理事がANQ理事会の議長を務めています。
(3)英文電子ジャーナルの刊行
英文電子ジャーナルTotal Quality Science(TQS)の8年目の刊行が完了しました。TQSへの投稿に対する期待もあり、ANQ CongressにおけるJSQCからの発表件数は安定しています。
(4)海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する検討
幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について継続して検討しています。
【学会間交流】(委員長:佐野 雅隆)
(1)FMES
FMES中核団体として経営工学関連学会との交流、JABEEの審査活動等の活動に協力してきました。
(2)横幹連合関係(委員長:椿 広計)
2022年12月に第13回横幹連合コンファレンスが、「データサイエンスで開く横幹科学技術の新展開」をテーマに早稲田大学でハイブリッド開催され、JSQC横川慎二会員が、プログラム委員長を務めました。 JSQC鈴木和幸元会長が「Withコロナ社会へのプロセス・分析・哲学」の企画セッションを立ち上げました。横幹連合の常置委員会体制として、椿広計元会長が、引き続き、副会長・企画・事業委員会委員長、伊藤誠代議員が会誌編集委員会委員長として機関誌「横幹」の編集委員会委員長として、2003年に「コトつくり」推進を横掲げて立ち上がった幹連合20周年事業を推進しました。また、JSQCより推薦された下野僚子代議員が、新たに横幹連合理事に選任され、学術・国際委員会、広報・出版委員会に加わられました。
7. 安全・安心社会技術連携特別委員会(委員長:伊藤 誠)
日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム研究部会/社会・環境部会)等との共催の「安全・安心のための管理技術と社会環境」ワークショップ(第23回)を、2023年12月に実施すべく準備を進めました。また、自動車事故対策機構等の審議についても引き続き参加・協力しています。特にISO39001の普及をめざした活動、ならびにISO39003の企画開発にかかる活動を行い、ISO39003は無事に発行されました。
8. TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会(委員長:鈴木 和幸)
新たな学習指導要領の鍵となる“次世代への問題解決教育”、“情報・ICT・AI世代への教育”、“産官学の連携”にむけて、オンラインによる活発な議論を継続し、種々のシンポジウム・ワークショップ等にて情報発信を行い、生徒・子供たち自らが主体性を持って行動し、人に優しく、社会に貢献し、人間的成長を図るべく、本委員会として下記の活動を行いました。
(1)これまでの日本の品質管理界が培ってきた主体的・協働的な科学的問題解決の知を結集し、問題解決プロセスの確立とともに、新たな学習指導要領の定着に向けて、議論を継続し委員メンバーが組織的にかつ自発的に以下の企画・講演への全面的な寄与・協力を通して情報発信を行いました:
- 2022年10月1日開催、東京学芸大学・統計数理研究所共催イベント「初中等教育におけるデータにもとづく問題解決の実践的方法論ワークショップ―実物教材を用いた実技演習による問題解決の模擬体験学習―」への協力
- 2023年3月12・13日:日本統計学会統計教育分科会等主催の「20 回 統計・データサイエンス教育の方法論ワークショップニューノーマル時代における統計教育の展望―統計教育での教育の DX 化、オンライン/オフラインでの探究学習の展開」への共催
- 2023年3月17日:統計数理研究所公開シンポジウム「COVID-19とデータ科学」 (統計数理研究所)の企画・講演への全面的な寄与・協力
- 2023年3月26日開催、東京学芸大学主催イベント「初中等教育におけるデータにもとづく問題解決の実践的方法論ワークショップ―コイン射撃を用いたグループワーク型の問題解決体験―」への後援
- 2023年5月20日:本委員会主催「第10回科学技術教育フォーラム」をオンラインにて開催し、科学的問題解決教育に関連する新学習指導要領、標準シナリオ、海外動向に関する講演と討議、ならびにトヨタ自動車九州の問題解決教育とその学校への展開を図る
- 2023年9月4日~7 日:統計関連学会連合大会 企画セッション「AI・デジタル時代に向かう統計・データサイエンス教育方法論の新展開」において「企業におけるデータ駆動型品質管理とアジャイル改善の実践事例」(吉野委員)ならびに「学校教育における問題解決プロセスを軸にした教育への試み」(山下委員)を発表
- 2023年 9月9日『第12回神奈川県品質管理セミナー』(神奈川県)の企画・講演への全面的な寄与・協力
(2)前年度に引き続き、日本のみが持つ強みであるTQMの伝統とQCCを活かすべく、TQMに関するシンポジウムの講演、QCC大会のGood Practicesを産学が共有しうる仕組みの構築に向けての動画公開を下記のように行いました:
- 科学的問題解決教育に関連する新学習指導要領、標準シナリオ、海外動向を焦点に本委員会が企画・主催した「第10回科学技術教育フォーラム」(2023年5月20日)の本内容をWEBを通し公開中:https://suzukilab.wordpress.com/(2024年7月末まで)
- 教員並びにTQM未導入への組織への問題解決の手本とすべく第14回JHS全日本選抜QCC大会(2021年6月)におけるトヨタ自動車 (株)北海道士別試験場保安警備サークルの発表の動画を下記のURLにて引き続き公開:https://qc-circle.jp/knowledge/470/(2024年6月末まで)なお、本公開には二橋JSQC元会長と日科技連のご援助に負うところが大きくここに深謝申し上げます。
- 第111回品質管理シンポジウム(2021年6月)の4講演を日科技連HP内の社会価値貢献特設サイト(https://www.juse.jp/kouken/qcs_movies/)にて教育関係者への提供を行いこの広報に努めました。(2024年6月末まで)
- 第12回神奈川県品質管理県民大会の統計数理研究所 所長 椿 広計 先生および(株)TMJ QCサークル活動事例を2022年9月から2023年3月31日まで公開
(3)問題解決高校授業検討WG活動
古谷委員・ 熊井氏・菅生氏を中核とする問題解決高校授業検討WGを設立し、「生きる力」・「助け合い」・「生きる喜び」を次世代の全国民に与える方法・プロセスである科学的問題解決プロセスと身の回りの問題解決事例を含む副教材の作成・提供を目的に、活動を開始しました。WGの目的、問題解決の意味、方法、効果、授業のイメージを討議し、愛知県の教育委員会ならびに5つの高校の現場を訪問し、問題解決教育の現状把握と本WGの紹介に努め、すべてより賛同を得ました。
(4)「第10回科学技術教育フォーラム」における高倉委員の講演「トヨタ自動車九州における粘土を教材とした問題解決とデータサイエンス」の本委員会活動での位置づけとして、本講演の内容を学校教育の現場にどう展開するのかを茅野委員と山下委員が主導して検討し「はかりを使わずに5.0g の粘土のかたまりを10 個つくる」の演習教材を作成しました。本授業を小学校4年生を対象に茅野委員が実施し、子供たちの興味関心と教育効果を得、これを「第10回科学技術教育フォーラム」にて紹介し、啓蒙普及に貢献しました。
(5)40年度に設立された統計グラフ全国コンクールにおける 日本品質管理学会賞の周知・徹底を図り、その質の向上に努め第70回統計グラフ全国コンクールにおいて日本品質管理学会賞授賞を行ないました(2022年11月)。