第25回「安全・安心のための管理技術と社会環境」ワークショップ
-Safety-II:理論を実践につなげるには-
日 時 | 2025年12月22日(月)13:00~17:30 |
場 所 | Cisco Webex Eventによるオンライン開催 |
主 催 | 日本品質管理学会 日本原子力学会 ヒューマン・マシン・システム研究部会 日本人間工学会 普及委員会 |
後 援 | 日本電気協会、日本信頼性学会 |
参 加 費 | 無料(後日作成の報告書(PDF)が欲しい方は1冊1,000円で別途入手できます) |
定 員 | 100名 |
申込締切 | 12月15日(水)17:00まで |
連 絡 先 | (一社)日本品質管理学会 事務局 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南1-2-1 日本科学技術連盟内 E-mail:jimukyoku@jsqc.org |
【開催趣旨】
エネルギー、運輸、医療などの社会基盤分野において安全・安心を確保するためには、ハードの健全性だけでなく、ヒューマンファクターや組織のマネジメントなどのソフト面にも目を配ることが必要である。しかし、多くの研究が行われてきたにもかかわらず、ソフト面に起因する事故・トラブルが少なくない。本シンポジウムは、安全・安心のための管理技術と社会環境に関する研究の現状と課題、事業者と規制当局の関連する事項の実施状況と課題などを持ち寄り、関係者で認識を共有した上で、行うべき研究の課題や方向性、事業者や規制当局が実施すべき事項などを充実するための手がかりを得たいという思いで、ヒューマンファクター、品質マネジメント、社会技術の3つの学問分野の専門家が集まり、2007年3月以来継続的に開催してきた。
25回目となる今回は、「Safety-II:理論を実践につなげるには」をテーマに取り上げる。Safety-IIは、従来の安全管理の考え方であるSafety-Iと対比される概念であり、予測できない条件下でも、求められる動作を継続する能力を重視し、システムが柔軟に対応できることを目指す考え方である。その実践においては、失敗の原因を追究するのでなく、なぜ成功できたかを考えて活用を図ること、人や組織の持つ能力や相互作用に着目することなどが大切である。従来の方法において不足していた部分を補うものとして注目され、エネルギー、医療、運輸、労働安全など、様々な分野で議論がなされてきているが、いかに実践につなげるかについては多くの課題があり、どう取り組めばよいのか悩んでいる職場も少なくない。
そこで、本ワークショップでは、異なった領域の実務家・専門家からの講演をいただいた上でパネルディスカッションを行い、Safety-IIとは何か、なぜSafety-Iだけではだめなのか、Safety-IIに具体的にどう取り組めばよいのか、組織においてSafety-IIを実践する難しさは何か、どう克服していけばよいのか、そのような組織の実践を社会として支援していくためにはどのような支援・研究を行っていく必要があるのかなどを明らかにしたい。
【プログラム】
総合司会 中條 武志(中央大学)
13:00-13:10 | 開会挨拶・趣旨説明 |
伊藤 誠(筑波大学、日本品質管理学会・安全・安心社会技術連携特別委員会) | |
13:10-13:30 | 「問題提起:Safety-II:理論を実践につなげるには」 |
首藤 由紀(社会安全研究所) | |
Safety-IIとは何か、なぜSafety-Iだけではだめなのか、Safety-IIに具体的にどう取り組めばよいのか、組織がSafety-IIに取り組む難しさは何か、どう克服していけばよいのかなど、問題提起をしていただく。 | |
13:30-14:00 | 「セーフティIIとは? 失敗を減らすから成功を増やすへ」 |
芳賀 繁(立教大学) | |
従来型の事故防止手法は、失敗を減らして災害を防ぐ上で効果を上げてきたが、結果としてマニュアルが増え、現場が持っていた“しなやかさ”が失われていった。上手くいく可能性が高い成功例を増やす「セーフティⅡ」の考え方や、システムが複雑化して先が読みづらい状況が増えている中、「しなやかな現場力」を育てる方法について話していただく。 | |
14:00-14:10 | 休憩 |
14:10-14:40 | 「自主的安全性向上に向けたSafety-IIベースの実践的取り組み」 |
高橋 信(東北大学) | |
