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第119回品質管理シンポジウム 報告

経営環境の変化に適応するためのTQMの進化 ~「基本の最先端な実践とさらなる飛躍」~

(一財)日本科学技術連盟 品質経営創造センター、デミング賞委員会事務局 部長 安隨 正巳

 半世紀を超える歴史を誇る、日科技連主催「品質管理シンポジウム」(以下 QCS)」の第119回は大磯プリンスホテルにて 2025年6月4日~6日の日程で開催された。「経営環境の変化に適応するためのTQMの進化」をテーマに。参加者はオンラインを含め500名を超える盛況ぶりだったが、その模様を報告する。

 今回のQCSは、価値観の多様化、SDGsの浸透、生成AIやDXの進展など、経営環境の急速な変化を受けて「TQMをいかに進化させるか」を主題とした。冒頭の基調講演では、主担当組織委員の山田秀氏(慶應義塾大学)が、「変えるべきもの、変えてはならないもの」の見極めが肝要であると強調した。
 3日間のプログラムは、(1)講演(2)グループ討論・発表(3)総合討論の3本柱で構成されている。講演では多様な業種・立場の登壇者が、AIと人の共生、経営と働き方改革、都市開発や宿泊業における実践事例など、実に幅広い分野と視点から示唆に富む講演であった。


 中でも、「人にしかできないこと」や「価値共創の場づくり」に言及した講演が、参加者の共感と深い議論を呼び起こした。また、東レや三菱地所、陣屋といった登壇企業による経営現場からの実践報告は、理論と現場をつなぐ貴重な示唆を与えた。
 グループ討論では、「TQMの進化」について8つの視点から分科会形式で実施され、最終日に全体討論が行われた。変化に適応しながらも、TQMの根幹をどう守り活かすか、参加者同士の率直な対話が印象的であった。


 また、談話室(通称:QCバー)や夕食会では、立場を越えた交流が随所で見られ、QCSならではの“人と人とのつながり”が再確認された。オフラインならではの偶発的な出会いから生まれる発見も少なくなかった。
 総括では山田氏が、参加者の知見の融合が方向性を照らしたと述べ、「変えてはならないもの/変えるべきもの」を提示した。(以下の表を参照)

 今回のまとめ内容は、QCS webサイト(https://www.juse.jp/qcs/)に掲載しているので、是非参照して欲しい。

 次回のQCSは、早稲田大学 永田靖教授が主担当組織委員を務め、テーマ「顧客価値創造に対応する組織能力獲得に向けて『改善活動』を見直す~環境変化、バリューチェーンの拡大、複雑化に伴う対応~として2025年12月4日~6日に開催される。
 和製英語「KAIZEN」として国際的にも知れ渡っており、品質経営の根幹ともいえる活動要素「改善」について、「変えてはならないもの/変えるべきもの」は何かを議論する。多くの会社役員、部門長ならびに学術関係者の参加を期待したい。

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jimukyoku01
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