高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)について(2026年改訂版)
一般社団法人 日本品質管理学会
会長 山田 秀
1.背景
Society 5.0 時代において、データとデジタル技術を活用し、課題を発見し解決する力の育成は、我が国の持続的発展に不可欠です。文部科学省が推進する「高等学校 DX 加速化推進事業(DX ハイスクール)」は、その基盤となる重要な施策であり、高く評価されるものです。
一方で、DX ハイスクール事業の下で機器整備やツール導入がなされた後には、それらを活用するために育成したい「本質的な能力」の明確化とそれらの能力の体系的な育成も必要です。
2.DX ハイスクールの下で育成したい本質的な能力
DX ハイスクール事業の下では、単なるデジタル技術の活用だけでなく、データに基づき、課題を発見し、科学的に解決する力の育成も大切です。
すなわち、求められる本質的な能力は、以下に示す一連のプロセスに関する能力です。
- 問題を発見する力(問いの質)
- 仮説を立てる力
- データを収集・分析する力
- 科学的に検証する力
- 解決策を実装し、改善へ向けて行動する力
このような一連のプロセスは、品質管理の分野において長年培われてきた「科学的問題解決プロセス」そのものです。これらのプロセスは、一人で遂行するわけではなく、協働的な学びの中で体験しながら身につけていくことも大切です。
3.日本品質管理学会の基本的な考え
本学会は、品質管理および統計的手法に基づく科学的問題解決の体系を通じて、産業界のみならず教育分野への貢献に努めてまいりました。
DX ハイスクールの推進にあたっては、以下を重視しています。
- プロセス重視の教育
結果のみならず、問題発見・解決のプロセスそのものを評価すること - データに基づく意思決定
感覚け経験に依存せず、客観的データに基づく思考の育成 - 継続的改善(PDCA)
一度の解決で終わらず、改善を継続するプロセスの醸成 - 未然防止の視点
トラブル発生後の対応ではなく、事前にリスクを予見し防ぐ力の育成
4.問題発見・問題解決プロセスと「問い」の重要性
近年、学習指導要領においても「問題発見・解決能力」は基盤的資質・能力として位置づけられ、次期学習指導要領においても、充実化に向けて検討されています。
本学会は、「問題発見・解決能力」育成をさらに促進させるため、問題発見・問題解決プロセスに対し、文部科学省が検討している探究の三つの質を体系的に捉えることが重要であると考えます。
- 課題の質(何を問うか)
- プロセスの質(どのように解くか)
- 創造(成長)の質(何が変わったか)
特に、課題の質が探究の成果を大きく左右することから、教育においては「問いの質」が極めて重要です。
5.日本品質管理学会の具体的な支援の方向性
本学会は、DX ハイスクールの推進に対し、以下の支援を行う用意があります。
- 科学的問題解決プロセスに関する教材・指導法の提供
- 教員向け研修の提供・支援
- データ活用・統計教育の高度化支援
- 産業界との連携による実践的課題の提供
- 学協会連携による横断的支援体制
の構築詳細は、末尾のリンクをご参照ください。
6.All Japan による連携の必要性
本学会は、横断型基幹科学技術研究団体連合(加盟 35学協会)、日本クオリティ協議会、日本人工知能学会、日本科学技術連盟等と連携し、産学官が一体となった「All Japan」の体制で本取り組みを推進することが重要であると考えます。
教育と産業をつなぐことにより、実社会に根ざした「問題発見・解決能力」の育成が可能となります。
7.今後の展開
本学会は、DXハイスクールの取り組みを契機として、初等中等教育における科学的問題解決教育の体系化を推進し、我が国の人材育成に貢献していく所存です。
あわせて、2026 年政策提言(末尾のリンク先参照)に示した内容とも連動し、教育の質の向上と持続可能な社会の実現に寄与していきます。
(参考リンク)
・高等学校 DX 加速化推進事業に関する本学会の取り組み
https://jsqc.org/highschool_dx/
・日本品質管理学会 文部科学省 初等中等教育局宛 政策提言(2026 年)
https://jsqc.org/seisaku_teigen2026/
・文部科学省 総合的な学習・探究の時間における評価等について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/115/siryo/mext_00011.html
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