東北大学と東北電力は原子力発電所における自主的安全性向上の取り組みとして、Safety-IIの概念に基づく実践的な取り組みを継続的に行ってきた。Safety-IIの概念を社内へ広めるとともに、発電所で安全性を担う中核的な社員との対話を実施することで、想起が広がり、事故・災害に対するレジリエンスが向上する可能性を確認できたことなどを紹介していただく。 | |
14:40-15:10 | 「医療安全:適応キャパシティのしなやかな拡張と境界を越えた協働」 |
中島 和江(大阪大学医学部附属病院) | |
複雑で不確実な状況下であっても、医療チーム、診療科、病院等は、事故を起こしたり受容できない質の低い医療に陥ったりすることなく、診療機能を発揮することが求められる。レジリエンス発揮の基盤となる、人間同士やシステム間のインターラクション(相互作用)のあり方、つながりに着目した安全マネジメントの実践例について紹介していただく。 | |
15:10-15:20 | 休憩 |
15:20-17:20 | パネルディスカッション「Safety-II:理論を実践につなげるには」 コーディネータ:首藤 由紀 パネラー :芳賀 繁、高橋 信、中島 和江 木村 浩(木村学習コンサルタンツ) 飯塚 悦功(東京大学)、伊藤 誠(筑波大学) 論点 ・Safety-IIとは何か、なぜSafety-Iだけではだめなのか。 ・Safety-IIに具体的にどう取り組めばよいのか。 ・組織においてSafety-IIを実践する難しさは何か、どう克服していけばよいのか |
17:20-17:30 | 閉会挨拶 |
五福 明夫(岡山県立大学、日本原子力学会 ヒューマン・マシン・システム研究部会) |
<参考>
2007年3月8日 | 第1回 | 品質マネジメント、ヒューマンファクター、社会技術(総論) |
2007年9月12日 | 第2回 | 不適合管理 |
2008年3月10日 | 第3回 | 人間信頼性 |
2008年9月26日 | 第4回 | 情報の共有・公開 |
2009年3月10日 | 第5回 | 人材・技術マップ(総論) |
2009年9月7日 | 第6回 | 失敗から学ぶ |
2010年3月8日 | 第7回 | 教育・訓練 |
2010年9月6日 | 第8回 | コミュニケーション |
2011年3月8日 | 第9回 | 手順書・マニュアル |
2011年9月14日 | 第10回 | ヒヤリ・ハットと危険予知 |
2012年3月12日 | 第11回 | 安全の確保と信頼・理解の醸成(総論) |
2012年10月13日 | 第12回 | エネルギー問題に関する国民的議論 |
2013年3月16日 | 第13回 | レジリエントな組織はQMSで作れるのか |
2013年10月12日 | 第14回 | 柳田邦男氏とともに「福島事故」を考える |
2014年12月23日 | 第15回 | 社会の安全・安心を確保するための行政による規制と事業者による自律的 マネジメントのあり方 |
2015年12月25日 | 第16回 | 事故調査の社会的役割と進め方 |
2016年12月23日 | 第17回 | 信頼を得るための方法 |
2017年12月24日 | 第18回 | 安全文化の醸成と全員参加の実現 |
2018年12月22日 | 第19回 | 情報・知識の共有による安全・安心の確保 |
2019年6月21日 | 第20回 | 安全に寄与する組織文化の核心とは -リーダーシップ・マネジメントの視点から |
2020年11月14日 | 第21回 | 社会の変化と人の育成 -学習機会の減少、過酷な状況への対応、自動化の進展がもたらすもの |
2022年5月14日 | 第22回 | 安全・安心な社会の実現を目指して -品質不正、規制と自主的マネジメント、科学的問題解決法の教育 |
2023年12月18日 | 第23回 | DXによるプロセスの革新・改善が社会にもたらすもの |
2024年12月23日 | 第24回 | 未然防止活動による計画の質の向上とパフォーマンスの保証 |
過去のワークショップの報告書(講演・討論記録、PDF)を各1,000円で頒布しています。
NPO法人パブリック・アウトリーチ(info@ponpo.jp)まで氏名・送付先(E-mailアドレス)を連絡して下さい。
今回のワークショップ(第25回)の報告書(講演・討論記録、PDF)についても1,000 円で頒布の予定です。2026年4~5月ごろ準備できる予定です。
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