第133回クオリティトークルポ
3Hで学ぶヒューマンエラー対策とは
2023年4月26日(水)に第133回クオリティトークがオンラインで開催された。長年ヤマハ(株)で生産技術に携わった、鈴木宣二技術士事務所の鈴木宣二氏を講師に迎え、「3Hで学ぶヒューマンエラー対策とは」をテーマに講義をいただいた。
ヒューマンエラーは、あらゆる業界において安全や品質などを脅かす要因として問題視されており、その未然防止対策は、多くの組織の共通のテーマである。今回のクオリティトークには関東を中心に全国から多くの参加があり、ヒューマンエラー対策に対する関心の高さが伺えた。
講義の前半にはヒューマンエラーの事故例の紹介とそのメカニズムについての説明があった。毎日の歯磨きの手順のように、特に考えたり、意識的に思い出そうとする努力をしなくとも、身体が自然に次々動く一連の動作のことを「行為スキーマ」といい、そこに中断が入るとミスを犯しやすい。「アクセルとブレーキの踏み間違い」や「ねじの締め忘れ」などは、「行為スキーマ」の中断が原因であることが多い。
また、その未然防止対策としてポカヨケや過去の事故例や疑似体験から予測する危険予知トレーニング(KYT)について説明があり、未然防止に大変有効であることが理解できた。
さらに、ヒューマンエラーには人間の知覚・認知能力が深く関係しており、それには性格が影響することから、未然防止のために自分の性格を知ることも大切であり、その手法の1つとして「エゴグラム・セルフテスト」をご紹介いただいた。
後半の講義では、品質トラブルの発生原因となる3H(初めて、変更、久しぶり)に注目し、4Mの視点から管理する方法について学んだ。
生産現場では日々意図しない4Mの変化が多く発生しているが、それを「3H発見シート」などを活用して、洗い出し~対策実施を日常管理として運用する手法は大変参考になった。
その他にも具体的な対応例や組織での運用事例など現場目線での事例も多くご紹介いただき、大変有益なクオリティトークであった。
加藤 真司 ((株)フジキン)
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