私の提言 離島を支える航空会社の部品調達について
日本エアコミューター(株) 山下 真司
弊社は、鹿児島県の離島や西日本を中心に21路線・約70便を日々運航する航空会社です。県内離島は種子島、屋久島、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島に就航しています。これらの島々は台風が多く、航空機は安全を確保した上でギリギリまで運航し、通過後いち早く再開し離島の日常を取り戻す大きな役目を担っています。
また、就航先の離島で急患が発生した際には、機内にストレッチャー(移動用寝台)を設置し、大病院のある地域まで患者を搬送します。離島で働く医師の方々の移動を担うことでも、島の人々の命を支えるライフラインとしての役目を担っています。
その役目を果たすには、安全に定時に且つお客様のコスト負担を抑えながら運航する必要があり、部品の品質確保と費用適正化を両立することが不可欠です。以前、ある部品に予定より早い交換が生じ、コスト負担も大きくなる事例がありました。航空機と部品メーカー、航空各社が参加する国際会議で、その部品の改善を提案し、会議後、同じ問題を抱える複数の海外航空会社からも賛同を得ました。しかし、初めは運航環境や設計上仕方がないと部品メーカーに取り合ってもらえませんでした。それでも品質を上げる必要性を説明し続けた結果、コスト削減への協力が得られた上、改良型も開発されることになりました。
また、高額な費用が見込まれた関係先が多岐にわたる修理案件では、イングランドの最終組立先、北アイルランドの設計会社を現地まで訪ねて弊社の運航環境を直接説明し、加えてアメリカの製造元とも価格や納期の協議を粘り強く重ねました。その中で弊社路線の多くが鉄道や自動車等の代替手段が無い正真正銘のライフラインだと伝え、責任者の方から「航空機運航の原点を再認識する貴重な機会となった」と熱い握手を求められました。その結果、費用削減に繋がりました。
最後に、私が課題に直面した時に思い返す言葉があります。それは、「人間として何が正しいかで判断する」という言葉です。どのように進めば良いか迷う難局に直面する度に、進むべき道を私に教えてくれます。今後もライフラインとしての役目を果たすため、難局を乗り越え、航空機部品の品質の維持向上に努めていく覚悟です。多くの魅力と輝きを持つ鹿児島の離島に是非お越しください。
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