第22回「安全・安心のための管理技術と社会環境」ワークショップ
安全・安心な社会の実現を目指して

-品質不正、規制と自主的マネジメント、科学的問題解決法の教育-

日  時2022年5月14日(土)13:00~17:30
場  所Cisco Webex Eventによるオンライン開催
主  催日本原子力学会 ヒューマン・マシン・システム研究部会
日本品質管理学会
日本人間工学会 安全人間工学委員会
後  援日本電気協会、日本信頼性学会
参 加 費無料(後日作成の報告書(PDF)が欲しい方は1冊1,000円で別途入手できます)
定  員300名
申込締切5月7日(土)17:00
連 絡 先(一社)日本品質管理学会 事務局
〒166-0003 東京都杉並区高円寺南1-2-1 日本科学技術連盟内
E-mail:jimukyoku@jsqc.org

【開催趣旨】

 エネルギー、運輸、医療などの社会基盤分野において安全・安心を確保するためには、ハードの健全性だけでなく、ヒューマンファクターや組織のマネジメントなどのソフト面にも目を配ることが必要である。しかし、多くの研究が行われてきたにもかかわらず、ソフト面に起因する事故・トラブルが少なくない。本シンポジウムは、安全・安心のための管理技術と社会環境に関する研究の現状と課題、事業者と規制当局の関連する事項の実施状況と課題などを持ち寄り、関係者で認識を共有した上で、行うべき研究の課題や方向性、事業者や規制当局が実施すべき事項などを充実するための手がかりを得たいという思いで、ヒューマンファクター、品質マネジメント、社会技術の3つの学問分野の専門家が集まり、平成19年3月以来継続的に開催してきた。
 22回目となる今回は、「安全・安心な社会の実現を目指して-品質不正、規制と自主的マネジメント、科学的問題解決法の教育-」をテーマに取り上げる。製品・サービスの提供においては、様々な組織における情報の隠蔽・改ざんなどの品質不正が社会問題となっており、その防止のために何を行うべきか議論がなされている。他方、安全・環境・品質などのマネジメントシステム認証の分野においては、規制と自主的マネジメントの位置付けが曖昧になっており、規制機関が定めた要求事項を守らせること・守ることのみに力点が置かれ、それぞれの組織が自らのおかれた状況を把握し、自由意志でマネジメントに取り組む必要性を忘れている行政者・経営者・管理者が少なくない。さらに、これらの背景には、科学的問題解決法やマネジメントに対する社会の理解が進んでいないことが関係していると思われるが、我が国におけるこの領域の初等・中等教育は欧米やアジア諸国に比べると遅れており、このことが、社会が、品質不祥事や事故の防止に対して正しい方向からアプローチすることを難しくしているように思われる。
 そこで、本ワークショップでは、異なった領域の実務家・専門家からの講演をいただいた上でパネルディスカッションを行い、社会が大きく変化する中、品質不正を防ぎ、それぞれの組織に適した効果的なマネジメントを実践する上で何が難しさになっているのか、その克服のためにはどのような取り組みが有効なのか、その実践に向けて社会としてどのような研究・検討を行っていく必要があるのかを明らかにしたい。

【プログラム】(敬称略)

13:00-13:10 開会挨拶・趣旨説明
伊藤 誠(筑波大学、日本品質管理学会・安全・安心社会技術連携特別委員会)
13:10-13:40 「問題提起:人の不適切な行動を防ぎ、望ましい行動を引き出すには」
中條 武志(中央大学)
品質不正・事故の背後には人の不適切な行動がある。また、社会が大きく変わる中、素晴らしい経営成果をあげている事例の背後には、人の望ましい行動がある。人の不適切な行動を防ぎ、望ましい行動を引き出すには、どのようなマネジメントが求められるのか、そのようなマネジメントを普及・浸透させるには、社会としてどんな取り組みが求められるのかについて問題提起を行う。
13:40-14:25 「品質関連不正の未然防止に関する提言」
永原 賢造(プロセスマネジメントテクノ)
自動車関係の2社の品質不正、素材関係の4社の品質不正、計6社の事例について、公表されている資料をもとに、共通する品質不正の発生のメカニズムを検討した内容、品質不正を起こしたそれぞれの会社が第三者を入れて設けた事故調査委員会の取り組み内容の不足している点、それをもとにまとめた未然防止に関する10の提言について話していただく。
14:25-15:10 「パフォーマンス向上における規制と自主的マネジメントの役割」
飯塚 悦功(日本適合性認定協会)
安全・環境・品質などのパフォーマンスを向上する上で、マネジメントの果たす役割は大きく、規制は組織に適切なマネジメントを求める上で重要な役割を果たしてきた。ただし、各々の組織が置かれている状況は異なるため、規制に従うだけでは不十分で自主的なマネジメントが不可欠である。マネジメントシステム認証制度に長らく関わってこられた立場から、規制と自主的マネジメントの関係についてどう捉えるべきか話していただく。
15:10-15:20 休憩
15:20-17:20 パネルディスカッション「安全・安心な社会の実現を目指して」
  コーディネータ:中條 武志(中央大学)
  パネラー   :永原 賢造(プロセスマネジメントテクノ)
          飯塚 悦功(日本適合性認定協会)
          木村  浩(木村学習コンサルタンツ)
            鈴木 和幸(電気通信大学)
          高橋  信(東北大学)

論点
・社会が大きく変化する中、品質不正を防ぎ、規制と自主的なマネジメントを適切に組み合わせていく上で何が難しさになっているのか
・それらの難しさを克服する上で、どのような社会的な取り組みや教育が求められるのか
17:20-17:30 閉会挨拶
五福 明夫(岡山大学、日本原子力学会 ヒューマン・マシン・システム研究部会)

<参考>

平成19年3月8日第1回品質マネジメント、ヒューマンファクター、社会技術(総論)
平成19年9月12日第2回不適合管理
平成20年3月10日第3回人間信頼性
平成20年9月26日第4回情報の共有・公開
平成21年3月10日第5回人材・技術マップ(総論)
平成21年9月7日第6回失敗から学ぶ
平成22年3月8日第7回教育・訓練
平成22年9月6日第8回コミュニケーション
平成23年3月8日第9回手順書・マニュアル
平成23年9月14日第10回ヒヤリ・ハットと危険予知
平成24年3月12日第11回安全の確保と信頼・理解の醸成(総論)
平成24年10月13日第12回エネルギー問題に関する国民的議論
平成25年3月16日第13回レジリエントな組織はQMSで作れるのか
平成25年10月12日第14回柳田邦男氏とともに「福島事故」を考える
平成26年12月23日第15回社会の安全・安心を確保するための行政による規制と事業者による自律的
マネジメントのあり方
平成27年12月25日第16回事故調査の社会的役割と進め方
平成28年12月23日第17回信頼を得るための方法
平成29年12月24日第18回安全文化の醸成と全員参加の実現
平成30年12月22日第19回情報・知識の共有による安全・安心の確保
令和元年6月21日第20回安全に寄与する組織文化の核心とは
令和2年11月14日第21回社会の変化と人の育成

過去のワークショップの報告書(講演・討論記録、PDF)を各1,000円で頒布しています。
NPO法人パブリック・アウトリーチ(info@ponpo.jp)まで氏名・送付先(E-mailアドレス)を連絡して下さい。
今回のワークショップ(第 22 回)の報告書(講演・討論記録、PDF)についても 1,000円で頒布の予定です。9~10 月ごろ準備できる予定です。

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