私の提言「AI時代の品質議論:伝統と革新の架け橋として」
クオリティアーツ 池田 暁
2025年を振り返ると、生成AIの奔流がこれまでの「品質」の風景を一変させました。特に開発やリリーススピードを優先するスタートアップやベンチャー企業等では、生産性や市場投入速度の向上のために生成AIの積極活用が進んでいますし、テストや品質保証についても例外ではありません。また、第三者検証サービスを提供する企業やツールベンダーによっても、活用が牽引されているのは御存知の通りです。
しかし、その実態は期待と不安が混じり合っています。確率的に振る舞うAIは、従来の決定論的な検証と異なった新たな不確かさを我々に突きつけてきます。これに対して、技術的な対応はもちろん、いくつかの団体ではガイドラインを示すなど対応する動きがあります。
この状況において、わが国が長年培ってきたTQMやSQCの体系は過去の遺物であるという議論を見かけることは少なくありません。AI時代の新たな品質保証のあり方をゼロから考えるべきであるという意見も見かけます。しかしながら、筆者はそれを考えません。むしろ、培ってきた不確実性を統計的に捉えプロセスで品質を作り込むという考え方は、AIが突きつけてくる不確かさに対する対応として真価を発揮すると考えています。
私が危惧しているのは、伝統的な品質管理の知見と最先端のAI活用現場との分断です。この溝を埋め、AIを活用もしくは実装したプロダクトやサービスの社会的信頼を担保する「新しい品質の規矩」を提示することは重要であろうと考えます。
そのための様々なアイデアを議論するために、AIネイティブな若手技術者や研究者と、ベテランが「品質とは何か」を等しく議論できるオープンなプラットフォームとしての機能を当学会においても強化すべきであろうと考えます。現在OSSコミュニティ中心に様々な議論が進んでいますが、社会的責任や道義、学の裏付けということに当学会が貢献は必要でしょうし、未来の社会に対する私たちの誠実な答えになると考えています。
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