私の提言「良品条件の追求による問題解決アプローチ」のすすめ

アイシン精機(株) 澤田 昌志

 当社では、工場の生産性向上のためにTPM(Total Productive Maintenance)活動を推進している。具体的には、自主保全、計画保全、品質保全、ロスゼロ(故障、段取り、チョコ停など及び品質ロスを含めてあらゆるロスに着目してこれを撲滅する活動)、人材育成などの活動を全社で行っている。この中で、私の所属しているTQM推進部門は、製造職場の人材育成を兼ねて、現場の重複小集団による品質保全活動を推進している。

 今回、私が紹介したいのは、この品質保全活動の中で、工場の重点ライン活動として、改善を不良ゼロに向けて、品質保全の問題解決アプローチ(PMストーリー)として取組んでいることである。

 これまで品質問題の中で、不良が発生した場合は、QCストーリーに沿って、現状把握、重点指向をして、要因解析、真因追及を行い、効率的な対策を実施してきた。通常はこのやり方で問題ないが、実際には、QCD、特にKPIとして生産性優先のプレッシャーも大きく、その結果、個々の不良原因の、小手先の小改善で、問題を解決して先延ばしされる傾向にあり、本当の意味での工程内における、「不良ゼロ」の達成が非常に困難となっているケースが散見される。とはいえ、すべての問題に対して大きなリソーセスをかけて工程内における、「不良ゼロ」の改善をすることもできない。このため工法別、製品別に重点を絞って「不良ゼロ」の技術ノウハウを蓄積し、あとは横展すべく取組んでいる。

 PMストーリーでは要因の解析において、徹底的に加工点での「現象の見える化」、「メカニズムの解明」を行い、これによって、たまたまの原因追及ということではなく、そもそもで良品となる条件の追求を行っていく。こうしたやり方により現場で良品条件の技術蓄積ができ、その結果として、会社全体で工場の生産性向上が図れていくと考える。

 このアプローチはたいへん遠回りしているようで苦労も多いが、本当に、品質優先で考えるなら、私は、この「良品条件の追求による問題解決アプローチ」を、ぜひみなさんも一度実践されることを提言する。

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