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JSQC規格JSQC-Std 32-001「日常管理の指針」の改正

規格改正の経緯

 当学会が発行している規格(JSQC規格)は、5年ごとに見直しを行い、継続、改正または廃止を決めています。
 JSQC-Std 32-001「日常管理の指針」の初版は、2013年に発行され、5年後の2018年には「継続」となりました。
 本規格は、従来色々な議論や解釈があった日常管理の基本をまとめたものとして高い評価をいただき、幾つかのセミナーで基本テキストとして採用されるなどの結果、2025年7月時点で5131部を売り上げ、更に英語版も発行され、この種の規格としては異例の発売部数となりました。また、本規格の主要部分は日本工業規格JIS Q 9026:2016マネジメントシステムのパフォーマンス改善− 日常管理の指針にも採用されています。
 このように本規格は当学会の一連の規格の初期の規格として大成功した規格であり、その後のJSQC-Std33-001:2016「方針管理の指針」などの一連のJSQC規格の礎となったと評価されています。
 このように評価の高い規格ではありましたが、発行後10年を経て、以下に述べるいくつかの改正の必要性が指摘されたために、今回改正した次第です。

主な改正内容

 今回の主な改正点は以下の通りです。
(1)サービス業務への対応
 2013年の発行以来、日本の産業構造の中で、サービス業務のウェイトが高くなってきています。旧版では日常管理の原点として、製造業の大量生産のプロセスの例を用いた表現となっていましたが、今回は、飲食店における接遇業務というサービス業務の事例を用いて製造部門以外の皆様にもわかりやすい表現といたしました。
(2)DXへの対応
 近年のDXは著しく進化しており、日常管理の姿を大きく変えようとしています。旧版では主に紙媒体を管理ツールの基本媒体としていましたが、そこにDXやさらにはAIの活用により日常業務自体の変革とそれに伴う管理方式の進化を示唆することとしました。
(3)「日常管理の進め方」の構造を改め加筆しました。
 この章は、ある業務に対する日常管理の進め方を具体的に説明する章ですが、10年間の蓄積を踏まえて多くの点について加筆訂正しました。
 特に、誤解の多い「管理項目」については尺度であることを明記し、例を加えて説明しました。また、混乱の多い「異常」と「不適合」の違いについて明確化し、異常を適切に検出することが日常管理の根幹の一つであることを明記しました。
(4)上位管理者の役割を大幅に改正しました。
 部長などの上位管理者は、ともすると日常管理に関心が無く、それが現場の日常管理の形骸化・空洞化・劣化の原因となることが、「JSQCTR12-001:2023テクニカルレポート品質不正防止」でも指摘されています。そこで、本規格ではそのような上位の管理者の日常管理における役割として、経営資源の確保、使命・役割と管理項目・管理水準の体系化、異常への対応、ならびに日常管理の実施状況の確認と指導があることを明記して、その重要性を強調しました。

謝辞

 今回の改正も、原案作成委員、審議委員、事務局並びに理事会メンバー、更にはパブリックコメントにコメントをお寄せいただいた多くの皆様のお力で完成しました。これらの皆様のご尽力に深く感謝差し上げるとともに、本規格が多くの皆様の日常管理にご活用いただき効果を上げていただくことを期待します。

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jimukyoku01
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