私の提言 大学の顧客は誰なのか?
東京情報大学 佐野 夏樹
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「品質とは顧客満足度である」とは、品質管理においては常識かもしれないが、大学における顧客とは誰なのだろうか?講義や実習というサービスを受けている者という点では、(1)学生であるが、授業や卒論指導というサービスに対して授業料を支払っている人という点では、(2)保護者である。社会全体の枠組みで考えれば、教育を受けた学生を企業に提供する点から、(3)企業を顧客と捉えることもできる。この議論に正解は無いと思うが、私の学生時代に受けた教育は、顧客として企業を意識した教育が実施されていた様に思う。理想的には、この3つの顧客満足度は、密接につながっており、企業が満足する人材を供給すれば、大学の就職実績も向上し、保護者も満足し、学生も後々考えれば、大学へ行って良かったと満足するはずである。
しかし、現実には(1)学生と(3)企業の満足度がトレードオフの関係になりがちであり、(1)学生の満足度を向上させることが優先されることが多いのではないだろうか?なぜなら、少なくとも筆者の勤務先を含む入学難易度がそう高くない大学では、入学定員をなんとか埋めたとしても、学生が退学してしまうと、定員が満たされなかったのと結果的に同じことになってしまうためである。
学生の退学理由は様々であるが、授業が理解出来ない、友達が出来ないため等により学生生活が楽しくないという学生が多く見受けられる。そこで、大学では、基礎的な学習内容を補強するリメディアル教育の他、複数回授業を欠席した学生への本人・保護者への連絡、学生間の交流をうながすイベントの開催を実施している。一度大学に来なくなってしまうと、その様な交流イベントには参加しないため、日頃からの未然防止策が必要である。また、本人は大学を辞めたいが、保護者は、子供には大学だけは卒業して欲しいと考えているケースの場合、顧客の要求事項が(1)学生と(2)保護者の間でも異なる。
以上の様に現状、筆者は,(1)学生と(2)保護者の顧客満足度向上に日々追われているが、(3)企業の満足度も高い人材の輩出も志に掲げ、この少子化時代における大学の生き残りを図りたい。
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