トピックス 第117回品質管理シンポジウム 報告
―品質不祥事の防止と真の顧客価値創造、必要な組織能力の議論が展開される!―
(一財)日本科学技術連盟 品質経営創造センター、デミング賞委員会事務局
部長 安隨 正巳
半世紀を超える歴史を誇る、日科技連主催「品質管理シンポジウム」(以下 QCS)」の第117回は大礒プリンスホテルにて 2024年5月30日~6月1日の日程で開催された。「原点回帰!品質経営を改めて考える」をテーマに、産業界で品質不祥事が断続的に発生している状況の中、品質立国再生に向けた議論を行った。参加者はオンラインを含め800名を超える盛況ぶりだったが、その模様を報告する。
QCSは、(1)講演(2)グループ討論・発表(3)総合討論の3本柱で構成されている。
今回の講演者は以下の通りであった。
紙面の制約から講演内容の紹介は割愛するが、品質不祥事発生を経てTQM活動に注力する企業、コンプライアンスの専門家、弁護士など様々な立場の登壇者から示唆に富む講演が行われた。
たった1件の不祥事が顧客や社会の信頼を失ってしまう「品質不祥事」について、品質経営の原点に立ち返り、真の顧客満足を達成するために真っ向からの議論を行うことが今回の開催趣旨であった。
産業界は、利潤を追求する活動を競争環境の中で行っているため、どのような組織でも常に品質不祥事が起こりうるリスクは存在する、という共通認識の下、グループ討論は、品質不祥事に関する8つの切り口からテーマが設置され、最終日には、8グループからの討論結果の発表後、参加者全体による総合討論が棟近雅彦氏の司会で行われた。
「マイクロマネジメントからの脱却」、「人間は弱いものとした組織運営」、「大学での教育の必要性」などの興味深い発言もあり、大変白熱した議論となった。
また、主担当組織委員の棟近雅彦教授(早稲田大学)が「まとめ」で説明した以下の内容は参加者から強い共感を呼んでいたので紹介する。
今回のまとめ内容は、QCS webサイト(https://www.juse.jp/qcs/)に掲載しているので、是非参照して欲しい。
次回のQCSは、DMG森精機 森雅彦社長が主担当組織委員を務め、テーマ「変化に対応する品質経営 ~Just in Time;+Just in Case~」として2024年12月5日~7日に開催される。「近い将来の予測される変化」に加え、国際紛争に伴うサプライチェーンの崩壊、輸出規制、自然災害など「予測困難な変化」に企業がどのように対応していくべきかを議論する。多くの会社役員、部門長ならびに学術関係者の参加を期待したい。
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