JSQC規格 講習会ルポ 「品質管理教育の指針」講習会-TQMの実践に必要な人材を育てる-

 2021年3月16日(火)午後、JSQC規格「品質管理教育の指針」の講習会が開催されました。2017年の当規格制定以降、今回が3回目となります。過去の2回と異なるのは、新型コロナ感染予防の観点からZoomによるリモートでの開催となったことです。全国各地から31名の参加がありました。
 「品質立国」と言われて久しい我が国ですが、昨今不祥事をはじめ大きなトラブルが後を絶ちません。IoTやAIをはじめとする技術革新が進展しグローバル競争が激化する中、競争力の源泉ともいうべき従業員の力量や倫理意識は大丈夫なのか、それを支える品質管理教育がおろそかになっていないかということが懸念されます。そのような中での当規格制定、そして講習会の開講には大いに意義が感じられるところです。
 講師はトヨタ自動車OBで、現在は(株)クオリティ・クリエイション代表取締役であり、JSQCの理事でもある古谷健夫氏でした。補助資料は規格書とリンクした構成で、要所要所が非常にわかりやすくまとめられていました。穏やかな語り口による講義は聴きやすく説得力がありました。規格書の内容だけでなく、トヨタ時代を振り返っての思い出話なども大変興味深いものでした。特に同社が20世紀に海外への拡張路線を取ったとき、10年ほど社員の基礎教育が手薄になったことがあり、後でその挽回に苦労されたとのことでした。誰もが「教育は重要」といいながら、実際は業況が悪くなると交際費や出張費と共に真っ先に削られるのが教育費です。しかし、教育を怠ると後でボディーブローのように効いてくることが大企業の実話として示され、参加者の共感が得られたものと思われます。
 講義の後にはQ&Aに1時間もの枠が取られ活発な質疑応答がなされました。講師と質問者の1対1の応答だけでなく、他の聴講者の関連質問などにより議論が深まりました。
 リモートであっても十分に場の共有ができ充実した講習会であったことを最後に付け加えておきます。

佐々木 市郎(アルプスアルパイン(株))

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